幻想即興曲
テンプレート:クラシック曲テンプレート:Portal クラシック音楽 幻想即興曲(げんそうそっきょうきょく、Fantaisie-Impromptu)作品番号66は、ポーランドの作曲家フレデリック・ショパンが1834年に作曲したピアノ曲である。ショパンが作曲した4曲の即興曲のうち、最後に出版されたもの。
数あるピアノ曲の中で、最もよく知られる作品のひとつ。現在の版はショパンの死後友人のユリアン・フォンタナが改稿し発表したもので、「幻想」の題も彼によって付けられた。
主部では、左手は1拍が6等分、右手は1拍が8等分されたリズムとなっている。
曲の構成
複合三部形式(A - B - A')による即興曲。ベートーヴェンの月光と調性、構成、雰囲気が類似している。
- Allegro agitato (A)
- 嬰ハ短調、序奏 + 三部形式(a - b - a) + 経過句。右手部分と左手部分のリズムが異なる。
- Largo - Moderato cantabile (B)
- 変ニ長調、序奏 + 三部形式(a - a' - b - a')。後半のb - a'は若干変化して繰り返される。
- Presto (A'…フォンタナ版による。改訂版ではTempo I)
- 嬰ハ短調、三部形式。Aとほぼ同じだが、少し速度が速い。
- コーダ
- Bの主題が左手部分で回想され、静かに終わる。
公表の経緯
ユリアン・フォンタナがショパンの遺品の中にあったこの曲に手を加え、『幻想即興曲』と題して1855年に出版した。ショパン自身は単に即興曲と題したのみであった。ショパンは「自分の死後、この楽譜を燃やして処分して欲しい」と頼んだが、フォンタナが遺言にそむいて公表したとも言われる。
ショパンがこの曲を生前公表しなかった理由については、諸説あり定かではない。冒頭部分(7-8小節)がベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」第三楽章のカデンツァ(189小節)に非常に似ていることを気にした、本人にとっては失敗作であり気に入らなかった、などが考えられている。[1]。
版について
1962年、ピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインがこの曲の自筆譜を発見し出版した。自筆譜はフォンタナが出版したものとはテンポ、アーティキュレーションなどに相違点が多くみられる。たとえば、第1部の左手三連符に1拍ごとにアクセントが付く事などである。その後、ルービンシュタインが発見した決定稿、そして他の筆写譜から復元した初版がウィーン原典版58集(音楽之友社、ISBN 4276400589)に掲載されている。
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ピアノ以外の楽器による幻想即興曲の演奏
ピアノ以外の楽器でこの曲を演奏するのは非常に困難であるが、下記の奏者がピアノ以外の楽器で演奏しているほか、アマチュアも演奏に挑んでいる。
- ティト・フランシア『オールモスト・インポッシブル』
- アルゼンチンのギタリスト。ガット・ギターでピアノのニュアンスを再現。
- ロス・インディオス・タバハラス『ワルツ・オブ・ザ・フラワーズ』
- ブラジルの兄弟デュオ。ガット・ギターによる演奏で兄が右手パート、弟が左手パートを担当。サムピックでの演奏。
- 古川忠義『ファンタジー』
- 日本のスタジオ系ギタリスト。ガット・ギター+生バンドによるボサノバ風のアレンジ。原曲とは調を変えている。
- ロン・サール『ニュー・ギター・ヒーローズ '92』
- グランジ&オルタナティヴ系ギタリスト。ヘヴィ・メタル調のバンドアレンジ。原曲とは調を変えている。
- 加茂フミヨシ『ノスタルジア』
- 日本のフュージョン系ギタリスト。ロックギター+ブレイクビーツによるテクノ風のアレンジ。8フィンガータッピング&スウィープピッキングによる演奏。
- 東京佼成ウインドオーケストラ『幻想即興曲』
- ニュー・サウンズ・イン・ブラスシリーズで登場。藤田玄播が編曲したもの。
その他の作品での利用
- ポピュラー音楽
- 『宵闇の唄』(Sound Horizonのアルバム「Märchen」収録曲)
- ドラマ
- 『白い滑走路』
- 『正しい王子のつくり方』
- 『MAGISTER NEGI MAGI 魔法先生ネギま! テレビドラマ版』
- アニメ
- フィギュアスケート
- プロ野球