山海経
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『山海経』(せんがいきょう、山海經、中国語 Shān Hăi Jīng)は、中国の地理書。中国古代の戦国時代から秦朝・漢代にかけて徐々に付加執筆されて成立したものと考えられており、最古の地理書(地誌)とされる。
概要
『山海経』は今日的な地理書ではなく、古代中国人の伝説的地理認識を示すものであり、「奇書」扱いされている。著者は禹の治水を助けた伯益に仮託されるが、実際は多数の著者の手によるものと考えられる。
劉歆が漢室にたてまつった際には18編、『漢書』「芸文志」では13編。『隋書』「経籍志」や『新唐書』「芸文志」では23巻、『旧唐書』「経籍志」では18巻。『日本国見在書目録』では21巻としている。現行本には、西晋の郭璞の伝(注釈)を付しており、5部18巻。
各地の動物、植物、鉱物などの産物を記すが、その中には空想的なものや妖怪、神々の記述も多く含まれ、そこに古い時代の中国各地の神話が伝えられていると考えられている。そのため、後世失われたものの多い中国神話の重要な基礎資料となっている。
河南省の洛陽近郊を中心として叙述されている。山経5書は、時代を追って成立した本書の中でも最古の成立であり、儒教的な傾向を持たない中国古代の原始山岳信仰を知る上で貴重な地理的資料となっている。洛陽を中心としている所から、東周時期の成立と推定される。
もともとは絵地図に解説文の組み合わせで、『山海図経』と呼ばれたが、絵地図は失われ、後世に解説文を頼りに想像で挿絵をつけた。
日本へは平安時代に伝わり、江戸時代には刊本として流通していた。
山海経の神々と妖怪
- 開明獣
- 窮奇(キュウキ)
- 義和
- 燭陰
- 饕餮(トウテツ)
- 禺彊(グウキョウ)
- 句芒(クボウ)
- 祝融(シュクユウ)
- 蓐収(ジョクシュウ)
- 西王母
- 女媧(ジョカ)
- 九尾狐(キュウビコ)
- 讙(カン)
- 貫匈人(カンキョウジン)
- 夔(キ)
- 天狗
- 応竜
構成
- 山経5書
- 海外4書
- 海内4書
- 大荒4書
- 補遺1書