大畑駅
大畑駅(おこばえき)は、熊本県人吉市大野町にある、九州旅客鉄道(JR九州)肥薩線の駅である。
肥薩線の山線と呼ばれる険しい区間にある駅。日本で唯一、ループ線の中にスイッチバックを併せ持つ駅としても知られる。
駅構造
通過不可能なスイッチバック構造で、かつて運転されていた優等列車も必ず停車しなければならなかった。但し、特急「おおよど」は運転停車の為、客扱いは行わなかった。
駅は島式ホーム1面2線を持ち、ホームから構内踏切を渡って駅舎に行くことができる。木造の駅舎は開業当時のもので、周りの駅とよく似ているが、当駅のみ観光列車「いさぶろう・しんぺい」のリニューアルにあわせて窓枠を木造に戻すなど、開業当初の雰囲気を再現する改装が行われた。
無人駅である。
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左:駅舎線路側 左中:駅舎内の壁面には記念の名刺を貼り付ける者が多い。乗務員のガイドによっては「名刺を貼ると出世するとか」と紹介されることがある 右中:ホームに設けられた洗顔用の湧水盆 右:給水塔跡 |
駅周辺
「こば」とは焼畑を意味した言葉で、その昔大きな焼畑があったことからこの地名が付けられたという説がある。
- 人吉梅園
- 大野渓谷
- 熊本県道189号大畑停車場線
歴史
開業当時に走っていた蒸気機関車のために設けられた、信号所と給水所としての役割が大きかった駅で、現在でも駅の周りには人家がなく、大畑の集落に出るには徒歩1時間近くかかる。
人吉駅から連続した勾配を登ってきた蒸気機関車は、この駅で給水をする必要があった。また機関士たちのみならず、トンネルの連続で乗客達も顔や手が煤汚れするため、駅のホームにある湧水の洗顔場で洗っていたという。人吉駅から大畑駅まで、D51形蒸気機関車で1トンもの石炭を消費し、1分間に250リットルもの水をボイラーに送り続けていたという。特に、1927年まではこのルートが鹿児島本線とされ、多くの重量貨物列車が往来していた。
当駅で一休みした列車は、さらに険しい矢岳駅への勾配へ挑んでいった。スイッチバックを併せ持ったのは勾配途中に平坦な場所を設け、そこに停車場を建設するためだった。
2000年3月11日まで、急行えびのが停車していた。
- 1909年(明治42年)12月26日 - 鹿児島本線所属駅として鉄道院が開設。
- 1927年(昭和2年)10月17日 - 海岸ルート(川内本線)全通に伴い肥薩線所属に変更。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 電子閉塞装置導入により無人化。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が継承。
- 2007年(平成19年)11月30日 - 大畑駅、周辺の鉄道施設遺産、石造りの給水塔、および朝顔型噴水が南九州近代化産業遺産群の物資輸送関連遺産の1つとして選ばれる。