大唐西域記
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『大唐西域記』(だいとう さいいきき)とは、唐僧玄奘が記した当時の見聞録・地誌である。646年(貞観20年)の成立。全12巻。玄奘が詔を奉じて撰述し、一緒に経典翻訳事業に携わっていた長安・会昌寺の僧、弁機が編集している。
求法の旅を終えて帰国した玄奘は持ち帰った経巻の訳業を皇帝の太宗に願い出た。許可に当たって西域の詳細な報告書を提出するよう命じられ、編纂された報告書が本書である。
中央アジアからインドにわたる、玄奘が歴訪した110か国および伝聞した28か国(更に16か国を付記する)について、具体的に城郭・地区・国の状況などについて記している。
目次
構成
内容
巻第一
- 古代印度の世界像(須弥山説)
- 贍部州の四主
- 諸国の異俗
- 胡人の習俗
- (タリム盆地)
- 笯赤建国(ヌージカンド)
- 赭時国(シャジ、石国)
- 𢘥捍国(フェルガナ、大宛)
- 窣堵利瑟那国(ストリシナ)
- 颯秣建国(サマルカンド、康国)
- 弭秣賀国(マーイムルグ、米国)
- 劫布呾那国(カプータナ、曹国)
- 屈霜你迦国(クシャーニーヤ、何国)
- 喝捍国(カリガーンカト、東安国)
- 捕喝国(ブハラ、中安国)
- 伐地国(戊地国、西安国)
- 貨利習弥伽国(クワーリズム)
- 羯霜那国(史国)
- 覩貨邏(トカラ、トハリスタン) - 覩貨邏国総記
- 呾蜜国(テルメズ)
- 赤鄂衍那国(チヤガナーヤ)
- 忽露摩国
- 愉漫国(シュマン)
- 鞠和衍那国(クワナーヤ)
- 鑊沙国(ワクシュ)
- 珂咄羅国(クツタル)
- 拘謎陁国(クマード)
- 縛伽浪国(バグラーン)
- 紇露悉泯健国(ルーシミンガーン)
- 忽懍国(クルム)
- 縛喝国(バルク)
- 鋭秣陁国
- 胡寔健国(グーズガーン)
- 呾剌健国(ターラカーン)
- 掲職国(ガチ)
- 梵衍那国(バーミヤーン)
- 迦畢試国(カーピシー)
巻第二
- 印度総説
- 北印度
- 濫波国
- 那掲羅曷国(ナガラハル)
- 健駄邏国(ガンダーラ)
巻第三
- 烏仗那国(ウツディヤーナ)
- 鉢露羅国
- 呾叉始羅国(タクシャシラー)
- 僧訶補羅国(シンハプラ)
- 烏剌尸国(ウラシャー)
- 迦湿弥羅国(個失蜜、カシミール)
- 半笯蹉国(パルノーツア)
- 遏羅闍補羅国(ラージャプラ)
巻第四
- 磔迦国(タツカ)
- 至那僕底国(チーナブクテイ)
- 闍爛達羅国(ジャーランダラ)
- 屈露多国(クルータ)
- 設多図盧国(シャタドル)
- 中印度
- 波理夜呾羅国(パーリヤートラ)
- 秣菟羅国(マトゥラー)
- 薩他泥湿伐羅国(スターネーシヴァラ)
- 窣禄勤那国(スルグナ)
- 秣底補羅国(マテプラ)
- 婆羅吸摩補羅国(ブラフマプラ) - 蘇伐刺拏瞿呾羅国(スヴァルナゴートラ、東女国)
- 瞿毗霜那国(ゴヴィシャーナ)
- 堊醯掣呾羅国(アヒチャツトラ)
- 毗羅刪拏国(ヴィラサーナ)
- 劫比他国(カピタカ)
巻第五
- 羯若鞠闍国(カーニヤクブジャ)
- 阿踰陀国(アユダー)
- 阿耶穆佉国(アヤムクァ)
- 鉢邏耶伽国(ブラヤーガ)
- 憍賞弥国(コーシャーンビー)
- 鞞索迦国
巻第六
巻第七
- 婆羅痆斯国(バーラナシー)
- 戦主国(ガルジャパティプラ、ガルジャナパティ)
- 吠舍釐国(ヴァイシャーリー)
- 弗栗恃国(ヴリジ)
- 尼波羅国(ネパーラ)
巻第八
- 摩掲陀国(マガダ)上
巻第九
- 摩掲陀国下
巻第十
- 伊爛拏鉢伐多国(イラーンヤパルヴァタ)
- 瞻波国(チャンパー)
- 羯朱嗢祇羅国
- 奔那伐弾那国(プンナヴァツダナ)
- 東印度
- 迦摩縷波国(カーマルーパ)
- 三摩呾吒国(サマタタ)
- 躭摩栗底国(タームラリプティー)
- 羯羅拏蘇伐剌那国(カルナスヴァルナ)
- 烏荼国(ウドラ)
- 恭御陀国(コーンゴーダ)
- 南印度
巻第十一
- 南印度
- 恭建那補羅国(コーンカナプラ)
- 摩訶剌侘国(マハラツタ)
- 跋禄羯呫婆国(バルカツチャパ)
- 摩臘婆国(マーラヴァ)
- 阿吒釐国(アターリ)
- 契吒国(カッタ)
- 伐臘毗国(ヴァラビ)
- 西印度
- 阿難陀補羅国(アーナンダプラ)
- 蘇剌他国(スラツタ)
- 瞿折羅国(グツジャラ)
- 鄔闍衍那国(ウツジャヤニー)
- 擲枳陀国
- 摩醯湿伐羅補羅国(マヘーシヴァラプラ)
- 信度国(シンドゥ)
- 茂羅三部盧国
- 鉢伐多国(パルヴァタ)
- 阿点婆翅羅国
- 狼掲羅国
- (ペルシア)
- 波剌斯国(ペルシア)
- 西印度
- 臂多勢羅国(ピータシャイラ)
- 阿輿荼国(アヴァンダ)
- 伐剌拏国
巻第十二
- 漕矩吒国(ジャーグダ)
- 弗栗恃薩儻那国(ヴリジスターナ)
- 覩貨邏故地
- 安呾羅縛国(アンダラーバ)
- 闊悉多国(カスタ)
- 活国(グワル、クンドゥーズ)
- 瞢健国(ムンガーン)
- 阿利尼国(アリーニ)
- 曷邏胡国(ラーグ)
- 訖栗瑟摩国(クルスマ)
- 鉢利曷国(パリーガル)
- 呬摩呾羅国(ヒーマタラ)
- 鉢鐸創那国(バダクシャーナ、バダフシャーン)
- 淫薄健国(ヤンバガーン)
- 屈浪拏国(クラーンナ、俱蘭)
- 達摩悉鉄帝国(ダルマスティティ、護蜜)
- (パミール高原からタリム盆地)
諸本
- 写本・版本
- 近代のテキスト
- 上海人民出版社の校点本(1977年)
- 中華書局の校注本(1985年)
- 羽田亨ほかによる校訂本(大日本図書、1911年) - 『大唐西域記校異・索引』と共に刊行
- 「西域行記索引叢刊1」(中西印刷(松香堂)刊、1999年)-高田時雄・京大人文研共同研究班編
- 日本語訳
- 『中国古典文学大系.22』(平凡社、初版1971年) - 水谷真成訳註、平凡社東洋文庫全3巻(1999年)で再刊
- 『大乗仏典 中国編.9』 (中央公論社、1987年)- 高田・桑山正進の抄訳だが、詳細な訳注解説
- 『西域記 玄奘三蔵の旅』 (「地球人ライブラリー」小学館、1995年) - 桑山正進抄訳・解説で読み易い本