北山猛邦
テンプレート:Infobox 作家 北山 猛邦(きたやま たけくに、1979年8月9日 - )は、日本の小説家・推理作家。推理小説、ミステリーに属する作品を主に著している。岩手県内の高校、大阪の大学を卒業[1]。獅子座、血液型O型。デビュー後も長く岩手県盛岡市にて活動していたが、2008年6月頃より東京都在住。
目次
概要
2002年に『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。宇山日出臣によるメフィスト賞としては最後の受賞者であり、その作風も定石と逸脱の止揚という視座において新本格の衣鉢を継ぐものとみなされている。
作風としては物理トリックに大きなこだわりを見せており、活字メディアで「物理の北山」の二つ名を冠されることもある。「本格ミステリー・ワールド2008」では、「やりすぎれば、あり得ない。控えれば、つまらない。それが物理トリックです。」と語っている[2]。
また殆どの作品において世紀末的・終末的イメージの横溢する独特の世界観が構築されており、(かつて新本格作家に浴びせられた批判と同じく)対照的に登場人物は人間性が希薄で傀儡的なものとして描かれる。そうした特徴を指して(後述のメフィスト賞の先発らほど恣意的ではないにせよ)安直な世代論的に漫画やアニメの影響が指摘される[3]。こうした独特の世界観に拘るミステリーはピーター・ディキンスンに始まり、国内でも山口雅也や麻耶雄嵩、西澤保彦などが存在するが、北山の場合はそうした異常世界とミステリとしてのプロットが意図的に断絶されているところに特徴がある。
同年代デビューである佐藤友哉や西尾維新らとともに、本格ミステリの作家に対して脱格系[4]などとされていたが、曲がりなりにもミステリであった初期の作風からそれぞれ純文学・ライトノベルへと比重を移した二者とは異なり、あくまでストレートなミステリにこだわりを見せる新時代の本格推理作家である。
最近は、文芸雑誌『ファウスト』などで短編作品を発表している。また、『ミステリーズ!』でも短編を連載している。
作品リスト
城シリーズ
話が繋がっているわけではなく、作品ごとに完全に独立したものとなっている。
- 『クロック城』殺人事件(2002年3月 講談社ノベルス / 2007年10月 講談社文庫)
- 『瑠璃城』殺人事件(2002年7月 講談社ノベルス / 2008年3月 講談社文庫)
- 『アリス・ミラー城』殺人事件(2003年5月 講談社ノベルス / 2008年10月 講談社文庫)
- 『ギロチン城』殺人事件(2005年2月 講談社ノベルス / 2009年3月 講談社文庫)
名探偵音野順の事件簿シリーズ
- 踊るジョーカー(2008年11月 東京創元社 / 2011年6月 創元推理文庫)
- 収録作品:踊るジョーカー / 時間泥棒 / 見えないダイイング・メッセージ / 毒入りバレンタイン・チョコ / ゆきだるまが殺しにやってくる
- 密室から黒猫を取り出す方法(2009年8月 東京創元社)
- 収録作品:密室から黒猫を取り出す方法 / 人喰いテレビ / 音楽は凶器じゃない / 停電から夜明けまで / クローズド・キャンドル
猫柳十一弦シリーズ
- 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数(2011年12月 講談社ノベルス)
- 猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条(2013年1月 講談社ノベルス)
その他
- アルファベット荘事件(2002年7月 白泉社My文庫)※レーベル廃止の為絶版。
- 少年検閲官(2007年1月 東京創元社 ミステリ・フロンティア / 2013年8月 創元推理文庫)
- 私たちが星座を盗んだ理由(2011年3月 講談社ノベルス / 2014年4月 講談社文庫)
- 収録作品:恋煩い / 妖精の学校 / 嘘つき紳士 / 終の童話 / 私たちが星座を盗んだ理由
- 人魚姫 探偵グリムの手稿(2013年3月 徳間書店)
- 人外境ロマンス(2013年6月 角川書店)
- 収録作品:かわいい狙撃手 / つめたい転校生 / うるさい双子 / いとしいくねくね / はかない薔薇 / ちいさいピアニスト
ノベライズ
- ダンガンロンパ霧切(2013年9月 星海社FICTIONS)
- ダンガンロンパ霧切2(2013年11月 星海社FICTIONS)
アンソロジーその他
とっさの方言(2012年8月 ポプラ文庫)「どんとはれ」
未単行本化、雑誌掲載作品
名探偵音野順の事件簿
- 人形の村(2008年12月 『ミステリーズ! vol.32』)
- 天の川の船乗り(2009年2 - 6月 『ミステリーズ! vol.33~35』)
- 怪人対音野要(2009年8月 『ミステリーズ! vol.36』)
ファウスト掲載シリーズ
- 廃線上のアリア(2004年11月 『ファウストvol.4』)[5]
- こころの最後の距離(2004年11月 『ファウストvol.4』)[6] - 「上京」をテーマに競作。
- 糸の森の姫君(2005年12月 『ファウストvol.6 SIDE-B』)[7]
- 磔アリエッタ(2008年8月 『ファウストvol.7』)
その他
- 短編
- リレー小説
漫画化
- 名探偵 音野順の事件簿(画:山本小鉄子、2010年2月 - 2011年11月、全4巻)
海外への翻訳
中国(簡化字)
- 城シリーズ
- “钟城”杀人事件 (2010年3月、吉林出版集団有限責任公司、ISBN 978-7-5463-2226-1)
- “琉璃城”杀人事件 (2010年3月、吉林出版集団有限責任公司、ISBN 978-7-5463-2228-5)
- “爱丽丝・镜城”杀人事件 (2010年3月、吉林出版集団有限責任公司、ISBN 978-7-5463-2227-8)
- “断头台城”杀人事件 (2010年6月、吉林出版集団有限責任公司、ISBN 978-7-5463-2882-9)
台湾(繁體字)
- 心靈最後的距離 (浮文誌Vol.4 SIDE-A、尖端出版、2007年8月) - 「こころの最後の距離」
- 對誰來說都不連續 (浮文誌Vol.4 SIDE-A、尖端出版、2007年8月) - リレー小説「誰にも続かない」
- 鐘城殺人事件 (獨步出版、2011年9月) - 「『クロック城』殺人事件」
- 少年檢閱官 (皇冠出版、2011年10月) - 「少年検閲官」
韓国
- 単行本
- 클락성 살인사건 (2010年4月、鶴山文化社 Book Holic、ISBN 9788925811482) - 『クロック城』殺人事件
- 雑誌掲載
鶴山文化社『파우스트』(韓国版『ファウスト』)に掲載。
- 마음의 최후의 거리 (Vol.4、2007年6月) - 「こころの最後の距離」
- 아무에게도 읽히지 않는 (Vol.4、2007年6月) - リレー小説「誰にも続かない」
- 폐선상의 아리아 (Vol.4、2007年6月) - 「廃線上のアリア」
- 실숲의 공주 (Vol.6 SIDE-B、2009年8月) - 「糸の森の姫君」