北原遥子

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北原 遥子(きたはら ようこ、本名:吉田由美子〈よしだ ゆみこ〉1961年4月23日 - 1985年8月12日)は、日本の女優で、元宝塚歌劇団雪組娘役。日本航空123便墜落事故犠牲者の一人としても知られる。

愛知県名古屋市生まれ、神奈川県横浜市育ち。愛称はユミコユミちゃん

当初の芸名のつづりは北原遙子(読み方は同じ)であった。身長161cm。出身校は神奈川県立横浜平沼高等学校

来歴・人物

幼少時よりバレエと器械体操を習い、特に体操競技では多くの大会で優勝し国際大会にも出場するなど活躍。高校時代は次世代のオリンピック代表といわれたほど将来を嘱望されていたが、度重なる怪我や体格の変化で競技生活から遠ざかっていた時に、花組の『ベルサイユのばら』を観劇し宝塚を志す。安奈淳のファンであった。

1979年宝塚音楽学校に合格。1981年67期生として花組公演『宝塚春の踊り/ファースト・ラブ』で初舞台を踏む。入団時の成績は8番。同期には黒木瞳(元月組トップ娘役)、涼風真世(元月組トップスター)、真矢みき(元花組トップスター)、毬藻えり(元星組トップ娘役)、幸風イレネ、現役では雪組組長梨花ますみらがいる。その後、雪組に配属。当初は男役であった。

同年9月バウホール公演『暁のロンバルディア』で準ヒロイン格にあたる王女ソフィア役に大抜擢。これを機に娘役に転向。

1982年、当時の二番手男役スター寿ひずるのショー『素顔のまゝで…』(バウホール公演)にて、寿の相手役を務める(第一部)。5月、『ジャワの踊り子』の第2回新人公演にて初ヒロイン。この作品より、退団まで4作連続新人公演ヒロインを務める。同年、同期の黒木と共に朝日放送の情報番組「おはよう朝日です・土曜日です」のアシスタントを週替りで担当。また、池田銀行(現・池田泉州銀行)のイメージガールに就任した。

1983年、『うたかたの恋』では二番手娘役格のミリー役に抜擢。10月、『恋のトリコロール』にてバウホール公演初ヒロイン。花王ソフィーナの初代イメージモデルを務めた。(- 1984年まで)

宝塚随一の美女[1]』と謳われ、順調に娘役として脚光を浴び、トップ娘役は約束されていると言われていた矢先、あるテレビドラマのカメラテストを受けるよう依頼されて出かけた先で、プロデューサーより本番の撮影の被写体として無理やり出演を頼まれ、何度も断ったものの「台詞はない、顔も映さない」と言われ渋々応じた。しかし、その約束は守られず結果的に出演という形になってしまった。劇団を通して事前の出演依頼がなかったことで歌劇団の規定に違反する事態であり、歌劇団とTV側の意見の食い違いの責任を北原が取らされる形で退団が決定(事実上の懲戒免職)。4月30日、劇団側は「本人の意志」を主張し、病気と言う名目で『風と共に去りぬ』大劇場公演中に退団した[2]。最後の舞台を踏むことも、袴姿でのファンへの退団挨拶もできず、本人は大変悔やんでいたという。その後、北原の退団に関しては正式なものとして扱われ、『宝塚歌劇団80年史』には昭和59年退団と記載されているという[3]2月に出演したイベント『TMP音楽祭』が最後の宝塚の舞台となった。

退団後は、当時石立鉄男市毛良枝夏目雅子らが所属していた其田事務所に所属し、亀田製菓のCMや、宝石メーカーDeBeersのCM(1985年度のCM好感度NO.1・1986年度の世界最高の広告賞クリオ賞に輝く)、映画『ザ・オーディション』、ミュージカル『カサノバ'85』(ヒロイン役)などに出演。夏目雅子の妹分として多方面で活躍した。

また、東芝日曜劇場1500回(1504回)記念ドラマ『星の旅人たち』の主演も作者(市川森一)の推薦があり決定し、将来を嘱望[4]されていたが、同年8月12日、日本航空123便墜落事故に巻き込まれ僅か24年の生涯を閉じた。死因は脳挫傷と内臓破裂。横浜の実家に盆で帰省した後、在阪の友人に会いに行くための搭乗だったという。

北原の死は、数多の宝塚関係者やファン、親友と互いに認め合う存在だった黒木をはじめ同期生、高校時代の同級生、北原が尊敬し慕っていた雪組時代のトップ娘役遥くららなどに衝撃と悲嘆をもたらした。凄惨な事故であったが、遺体は奇跡的に目立った損傷を免れ、綺麗な姿だったという。

後年、墓所がある東京都港区玉鳳寺に北原を象ったとされる観音像(美遥観音)が建立された。

宝塚歌劇団時代の主な舞台

  • 1981年4月、『宝塚春の踊り〈花の子供風土記〉』/『ファースト・ラブ』 *初舞台
  • 1981年8月、『彷徨のレクイエム』(東京公演)
  • 1981年9月、『暁のロンバルディア』(バウホール公演)ソフィア 役
  • 1981年11月、『かもめ翔ぶ海』新人公演:千賀 役(本役:鳩笛真希)/『サン・オリエント・サン』スーフィー 役
  • 1982年1月、『素顔のまゝで…』(バウホール公演)リリー 役
  • 1982年5月、『ジャワの踊り子』新人公演:アルヴィア 役(本役:遥くらら) *新人公演初ヒロイン
  • 1982年11月、『パリ変奏曲』新人公演:リリー 役(本役:遥くらら)/『ゴールデン・ドリーム』
  • 1983年5月、『うたかたの恋』ミリー・ステュベル 役/新人公演:マリー・ヴェッツェラ 役(本役:遥くらら)/『グラン・エレガンス』
  • 1983年8月、『ブルー・ジャスミン』トゥルキーヤ 役/新人公演:ローナ・モレル 役(本役:遥くらら)/『ハッピーエンド物語』
  • 1983年10月、『恋のトリコロール』 ブリジット 役  *バウホール公演初ヒロイン
  • 1984年2月、『うたかたの恋』ミリー・ステュベル 役/『ハッピーエンド物語』(中日劇場公演)

情報番組

宝塚歌劇団退団後の主な活動

舞台

  • カサノバ'85(1985年)アンリエッタ/ヘンリエッタ 役

映画

  • ザ・オーディション(1984年) 津川奈緒子 役

CM

  • 池田銀行
  • 花王ソフィーナ
  • デビアス「コレクション'85」(1984年)
  • 亀田製菓

関連番組

  • ドキュメンタリー同期生「亡き友を胸に〜宝塚歌劇団67期生〜」(2012年12月28日、NHK)

参考文献・関連図書

  • 吉田公子著 『由美子へ』 扶桑社 2006年8月 ISBN 9784594052072
  • 榊原和子著『『由美子へ』取材ノート : レクイエム北原遥子』青弓社 2008年7月 ISBN 9784787272478

出典・脚注

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外部リンク

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  1. 由美子へ・取材ノート 第一章 見果てぬ夢朝日新聞デジタル 宝塚プレシャス+ 2007年3月27日
  2. サンケイスポーツ 産業経済新聞社発行 1984年5月2日
  3. 北原が研究科3年だった時の雪組の組長であった銀あけみが「北原を正式退団者にしてくれないのなら、自分たちも辞める」と、歌劇団に対して猛抗議したという。テンプレート:Cite web
  4. ちなみに『星の旅人たち』は麻生祐未を北原の代役に立て、予定通り制作・放送された。