光速エスパー

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:基礎情報 テレビ番組光速エスパー』(こうそくエスパー)は、1967年8月1日から1968年1月23日まで日本テレビ系で全26話が放送された、宣弘社製作の特撮番組、および劇中に登場する主人公の通称。

概要

高熱や放射能を遮断し、飛行能力などさまざまな特殊機能を持つ強化服を装着した少年が活躍する。

強化服を装着した主人公はエスパーと呼ばれるが、ESP能力を持つ人間という意味ではなく、「エスパー」はコードネームとして使われているだけである(登場する敵役や脇役の宇宙人たちは超能力を持っている)。

自力で超人的な主人公が奇抜な扮装をしているのではなく、特徴的な装束そのものが能力(こちらは超能力に近い)を持っている、という、日本で「強化服」の概念を広めた先駆的な作品[1]テンプレート:要出典範囲が、「アイアンマン(1968)」の方が先ではある。

また素性がまったく普通の少年であることは、当時一層視聴者に親しみと憧れをかきたてた。

怪獣ブーム以降の作品にもかかわらず、巨大怪獣が登場するのではなく、劇中で起きるのは怪事件・怪現象であり、従来の少年ヒーローにSF要素を加味した作風となっている[2]。エスパーが基本的に等身大ヒーローであることもあるが、スポンサーの意向もあり[3]、当時としてはSFテイストをもった良質のプロットが多く投入され「科学時代に相応しい(当時のキャッチフレーズ)、科学が問題を解決する明るい未来の物語」に仕上がっている[3]

当初から家電メーカー東芝をスポンサーとして企画されており、主人公「東ヒカル」の命名は同社のイメージソングの一節「光る東芝」から採られている。同様のネーミングから「芝光子」というガールフレンドも登場するテンプレート:要検証

サザエさん』に先行する東芝のマスコットキャラクターとして、全国の東芝の電気店のシャッターにイラストが描かれ、店頭に販促用のディスプレイ人形が設置された[1]

また「エスパー」は同社の電動鉛筆削り器のペットネームとしても使用された。

東芝一社提供番組のいくつかは、タイトル前に「光る東芝」が流されたが、本番組の冒頭のそれは他の番組と異なり、エスパーが飛び回る本作品専用のアニメーションで作られていた。

1966年に900万円の製作費でパイロットフィルムが製作された[4]が、劇場映画の手法で制作されたものの、時間と経費が掛かり失敗の連続であった[4]。なお、パイロット版は近未来が舞台となっている[5]

メディア提携として、本放送時にはあさのりじが、再放送時には松本零士が雑誌連載を行った[3]。前者は1966年から1968年まで『少年』(光文社)にて、後者は1968年から1969年まで『少年ブック』(集英社)及び『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載。松本版は仕事を受けるにあたって「好きにやらせてくれるなら」という条件を出したこともあり、全くのオリジナルストーリーになっており、のちに主人公名が『宇宙戦艦ヤマト』に流用され(アニメ雑誌『アニメディア』に掲載されたヒーロー相関図では、はっきりと同一人物と記されていた)、主人公の境遇は『銀河鉄道999』の星野鉄郎のキャラクター原型の一つとなった。

この松本版も東芝オフィシャルなものとして扱われ、広告や系列電気店のシャッター図案も後期は松本のデザインしたキャラクターに差し替えられている。

強化服と一体のフルフェイスヘルメットをかぶり、耳のアンテナがレシーバの中心を通っていない(『パーマン』のそれに類似)のがあさのりじのデザインしたキャラクター、ブーツとレシーバとショルダージェットが特徴的にディテールアップされウエストにベルトのある強化服、レシーバの中心軸と合ったアンテナをつけたジェット型のヘルメットをかぶり、極端なパースがつけられて左右の瞳の大きさが異なる絵が松本のデザインしたキャラクターである。

ストーリー

TV版

ごく普通の中学生、東ヒカルは、両親と共に気球の遊覧飛行を楽しんでいる際に墜落事故に遭ったが、全員奇跡的に一命を取りとめた。

事故の真相は、ギロン星人に母星を滅ぼされ、地球にたどりついた善意の宇宙人エスパー星人の夫妻の飛行音波の衝撃で気球が爆発して起こったもので、実はヒカルの両親はその際に死亡しているが、エスパー星人の夫妻がヒカルへの贖罪の意味も込めヒカルにも秘密で憑依しており、以後、家族として生活している。

そして、ギロン星人も地球にやってきたことを察知したエスパー星人らは、光波エネルギー研究所で強化服を開発中の朝川博士(ヒカルの叔父)に、ひらめきを模したテレパシーを送り、エスパー星の科学力を反映させて強化服を完成させる。

そして、強化服装着者に選ばれたヒカルは「光速エスパー」として、小鳥型サポートロボット「チカ」を介して常に共にあるエスパー星人の母と共に、ギロン星人の地球侵略作戦ほか数々の怪事件に挑戦していく。

松本漫画版

故郷バシウト星(後ろから読むとト・ウ・シ・バ…)の政変により難民となった宇宙人少年、エスパーが地球にたどり着き、異端の科学者古代博士の養子となる。

古代すすむと名乗ることになった少年は、本星で邪悪な政権打倒のためにレジスタンスとして戦う両親を想いながら、博士の開発した強化服(バシウト星人の卓越した体力をもってしか着こなせない未完成な代物)を身につけ、「光速エスパー」として拡大政策をもって地球に侵攻してきたバシウト星人と戦う。

マグナムDという相棒の巨大ロボットも登場する。独裁者を倒した後、本名のエスパーを名のって下宿していたり、なぜか小さくなって(50センチくらい)カプセルのなかに収納されていたりする、漫画版独自のストーリーも展開された。

キャラクターとメカニック

エスパー
ヒカルが「イー・エス・パー」の掛け声によって瞬時に朝川博士開発の強化服を装着した姿。
七つの能力と光線銃が武器。背中のジェット噴射によって光の速度で宇宙空間をも飛行が可能。
エスパー2号
光一がエスパーに似た服を着た姿。エスパー並の能力はないものの、作品の中盤以降エスパーと共に活動する。
ラスター号
光波エネルギー研究所所員が外宇宙での探索活動などに用いられる宇宙船。バリアが主な武器。
スーパー2号
エスパー2号専用機。ラスター号同様バリアーをはることができる。

スタッフ

キャスト

放送リスト

話数 サブタイトル 脚本 監督 登場宇宙人他
1 エスパー誕生 池田和雄 石川義寛
福原博
ギロン星人
2 大彗星M現わる 伊上勝 福原博
3 原子炉のカビ 山崎忠昭 石川義寛
福原博
4 グローブモンスターの襲撃 池田和雄 ギロン星人
グローブモンスター
5 金属をたべる宇宙植物 中西隆三 福原博 ギロン星人
6 超生命フロスター 山崎忠昭 ギロン星人
フロスター
7 ゆがんだ太陽 石川義寛
福原博
ギロン星人
8 ジュピター星のトゲ 中西隆三 福原博 ギロン星人
トゲモンスター
9 地球をおおう虹 ギロン星人
10 金星は地獄だ 山崎忠昭 山田健 ギロン星人
泡状の怪物
11 宇宙マラブンタの来襲 中西隆三 福原博 ギロン星人
12 ウイルスの恐怖 池田和雄 石川義寛
福原博
13 まぼろし円盤撃滅 山崎忠昭 福原博
14 宇宙からきた幽霊船 陶山智
15 エスパー2号誕生 田村多津夫 山田健
16 月面基地応答なし 中西隆三 福原博
17 氷の星からきた男 田村多津夫 山田健 グラソン星人=リーダー・ジョージ大原(演:岩下浩)ほか
18 宇宙人破壊部隊 外山徹
19 超能力を持つ少女 田村正蔵 和(演:宮かおり)
和の母(演:柳川慶子)
20 ラスター号出撃 外山徹 ギロン星人
クレプス人
ガリン星人
21 脳波生物ザボール 中西隆三 福原博 ザボール
22 気球よあがれ 田村多津夫 山田健 ブーペ星人(演:劇団ブーケ)
23 われら宇宙の仲間
24 ノアの箱舟のゆくえ 岩城其美夫 ノア星人(演:飯田覚三高杉玄ほか)
25 アストロ星の兄弟 福原博 アストロ星人=アルタ(演:石川竜二)
アロザ(演:大橋一元)
ノヴァ(演:丹羽又三郎)ほか
26 宇宙の果まで 外山徹 アルゴル星人(演:野口ひろし、平島正一ほか、声:加藤精三)

ネット局・放送時刻

※1967年9月時点の放送局[6]

映像ソフト化

  • 1995年以前にジャパンホームビデオから全6巻のVHSソフトが発売された[2]。また日本ソフトシステムからLDボックスも発売されている[2]
  • 2001年7月25日に発売パノラマ・コミュニケーションズ・販売エスモックにより全話収録のDVD-BOXが発売[7]。同年11月21日に単巻DVD全7巻が発売[7]
  • 2011年9月に全話収録のデジタルリマスター版DVD-BOXが発売。18,000円(税別)

リメイク

1984年笠倉出版社コミックマルガリータ第4号から『STAND BY エクスファー』のタイトルで漫画連載された(単行本未収録)。 原作・大野安之、作画・なかどくにひこ。 主人公・東ヒカルが少女に変更されている。 第3号での企画ページ(松本零士と大野安之の対談も掲載されている)では原題の『光速エスパー』のままとなっており、タイトル変更の理由は不明。

脚注

テンプレート:Reflist テンプレート:前後番組

テンプレート:松本零士

テンプレート:Asbox
  1. 1.0 1.1 テンプレート:Cite book
  2. 2.0 2.1 2.2 テンプレート:Cite book
  3. 3.0 3.1 3.2 『シルバー仮面 アイアンキング レッドバロン大全 宣弘社ヒーローの世界』岩佐陽一・編、双葉社、2001年、180頁。
  4. 4.0 4.1 『福島民報』1967年7月23日。
  5. 『宇宙船』 VOL・10 朝日ソノラマ、1982年、15頁。
  6. 『朝日新聞』1967年9月5日、9面。
  7. 7.0 7.1 テンプレート:Cite journal