人力発電
人力発電(じんりきはつでん)とは、人間を動力源として電気を起こすこと。発電機を回転させ、携帯ラジオ・懐中電灯・携帯電話・パーソナルコンピュータの利用や充電といった電源として用いられる。
概要
人力発電では、小型のものは発電機に手回しハンドルを接続した極めて簡単な機構のみで運用可能である。そのため、災害時や紛争地帯・無人地帯のように燃料や電池の補給が難しい局面で重宝されている。世界各地の情報格差解消が期待される100ドルPCでは、手回し式充電器で利用できるパーソナルコンピュータが開発中である。
またある程度の電力を必要とするものでは足漕ぎ式のものも考えられるが、こちらは余り多く出まわっておらず、そのような用途には専ら太陽光発電(太陽電池)や風力発電、あるいは小型の水力発電機のような、他のエネルギーに電力を求める様式が一般的である。
ただ、足漕ぎや自転車で発電というアイデアも必ずしも非効率という訳ではない[1]。東京工業大学では「大岡山ゑれきてる[2]」と題したコンテストを実施、省電力家庭用電化製品程度なら難なく動かせる発電量を実現したチームも続出している。製品レベルでは日本の日省エンジニアリング[3]や南アフリカのフリープレイパワーグループ[4]がペダル式の充電式電源を開発・販売している。
人間が生きて行けるところであれば必然的にこれら電源が利用可能であるため、このような機器は古くから構想されていた。日本では自転車のダイナモに使われるのが主であったが、2000年代に入って防災用品として注目を集めるようになっており、様々な人力発電機付き機器(主に懐中電灯やラジオ受信機)が発売されている。
人力発電と携帯電話
人力発電は、日本においては災害への備えなど、緊急時の選択肢の一つであったり、あるいはLED懐中電灯など消費電力が極めて小さいながら自然放電などで乾電池が気付かないうちに切れてしまいやすい(そしてそれはいざ使おうとする段に非常に困る)機器への適用という傾向が見出され、携帯電話の充電も太陽光発電による充電装置や電池式充電器など他の充電に使える電源と同程度の意味合いしかない。
しかしアフリカでは、携帯電話の急速な普及[5]に関連して、携帯電話を充電するための重要な電源として利用されている様子も見られる[6]。
アフリカ諸国では、電力用や固定電話用の電線といった有線インフラの整備が遅れている反面、携帯電話は地方コミュニティにとって有力な通信手段となっており、電話の全契約者の9割を占める[7]。これらの携帯電話は、緊急の医療要請から都市部の農作物相場など地域コミュニティに現金収入をもたらす重要な情報を伝えるのに役立っており、それら地域に住む人たちの生活に欠かせないものとなっている。
しかし電源に関しても整備が遅れているため、電力がない地方コミュニティや移動中の利用者の間では自動車バッテリーを使った充電屋などから電気をそのつど購入している[8]。これら充電屋の中には、前述のフリープレイパワーグループの製品である足踏み式充電器を使っているところもみられ、携帯電話の普及の一助ともなっている模様である。
脚注
関連項目
テンプレート:発電の種類en:Electric_generator#Human_powered_electrical_generators- ↑ NHK『大科学実験』では競輪選手20人が一斉に全力疾走する事でメリーゴーラウンドを駆動することに成功した
- ↑ 大岡山ゑれきてる
- ↑ 日省エンジニアリング
- ↑ フリープレイパワーグループ
- ↑ WIRED.jp「急速に普及進むアフリカ諸国の携帯電話」
- ↑ YouTube“Rural Energy Case Study Freeplay Foundation 9 08 07”
- ↑ JICA記事「ウガンダの農家を変えた携帯電話」
JANJANニュース/IPSニュース - ↑ 海外通信・放送コンサルティング協力記事「あらゆる階層の生活を変えつつあるアフリカの携帯電話」