亜硝酸ナトリウム
亜硝酸ナトリウム(あしょうさんナトリウム、Sodium nitrite、NaNO2)はナトリウムの亜硝酸塩である。別名は亜硝酸ソーダ[1]。工業薬品JIS K1472-83、試薬JIS K8019-92、食品添加物[1]。毒物及び劇物取締法で劇物に指定。消防法で危険物第1類(酸化性固体)の亜硝酸塩類(酸化性固体亜硝酸塩類第1種酸化性固体(50kg))。水質汚濁防止法で施行令第2条有害物質。
特徴
白色または黄色の斜方晶系の結晶で、市販品は粉末・棒状または粒状のものが多い[1]。吸湿性[1]・潮解性を示し水によく溶け、水溶液はアルカリ性となる[1]。アルコールやエーテルには微溶解する[1]。酸で分解すると三酸化二窒素を生じる[1]。
特性と用途
代表的な秩序‐無秩序型の強誘電体のひとつとして知られる[2]。金属の表面処理、発泡剤、熱処理剤のほかに、漂白、アゾ染料のジアゾ化、試薬等で用いられる。またニトロ化合物や酸化窒素の製造にも用いられる[1]。
食品添加物としては、日本では肉加工品の塩せきに用いられ、特に非加熱のソーセージには発色や細菌繁殖を抑制するために添加が義務づけられている[3]。ボツリヌス菌の増殖[4]や病原性大腸菌O157の毒素(ベロトキシン)増加を抑える効果があるとされる[5]。
防錆剤としてはコンクリート中の鉄筋腐食防止[6]、滅菌剤としては医療器具消毒でほとんどのウイルスや細菌を不活性にする中水準消毒剤として用いられる[7]。
医療においては、青酸中毒の患者に解毒剤として用いられることがある。
合成方法
工業的な製法では、アンモニアを酸化して得た一酸化窒素を冷却して過酸化窒素を発生させ、炭酸ナトリウムないし水酸化ナトリウムに吸収させて合成する[1]。
- <math>
\rm 2Na_2CO_3 + 4NO + O_2 \longrightarrow 4NaNO_2 + 2CO_2 </math>
また、実験室では、融解させた硝酸ナトリウムと鉛を加熱しながら反応させることで得られる[1]。
- <math>
\rm NaNO_3 + Pb \longrightarrow NaNO_2 + PbO </math>
取り扱い上の注意
燃焼
可燃物と混合した状態では容易に発火、燃焼する。特にアンモニア塩類やシアン化合物との混合状態では爆発の危険性がある。発火時は水で消火する[1]。
人体への影響
劇物。致死量は約2gと言われる[1]。高濃度の溶液を飲むと中毒症状を起こし、頭痛や吐き気、チアノーゼ、意識障害やけいれんなどを発症する[1]。皮膚接触での刺激は弱い[1]。なお、発がん性を指摘する声もある[3]。
飲み込んだ際の応急処置は、牛乳や生の鶏卵などを飲ませ、吐き出させる。皮膚や目に付着した際には充分な水で洗い流すことが望まれる[1]。
廃棄
水溶液とし、攪拌するスルファミン酸溶液中に少しずつ加えて分解する。または水溶液として加温・攪拌しながら塩化アンモニウムを少しずつ加えて分解する[1]。
参考文献
- 日本化学会・編『第4版 新実験化学講座 16巻 無機化合物』 丸善、1991年
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:Chem-stub- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「Kagaku1996
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 3.0 3.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 食品添加物データシート:亜硝酸ナトリウム 横浜市衛生研究所 検査研究課
- ↑ 森田英利、他『一酸化窒素による腸管出血性大腸菌O157の抗菌メカニズムとベロトキシン産生量』 麻布大学雑誌、No.5/6、P.176-181、2003年
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web