中華民国憲法
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中華民国憲法(ちゅうかみんこくけんぽう、繁体字:中華民國憲法)は、中華民国の憲法で最高法規。
目次
沿革
北京政府期
- 1912年3月11日:中華民国臨時政府(臨時大総統:孫文)が、憲法に相当する臨時の基本法として、中華民国臨時約法を制定。
- 1913年:中華民国第一期国会に、中華民国臨時約法を基とした「中華民国憲法草案」(天壇草案)が提出される。しかし、袁世凱総統が草案に対して不満を表明したことから、1914年の国会解散まで草案は一切審議されず。
- 1914年5月1日:袁世凱、自らが創案した中華民国約法(暫定憲法、袁記約法)を提出。
- 1919年:段祺瑞、政権掌握後に「中華民国憲法草案」(八年草案)を提出。
- 1923年:曹錕、大総統就任時に「中華民国憲法」(曹錕憲法)提出。
- 1925年:段祺瑞、政権の再掌握時に再び「中華民国憲法草案」(十四年草案)を提出。
国民政府期
- 1928年:中国国民党が中国を統一した後に、同10月3日国民党の中央常務委員会から「訓政綱領」が成立、1931年5月5日に開催された国民大会で「中華民国訓政時期約法」が成立した。同年6月1日に施行。
- 1936年5月5日:国民政府は「中華民国の憲法草案(55草案)」を公表する。
- これは現在の中華民国憲法の前身となるものであったが、日中戦争の勃発のために国民大会を開催することができずそのままとなる。
- 1946年1月10日:憲法策定作業の開始。
- 1946年12月25日:制憲国民大会において、中華民国憲法(五権憲法)が制定される。
- 1947年1月1日:中華民国憲法、公布される。
- 1947年12月25日:中華民国憲法、施行される。
- 1948年5月10日:中華民国憲法の付属条項として、動員戡乱時期臨時條款が施行される。
- 1949年2月:中国共産党、支配地において、中華民国憲法を含めた国民政府の六法全書の廃止(中国語:關於廢除國民黨的六法全書與確定解放區司法原則的指示)を発表。
- 1949年10月1日:中華人民共和国成立。国民政府の実効支配地域を除いた中国大陸において、中華民国憲法が効力を失う。
- 1991年5月1日:動員戡乱時期臨時条款が廃止される。
戒厳解除以後
- 1991年5月1日:第一次憲法改正。10条から成る中華民国憲法増修條文(以下、増修條文)が公布される。
- 1992年5月28日:第二次憲法改正。増修條文の11条~18条の追加が公布される。
- 1994年8月1日:第三次憲法改正。1996年より総統の直接選挙実施。
- 1997年7月21日:第四次憲法改正。
- 1999年9月15日:第五次憲法改正。
- 2000年4月25日:第六次憲法改正。国民大会の権限縮小。
- 2005年6月10日:第七次憲法改正。国民大会廃止。立法院改革。
構成
14章、175条で構成されている。
前文
中華民国の国民大会は国民全体の委託を受けて、孫中山(孫文)先生による中華民国の遺訓をここに創立して、強固な国作りのため、民権を保障するため、社会の安定を形成するため、人民の福利を増進するため、この憲法を創設し全国に公布施行して、永遠に我々はこれに全て従うこととする。
第一章 総則
中華民国は、三民主義に基づいて、人民のため、人民が治める、人民に享受する民主的な共和国とすると記載され、主権は国民に、中華民国の国籍、領土保持の記載が続き、第六条で中華民国の国旗は青天白日満地紅旗とすると明記されている。
第二章 人民の権利と義務
- 国民平等の原則、住居、言論、宗教、学問、秘密、集会の自由等が記載され、選挙権、生存権、財産権等の権利が記載され、納税、兵役、教育の義務が記載されている。
第三章 国民大会
国民大会が政権を行使できると記載され、以下構成、選出方法等が続く。
第四章 総統
総統が中華民国の元首であり、代表と記載され、軍の最高責任者であり、行政院院長の指名等の役職、任期、被選挙権等が記載されている。
第五章 行政
第六章 立法
第七章 司法
第八章 考試
考試院が国家の最高試験機関と明記。公務員の採用・考課試験などを取り仕切ると記載。その他構成、役職などが記載。
第九章 監察
監察院が国家の最高監察機関と明記。公務員や行政の不正追及や弾劾を行うと記載。その他構成、役職などが記載。
第十章 中央と地方の権限
中央政府の役割と地方自治の原則が記載。
第十一章 地方制度
- 第一節 省
- 第二節 県
- 県(台湾)の政治制度の仕組みの記載。
第十二章 選挙、罷免、創制、復決
すべての選挙権、被選挙権等の規定が記載。
第十三章 基本国策
- 第一節 国防
- 軍の役割、軍の文民統制が記載。
- 第二節 外交
- 平和外交や国際協力、海外同胞の保護を目的とし「連合国(国際連合)」の憲章を尊重するとも記載されている。
- 第三節 国民経済
- 金融機関は国が管理するとも記載。
- 第四節 社会安全
- 社会保障が記載。
- 第五節 教育文化
- 教育の原則が記載。
- 第六節 辺境地区
- 各地域、民族の自治権または生活の保障等が記載。
第十四章 憲法の施行及び修正
関連項目
外部リンク
- 中華民国憲法(日本語)(中華民国・台北駐日経済文化代表処の情報)
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