世代宇宙船
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世代宇宙船(せだいうちゅうせん)は恒星間航行の手段の一つとして考えられている恒星船である。元々はサイエンス・フィクション (SF) によって提唱された概念である。
概要
相対性理論に従う限り宇宙船は光速を超えられず、他の恒星系へ行くには数十年ないしそれ以上の時間を要する。そこで都市あるいは国家に匹敵する人口を収容可能な、それ自体居住空間としての機能もそなえた、巨大な宇宙船に多数の男女が乗り組み、船内で子供を産み、育て、初代乗組員の子孫が目的地に到着するのである。
数世代にわたる星間航行を実現させるため、世代宇宙船には考えうるあらゆる事態に対応できるよう、搭載可能な限りの知識が持ち込まれる。これはまた次世代へ母星の歴史を継承するためや、教育のためでもある。また、酸素や水資源などのリサイクル環境も、十二分に配慮されるべきである。あるいは、前世代人の肉体も循環可能な資源とみなされる場合もある。
世代宇宙船の問題点としては、地球から遠く離れ数世代を重ねて航行する世代宇宙船の乗組員たちが、地球人としてのアイデンティティーや、第一世代の持っていた目的意識を継承し続けることは難しいということが挙げられる。SF作品の中には、世代を重ねるうちに自分たちが宇宙船に乗っている事が忘れられてしまい、外の世界の存在を知らないまま飛び続ける話もある。
また、世代宇宙船は地球の文明の進歩から取り残されることになり、その出港後に画期的な超光速航法が開発され、後の宇宙船が追い越してしまうのではないか、という問題もある(ただし、超光速航法は2013年現在の物理学上、理論的に不可能であるが、世代宇宙船はコストや時間を度外視すれば理論的には実現可能である)。
世代宇宙船が登場する作品
- 宇宙の孤児(ロバート・A・ハインライン)
- 遙かなる地球の歌(アーサー・C・クラーク)
- 虚空のリング(スティーヴン・バクスター)
- 宇宙大作戦 (米国のテレビドラマ)
- メガゾーン23 (OVA)
- 星をみるひと(ファミリーコンピュータゲーム)
- アルファ(スクウェア)(パソコンゲーム)
- スターロスト 宇宙船アーク(カナダのテレビドラマ)
- 宇宙戦争(横山信義)
- 2001夜物語(星野之宣)
- エデン2185(竹宮恵子)
- サイレント・ランニング
- マクロスシリーズ
- Marathon(Bungie)(パソコンゲーム)
- 無限航路(コンシューマーゲーム)
- ガデュリン(羅門祐人)
- シドニアの騎士(弐瓶勉)
- ヴァイスの空(あさりよしとお、カサハラテツロー)