ルキアノス
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ルキアノス(17世紀の銅版画)
ルキアノス(サモサタのルキアノス、ルーキアーノス、 Lucianos, Lucianus, Lucinus, 英語ではLucian of Samosata(ルシアン), 120年頃 - 180年以後)はギリシャ語で執筆したシリア人の風刺作家である。
ルキアノスはシリアのサモサタで生まれ、アテナイで没した。彼は80以上の作品の著者として考えられているが、それら全てを著わしたわけではないであろうと考えられる。最も知られている著作としては『神々の対話』と『死者の対話』があげられる。
彼は『ペレグリーノスの昇天』という風刺作品を書いたが、この作品では主人公のペレグリーノスがキリスト教徒たちの寛大さとだまされやすさにつけ込むという話が展開されている。これは非キリスト教徒から見たキリスト教をとらえた書物で現在残っている初期のものの一つである。
また、『本当の話』という作品では、月への旅行譚を書いており、しばしば最古のSFの一つとして言及される。
日本ではルキアノスはあまり知られておらず、彼の翻訳書も乏しい。主な翻訳としては以下のものがある。
- 『神々の対話 他6編』(岩波書店)呉茂一、山田潤二(訳)(1953年)
- 『遊女の対話 他3編』(岩波書店)(『ペレグリーノスの昇天』を収録)高津春繁(訳)(1961年)
- 『ルキアノス選集』(国文社)内田次信(訳)(1999年)(注:この選集内では『死者の対話』は『死者の対話集』として載っている。)
影響
- 詩『嘘を好む人たち Philopseudes』に基づきゲーテがバラード『魔法使いの弟子 Der Zauberlehrling 』を書いた。そのフランス語訳に基づき、デュカスが交響的スケルツォ『魔法使いの弟子』を作曲した。