モトローラ
モトローラ (Motorola, Inc., NYSE:MOT) は、かつて存在したアメリカ合衆国の電子・通信機器メーカーである。 2011年1月4日をもって、二つの独立した公開会社であるモトローラ・モビリティ及びモトローラ・ソリューションズに分割された[1]。本社所在地はシカゴ近郊のイリノイ州シャンバーグであり、分割以降はモトローラ・ソリューションズが引き継いでいる。
目次
概要
テンプレート:節stub 携帯電話端末、トランシーバー、(過去には)マイクロプロセッサ(モトローラはMPUと呼ぶ)をはじめとする半導体チップを主な事業とする。日本では、一般業務向け携帯無線機で有名である。企業スローガンは、"HELLOMOTO"及び"intelligence everywhere"である。
従来、携帯電話に搭載するOSとしてSymbian OS / UIQや独自OS、Linux、Windows Mobileなど様々なOSを採用していたが、2008年のCEOの交代後にはプラットホームの選別姿勢を強め、現在ではオープンOSとして米Google製のAndroidとLinuxを採用するようになっている。また、最新の携帯電話の一部ではCrystal Talkといわれる通話時の騒音軽減システムを搭載している。
分社化した事業
テレビ・ラジオ
1974年、テレビ・ラジオ事業を松下電器産業(現パナソニック)に売却した。これにより松下は、北アメリカでのテレビ事業を拡大した。有名なブランドにQuasar があった。
衛星通信
モトローラは、66機の衛星を使って、世界で初めて全地球をカバーする衛星通信ネットワークを構築した。衛星通信事業を伸ばすために、1990年代後半に設立したイリジウムコミュニケーションズは、顧客の獲得に失敗し、1999年に倒産した。衛星電話の製造もイリジウムが行っていた。
政府・防衛事業
2001年、事業の不振によりジェネラル・ダイナミクスへ売却した。
半導体
1999年8月4日、ディスクリート・標準アナログ・標準ロジックなどの半導体部門をオン・セミコンダクターとして分社化した。これは、イリジウムコミュニケーションズ倒産の損失をカバーするために分社化された。
2003年10月16日、組み込みシステム向けのチップを主力とする半導体部門をフリースケール・セミコンダクタとして分社化した。
以降、モトローラ社自身は半導体を製造していない。
車載システム
2006年7月、自動車部品事業をコンチネンタルAGに16億ドルで売却した。4500人の従業員とテレマティクスシステム、エンジン・トランスミッション制御や車体制御の電子部品、ステアリングやブレーキ用のセンサ、およびパワーウィンドウ用の電子部品などの事業が売却された。
生体認証
2008年10月、アナハイムCalifに本社のあった生体認証事業をサフランに売却した。
モバイル事業とその他の事業での会社分割
2008年、モトローラの携帯電話端末の世界での市場占有率は第4位(8.3%)であった(第1位はノキアで38.6%、2位はサムスン電子で16.2%)[2]。永らく2位が定位置であったが、RAZR以降にヒットが出ないこともあって4位に転落した。2007年第4半期以降、携帯電話事業は極度の不振に陥り、2008年3月、モバイル事業の分社化計画を発表した。
2010年11月30日、「2011年1月4日に2社の独立した株式公開企業に分割する予定である」と発表した。同社の取締役会によって承認された内容は、"Motorola"から携帯電話とセットトップボックス事業を行う"Motorola Mobility Holdings"を分社化した上で、エンタープライズおよびネットワーク事業製品を継続して担当する"Motorola"は社名を"Motorola Solutions"に改めるというものであった。
ガートナー社による2010年の世界携帯電話販売推計では、アップルとリサーチ・イン・モーション(現ブラックベリー)の躍進にともない、モトローラの販売台数は、約3855万台で、 2.4%の市場占有率であった。[3]
2011年1月4日、"Motorola Mobility"の最高経営責任者(CEO)にはこれまでも共同CEOとしてモトローラを統括してきたSanjay Jhaが就任し、"Motorola Solutions" のCEOにはGreg Brownが就任した。ニューヨーク証券取引所での銘柄コードは、"Motorola Solutions" は "MSI" となり、"Motorola Mobility Holdings" は "MMI" となった。
分社化によって従来の株主は、"MOT" 普通株式8株に対して"MMI"の普通株式1株を得る。また、この新たな市場取引の開始までに、現有の "MOT" 普通株式7株が "MSI" 普通株式1株に変換される[4]。
無線ネットワークインフラ部門
歴史
- 1928年 - Galvin(ガルビン)兄弟が "Galvin Manufacturing Corporation"(ガルビン・マニュファクチャリング・コーポレーション)を設立した
- 1930年 - 世界初のカーラジオ Motorola 5T71型 を開発。"Motorola"とは、"Motor"(モーター、自動車)の"ola"(オーラ、音)という意味である
- 1947年 - 社名をブランド名であった "モトローラ" に変更した
- 1950年代 - 半導体部門設立
- 1974年 -モトローラ初のMPU "MC6800"を発表。Quasarブランドの家庭用電子機器部門(テレビなど)を松下電器産業(現 パナソニック)に譲渡した
- 1979年 - 初の32ビットMPU "MC68000"を発売した
- 1984年 - MPU "MC68020"を発表した
- 1989年 - 携帯電話端末 "MicroTAC"(マイクロタック)を発売した
- 1999年 - 半導体の一部門がオン・セミコンダクターとして独立した
- 2004年 - 半導体部門がフリースケール・セミコンダクタとして独立。米国の携帯電話端末市場で好調な販売を記録した"RAZR"を発売。派生モデルも含めると3年間で、7,500万台の販売を達成した
- 2006年 - ドイツの自動車部品メーカーコンチネンタルAGに対して車載エレクトロニクス事業を約10億ドルで売却した
- 2007年 - 経営合理化計画を発表。合計7,500名のレイオフを実施した
- 2008年3月27日 - 携帯電話事業を別会社に分離すると発表した。4月、株式公開買い付けにより、日本のバーテックススタンダードを傘下に収める(バーテックススタンダードはこれにより上場廃止)
- 2009年2月27日 - 日本国内向け携帯電話のサポートを終了した
- 2010年7月19日 - 無線インフラ事業の大部分をノキアシーメンスに売却することを発表。約12億ドル
- 2011年1月4日 - 携帯端末・セットトップボックス事業の「モトローラ・モビリティ」と、その他の事業の「モトローラ・ソリューションズ」へ分割。
米本社
事業部門:[5]
- エンタープライズ・モビリティ・ソリューション:本社は、シャンバーグに所在。官公庁や公衆安全部門及び企業の移動体通信事業を行う。アナログ・デジタル2ウェイラジオ、音声・データ通信、モバイルコンピューティング製品、データ収集システム、無線基地局及びRFID事業など。2011年1月4日をもって、モトローラ・ソリューションズへ。
- ホーム&ネットワーク・モビリティ:本社は、イリノイ州アーリントンハイツに所在。無線・有線媒体によるエンターテイメント・情報・通信サービス事業を行う。デジタルビデオシステム、セットトップボックス、音声及びデータモデム、衛星放送やケーブルテレビのブロードバンドアクセスシステム、および有線・無線通信キャリア事業など。2011年1月4日をもって、セットトップボックス事業はモトローラ・モビリティへ、その他の事業はモトローラ・ソリューションズへ。
- モバイルデバイシズ:本社は、イリノイ州リバティービルに所在。携帯電話等の製造事業を行う。携帯電話端末、無線端末、ブルートゥース製品及びこれらを統合した製品など。2011年1月4日をもって、モトローラ・モビリティへ。
日本法人
- 社名: モトローラ株式会社
- 本社: 〒141-6021 東京都品川区大崎二丁目1番1号 ThinkPark Tower
- 設立: 1975年4月(創業1962年11月)
- 資本金: 101億1,020万円
- 株主: Motorola, Inc. 100%
- 売上高: 1,021億円(2006年12月末)
- 従業員: 約530名(2007年9月1日付)
製品
携帯電話
ここでは主な携帯電話だけを記す。Motorola の端末一覧(英語)も参照のこと。
- マイクロタック
- Motorola v60 - 金属のシェルをもつ携帯
- Motorola V66
- Motorola A1000
- Motorola FONE F3 - ディスプレイに電子ペーパーを採用した携帯
- Motorola RAZR V3 - 薄型携帯電話のトレンドを起こしたモデル。現在までに、RAZRシリーズ全体で1億台以上販売された。
- Motorola MING (A1200) - Linux OS搭載ペン型スマートフォン
- Motorola PEBL - 海にある丸い石をイメージした形
- Motorola ROKR E1 - 初のiTunes搭載携帯
- Motorola RIZR - スライド携帯
- Motorola SLVR - ストレート携帯 iTunes (SLVR L7)やi-modeを搭載している機種もある
- Motorola Q - QWERTY配列のプラスチックキーボードを搭載した Windows Mobile スマートフォン
- Motorola DROID - QWERTY配列のプラスチックキーボードを搭載した Android スマートフォン、Timeのガジェットトップ10でiPhone 3GSを抑え1位を獲得。
日本のキャリアへ供給した端末は以下の通りである。
- TACS システム端末機
- 旧セルラー会社 納入端末
- MP-501 自動車電話
- MP-501V 自動車電話ボイススクランブル付(モトローラ独自通話秘話機能)
- MP-502 自動車電話ローミング機能付き
- HP-501 当時世界最小携帯電話 初代マイクロタック 携帯電話 質量約200cc
- HP-502 マイクロタックⅡ 初代の悪い点を主に日本市場の意見を米国へフィードバックし改良し消費電力を半減。
- HP-503 マイクロタックⅢ M社最初?のガラパゴス携帯 表示が液晶となる、内部回路の改良は少数
- デジタルムーバ M(ドコモ向け)
- M101(ドコモ向け)
- M206(ドコモ向け)
- NTT DoCoMo FOMA M1000(A1000を元に開発された)
- NTT DoCoMo FOMA M2501 HIGH-SPEED
- NTT DoCoMo FOMA M702iS
- NTT DoCoMo FOMA M702iG
- ツーカー TH541
- Vodafone 702MO
- Vodafone 702sMO
- cdmaOne C100M (au向け)
- au Motorola Photon ISW11M
- au Motorola RAZR IS12M
- SoftBank MOTOROLA RAZR M 201M
PHS
- パルディオ311M(NTT中央パーソナル通信網(現NTTドコモ)向け)
ポケットベル
Bluetooth
(日本国内向けのみ)
- モトローラS9-HD&iPodアダプター(ステレオヘッドセット+ iPodアダプター)
- モトローラS9(ステレオヘッドセット)販売終了
- モトローラS605(ステレオヘッドセット)
- モトローラS605&iPodアダプター(ステレオヘッドセット+ iPodアダプター)
- モトローラH620シリーズ(モノラルヘッドセット)
- モトローラH300シリーズ(モノラルヘッドセット)
- モトローラH500(モノラルヘッドセット)販売終了
- モトローラH680(モノラルヘッドセット)
- モトローラHT820(ステレオヘッドセット)販売終了
- モトローラS9(ステレオヘッドセット)販売終了
- モトローラS9&iPodアダプター(ステレオヘッドセット+ iPodアダプター)
トランシーバー
(日本国内向けのみ)
- 携帯型
- GL2500R
- GL2000
- GP328・338
- GP3188・3688
- Handie Talkieシリーズ
- MTS2000
- VISARシリーズ
- XTS3000・5000
- 車載型
- MCS2000
- MD100C+・100P
- MTR2000
- MIB9000
- GM3188・3688
- SENTRAX
- XTL2500
- 基地局設備
- QUANTAR
通信機用IC
- MC3357P
MPU
Macintosh互換機
その他
- au BOX(VIP-1830)(au向けIPセットトップボックス)
脚注
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 2010年第3四半期の世界市場での携帯電話端末の利用者向け売上台数では第7位の市場占有率2.1%であった。ノキア、サムスン電子、アップル、LG、リサーチ・イン・モーション(現ブラックベリー)、ソニー・エリクソン、モトローラの順である。
- ↑ ガートナー 2010年世界携帯電話販売台数推計
- ↑ cnet.japan 「モトローラ、2011年1月4日から正式に2社分割へ」
- ↑ [1](2008年11月13日時点のアーカイブ)