マイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox マイルテンプレート:Lang-en、哩、略号:mi、ml)は、ヤード・ポンド法等における長さ距離)の単位である。

今日では、マイルという単位は通常は、主に陸上の距離の計測に用いられる1国際マイル=1760ヤード = 正確に1609.344メートルを指す。日本の計量法における定義も同じである。アメリカには、国際マイルとわずかに異なる測量マイルが残っている(後述)。

これ以外に、主として海上()や空中(飛行機)で用いられる ノーティカルマイル (nautical mile) 1海里 = 正確に1852メートルがある。

国際マイルと海里以外にも数種類のマイルがある。記号は、アメリカでは"mi"、イギリスでは"ml"である。かつては"m"も用いられたが、メートルと同じであるため、今日ではあまり用いられない。日本の計量法における記号はフルスペルで、"mile"である[1]

歴史的表記として、明治期から昭和初期における日本国内の鉄道は、イギリスやアメリカから導入したため、距離をマイルで表し、また単位表記は現在と異って大文字の"M"、もしくは漢字の"哩"(マイル)を用いた[2]

現行のマイル

今日に残っているマイルには以下のものがある。

国際マイル (international mile)
単にマイルと言った場合は通常はこれを指す。1国際マイルは1760国際ヤードと定められている。1958年7月に締結された国際協定により、1国際ヤードは正確に 0.9144メートルと定められたので、1国際マイルは、正確に1609.344mである。アメリカ合衆国(測量以外の分野)とイギリスでヤード・ポンド法の一部として使用されている。
測量マイル (U.S. survey mile)(米国測量マイル)
測量マイルは5280測量フィート、(正確に)6336/3937 kmであり、約1609.347 218 694m である。国際マイルよりも約3.219mmだけ長い。1国際マイルは、正確に0.999 998測量マイルである。測量マイルはアメリカ合衆国の公有地測量システムで使用されている。1測量マイルは8ハロン、80チェーンに等しい。
法定マイル (statute mile)
1593年にイギリスで法定されたためこう呼ばれる。1760ヤードであるが、ヤードの定義の違いにより法定マイルの長さも異なる。アメリカ合衆国で単に"テンプレート:En"と言った場合は、国際マイルを指すことも、測量マイルを指すこともある。これに対して、"U.S. statute mile"は、測量マイルのみを指す[3]
国際海里 (international nautical mile)
正確に1852メートルと定義されている。航空航海において使用される。元々は地理マイルgeographical mile、約1853メートル)に由来するものである。

アメリカ合衆国やイギリスの競馬での距離には、マイルを用いている。日本の競馬では、マイルチャンピオンシップのようにレース名に用いられたり、習慣的に1600メートルをマイルと呼ぶことはあるが、公式な競走距離の単位としては採用されていない。また、1マイルの距離に適性のある競走馬は、マイラーと呼ばれている。

英語圏以外のマイル

英語圏以外でも、マイルと英訳される、あるいはマイルがそう訳される距離の単位が多い。

その範囲は広く、おおよそ1キロメートルから11キロメートルの範囲にわたる。主なマイルの長さは以下のとおり。

イタリアマイル(ミリオ miglio)
古代は2.226キロメートル、伝統的には1.489キロメートル、現在は1キロメートル。
古代ローママイル(ミッアリウム milliarium)
1000歩であり、1.48キロメートル前後。
スペインマイル(ミリャ milla)
旧制1394メートル、新制1852メートル(上記国際海里と同等)。スペイン語圏中南米では新ミリャに近い。
アラビアマイル(ミレ mille)
1.9 - 2キロメートル。
ドイツマイル(マイレ Meile)
7.5キロメートル前後。周辺国でも使われ、オーストリアでは7.587キロメートル。
ノルウェーマイル・スウェーデンマイル(ミル mil)
伝統的には11キロメートル前後。現在は10キロメートル。

ただし、メートル法移行によりマイルは歴史的な単位となり、単にマイルといえばヤード・ポンド法のマイルを意味することも少なくない。

メートルマイル

メートルマイル (metric mile) は、マイルをメートル法化したもので、その長さは1500メートルである。1500という数字は、1マイル(1609.344メートル)に近く、かつメートルできりの良い値になるように決められたものである。メートルマイルは陸上競技で使用されている。中距離走1500メートル競走は、国際大会においてそれまでの「1マイル走」に代わるものとして始められたものである。多くの陸上競技用トラックは1周400メートルであるため、1500メートル走は3周と4分の3で競われる。

派生単位

  • マイル毎時(mph): 速度の単位
  • マイル毎ガロン(mpg): 燃費の単位

歴史

マイル (mile) という単語は、ラテン語のmille(千)に由来する。古代ローマには、2歩(片方の足を踏み出してから次に同じ足を踏み出すまで)分の長さに相当するパッスス ("passus") という単位があった。これの1000倍の"mille passus"がマイルの由来とされている。1パッススは5フィートだったので(ただしこのフィートは現在のものより短い。現在のフィートでは約4.83フィートとなる)、1マイルは5000フィートとなる。ローマ人がヨーロッパ中に建設される道には、ローマを起点として1マイルごとに標石が設置された。その標石はマイルストーンと呼ばれる。1593年、エリザベス1世によって、1マイルは8ハロン(5,280フィート)と定められた。そのため、このマイルはstatute mile(法定マイル)と呼ばれる。

航海の分野では、地理マイルが一般的に使われた。地理マイルは、地球の赤道に沿って1の弧の長さ(約1855メートル)として定義された。

1959年に国際マイルが採用されたとき、それまでアメリカで地籍測量に使われていたマイルが測量マイルとして残された。

19世紀ドイツの大部分とデンマークでは、オーレ・レーマーの測量によって約7.5キロメートルと特定された1地理マイル(地球上で4分の弧の長さ)をマイルとしていた。ドイツの一部では、ちょうど7.5kmを「メートル法マイル」として使用していたが、20世紀初頭には使用されなくなっていた。スカンジナビアでは長い間オーレ・レーマーによるマイルを「海里」として使用していたが、20世紀中頃には国際海里に置き換えられた。今日でも、伝統主義的なスカンジナビア人は国際海里を「4分の1マイル」であると見ている。ノルウェーとスウェーデンでは、日常会話では現在でも一般的に使われている伝統的な単位のことを指しているが、現在は公式には10キロメートルと定義されている。

アイルランドでは、2240ヤードと定義される「アイリッシュ・マイル」が、1826年までは公式なものとして使用されており、2005年1月に長さの計量単位がメートルに置き換えられるまで生き残っていた。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目


長さの単位
メートル
SI単位)
海里 ヤード チェーン マイル
1 m = 1 ≈ 0.00053996 ≈ 1.0936 ≈ 0.049710 ≈ 0.00062137 = 3.3 = 0.55 ≈ 0.0091667 ≈ 0.00025463
1 M = 1852 = 1 ≈ 2025.4 ≈ 92.062 ≈ 1.1508 = 6111.6 = 1018.6 ≈ 16.9767 ≈ 0.47157
1 yd = 0.9144 ≈ 0.00049374 = 1 ≈ 0.045455 ≈ 0.00056818 = 3.01752 = 0.50292 ≈ 0.0083820 ≈ 0.00023283
1 ch = 20.1168 ≈ 0.010862 = 22 = 1 = 0.0125 = 66.38544 = 11.06424 ≈ 0.18440 ≈ 0.0051223
1 mi = 1609.344 ≈ 0.86898 = 1760 = 80 = 1 = 5310.8352 = 885.1392 ≈ 14.752 ≈ 0.40979
1 尺 ≈ 0.30303 ≈ 0.00016362 ≈ 0.33140 ≈ 0.015064 ≈ 0.00018829 = 1 ~= 0.16667 ≈ 0.0027778 ≈ 0.000077160
1 間 ≈ 1.8182 ≈ 0.00098174 ≈ 1.9884 ≈ 0.090381 ≈ 0.0011298 = 6 = 1 ≈ 0.016667 ≈ 0.00046296
1 町 ≈ 109.09 ≈ 0.058904 ≈ 119.30 ≈ 5.4229 ≈ 0.067786 = 360 = 60 = 1 ≈ 0.027778
1 里 ≈ 3927.2 ≈ 2.1206 ≈ 4294.9 ≈ 195.22 ≈ 2.4403 = 12960 = 2160 = 36 = 1
  1. [1] 計量単位規則 別表第六 面積 平方マイルの欄
  2. 補助単位は、明治初期の鉄道導入当初にはフィート(呎)も用いられ、例えば"5哩2,340呎"などという表記もあったが、すぐにチェーンに統一された。表記はやはり大文字の"C"または漢字の"鎖"を用いた。また明治末になるとチェーンの使用を廃止し、例えば"12.34M"のように100分の1マイルを小数で表記する方法に切り替わった。
  3. http://physics.nist.gov/Pubs/SP447/sec12.pdfのp26