ホソアカクワガタ属
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ホソアカクワガタ属(ホソアカクワガタぞく、Cyclommatus)は、甲虫目・クワガタムシ科に属する分類群。体色も大アゴも奇抜なものが多く、人気がある。
特徴
東南アジアを中心に分布し、各種の分布域が狭いことが特徴として挙げられる。人気はあるものの短命なので長期飼育には向いていない。また、種毎の差異が少なく、分類が混乱している状態である。
脚の脛節の外側のぎざぎざが見られない。また複眼突起もなく、学名は「丸い目」を意味する。ツバキ科の植物の新芽を傷つけ汁を吸うといわれている。
非常に華奢な体形をしており、特にメタリフェルホソアカクワガタは大顎が体長の半分以上を占めることも珍しくない。 この属は、樹液に集まるのではなく、草本の花に集まることが知られている。(飼育下では昆虫ゼリーや、果実、樹液も食する。) このような足場が不安定な場所での闘争には、リーチが長い方が有利だったため、このような形態に進化したと考える研究者もいる。
長い大顎は一見するとチリクワガタのように、挟む力はそれほどでもないように見えるが、実際はかなり挟む力は強い。僅かに頭循のようなものが発達する頭部形状と大顎、低温を好む部分がミヤマクワガタ類に近い。
種類
- メタリフェルホソアカクワガタ Cyclomatus metallifer
- ホソアカクワガタ属の中では2番目に大きい種類である、最大個体は100mmに達する。先端の内歯から外歯にかけて細かい内歯が並ぶ。日本において最も普通に輸入・販売・飼育されているホソアカクワガタ。大顎発達が著しいホソアカクワガタ属の中でも、特に大顎が発達する。「メタリフェル」の名の通り、亜種間で差はあれど、オスの鞘羽は金属光沢を有する。
- インペラトールホソアカクワガタ C. imperator
- コウテイホソアカクワガタともいう。90mmにもなり、ニューギニア島において最大のクワガタムシ。
- エラフスホソアカクワガタ C. elaphus
- 大型のものでは10cmを越える最大のホソアカクワガタ。
- 原名亜種 C. e. elaphus
- スマトラ島南部
- C. e. truncatus
- スマトラ島北部
- C. e. kirchnei
- スマトラ島西部
- アラガールホソアカクワガタ C. alagari DeLisle, 1968
- パラワン島に生息する異色のホソアカクワガタ
- プルケルスホソアカクワガタ C. pulchellus
- ニューギニア島
- マルガリータホソアカクワガタ C. margaritae Gestro, 1877
- ニューギニア島
- バインライヒホソアカクワガタ C. weinreichi Laxroix, 1972
- ニューギニア島
- カウピホソアカクワガタ C. kaupi Deyrolle, 1865
- ニューギニア島
- ゲストロホソアカクワガタ C. gestroi Nagel, 1931
- ニューギニア島
- スペキオススホソアカクワガタ C. speciosus
- イグジミウスホソアカクワガタ C. eximius Möllenkamp, 1909
- ニューギニア島
- モンタネルスホソアカクワガタ C. montanellus Möllenkamp, 1904
- ボルネオ島
- チュウホソアカクワガタ C. chewi Mizunuma, 1994
- ボルネオ島
- ムルティオルムホソアカクワガタ C. murutiorum H. Ikeda et Katsura, 2001
- ボルネオ島
- タランドゥスホソアカクワガタ C. tarandus (Thunberg, 1806)
- ボルネオ島
- ルニフェルホソアカクワガタ C. lunifer Boileau, 1905
- ボルネオ島、スマトラ島、マレー半島、ミャンマー南東部
- ギラファホソアカクワガタ C. giraffa
- カリマンタン島。全身が紅色で、大顎には内歯が殆ど見られない。
- カナリクラトゥスホソアカクワガタ C. canaliculatus
- ストリギケプスホソアカクワガタ C. strigiceps
- ビコロールホソアカクワガタ C. bicolor
- タイ・ミャンマー
- トサカ(ムニスゼッチ)ホソアカクワガタ C. muniszechi
- 原名亜種 C. m. muniszechi (Thomson, 1856)
- 台湾
- C. m. tonkinensis (Didier, 1927)
- 中国東南部、ベトナム北部