ブラックタイガー (宇宙戦艦ヤマト)
ブラックタイガーは、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』に登場する架空の戦闘機である。デザイン担当は松本零士、加藤直之。以下劇中設定。
概要
全長 | 17m[1] |
全幅 | 7.9m[1] |
最高速度 | マッハ7[1] |
搭乗員数 | 2名[2] |
武装 | 30mmパルスレーザー砲[1]×6門 翼下ミサイル[3]×4発 胴体下部ミサイル弾倉[3] |
地球防衛軍が使用する宇宙戦闘攻撃機である。黄色と黒の大胆な塗り分け(下面は白)と、コックピット両脇に描かれた眼のマーキングが印象的な機体であり、宇宙戦艦ヤマトの2199年航海時の主力搭載機である。
この機体が開発される以前の地球製航空機は、ガミラス製偵察機を追跡することすら不可能であった。ヤマト同様、イスカンダルからのオーバーテクノロジーにより、全ての性能が飛躍的に向上し、ガミラス軍と互角以上の戦闘が可能となった。機体外観は無尾翼デルタに属し、これは後に開発されるコスモ・ゼロ、コスモタイガーIIにも受け継がれる。武装は主翼付根付近にパルスレーザー砲を6門装備。本劇中では翼下にミサイルを懸架した姿が描かれたことは無い。これは第1作におけるコスモ・ゼロについても同様である。
後に後継機であるコスモタイガーIIに取って代わられるが、長方形に近いメインスラスターノズル、胴体下面後部に備えられた2枚のベントラル・フィン、シンプルな箱状の胴体部など、このコスモタイガーIIには本機との共通点も多い。また、本機の名称にちなんで名づけられた部隊名「ブラックタイガー隊」は使用機種がコスモタイガーIIに変更されてからも当初は受け継がれ[4]、劇中の台詞にも反映されているが、設定としては長続きしなかった模様で、その後は「コスモタイガー」との台詞ばかりが作中に登場し、「隊としての名称」がそのまま『完結編』まで存続したのかは曖昧な形になっている。
第1作劇中では旧地球艦隊の艦砲が効かなかったガミラス艦を機銃掃射であっさり撃沈するシーンがあり(第7話)、空戦に特化したコスモ・ゼロと違って対艦攻撃能力も高そうである[5]が、逆にビーメラ星のエピソードでは、1隻のタンカーロケットに手こずるなど、劇中描写は一定ではない。
元々はコスモ・ゼロがヤマトの主要艦載機である設定だったが、作画の簡略化のため、単純なデザインと色分けのブラックタイガーが新たに設定された。そのため、第1作序盤では原画担当への連絡の不行き届きなどから、ブラックタイガーであるはずの機体が全てコスモ・ゼロで描かれているシーンなどが存在しており、時にはブラックタイガーでもコスモ・ゼロでもない謎の機体で格納庫が埋め尽くされているシーンさえある。
漫画版
ひおあきらの漫画版ではブラックタイガーは当初登場せず、バラン星での会戦において「宇宙零戦」ことコスモゼロと共に登場する。形状や武装はヤマト本編とほぼ同じ、やはり単独でガミラス艦を撃沈出来る火力を持っている。
ブラックタイガーやブラックタイガー隊の呼称は使われておらず、単に「重戦」(重戦闘機の略だと思われる)と呼ばれている。劇中描写からヤマト艦載機として30機が搭載されている模様である。
PS系ゲーム版における変更点
プレイステーションゲーム『宇宙戦艦ヤマト 遙かなる星イスカンダル』が製作された際、本機も宮武一貴によってデザインがリニューアルされている。胴体下面にはVTOLノズルが追加され、アニメ版では見られなかったミサイル装備も可能となっている。名称も99式宇宙艦上戦闘機という正式名が与えられている。
コスモファルコン
全長 | 15.9m |
主機 | 複合輻流式コスモエンジン(流星35型)×2機 |
武装 | 機銃×2丁 機関砲×6門 空対地、空対空ミサイル×8発(機体下部兵倉に装備、両翼両面にある計12箇所のハードポイントにも追加装備可能) |
『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク作品である『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場する架空の戦闘攻撃機。デザイン担当は出渕裕、玉盛順一朗[6]、コックピット内は山根公利。
国連地上軍/極東方面空間戦闘群/宙技廠開発機。正式名称は「99式空間戦闘攻撃機」。通称は「ファルコン」または「ハヤブサ[7]」。
『宇宙戦艦ヤマト』のブラックタイガーをリメイクした機体であり、翼型はクリップドデルタ、単垂直尾翼。二次元推力偏向ノズルを装備し、高いステルス性を持つ。機体各所にスラスターを装備しているほか、下部ノズルによる垂直離着陸能力も持っており、ホバリングも可能。
本来は艦上機ではなく、国連地上軍が正式採用している、地球の絶対防衛圏守備用局地戦闘機として開発された機体だったのだが、国連宇宙海軍開発のコスモゼロの量産遅延に従い、地上軍からヤマトに転用されている。名称のモチーフは旧日本陸軍の一式戦闘機 隼[8]。
武装は機首に機銃2丁のほか、主翼付け根に機関砲6門を装備している。ミサイルはステルス性を考慮して、基本的に胴体内の兵倉に8発格納する形となっている。また、主翼の両面にある計12箇所のハードポイントにも追加で装備が可能。
空戦能力は高く、ガミラス機相手に互角に渡り合う性能を有している。また、「戦闘攻撃機」に分類される通り対地・対艦性能も高く、劇中では防御力の低い空母とはいえ、ガイペロン級をミサイル4発[9]で撃沈に追いやっている。
カラーリングはブラックタイガーの黄色と黒から、現用航空機に近い色に変更されている。なお、所属によってカラーリングが異なっており、防空隊仕様は灰色をベースに翼の一部分が紫で尾翼に国連のマークがあり、ヤマト搭載機の一般機は紺色ベースで翼部分が一部黄色に塗られている。個人によっても若干異なっており、加藤機は灰色ベースで翼の一部分が赤で尾翼に「誠」の文字があり、篠原機は紺色ベースで機関砲や尾翼部分が黒色で尾翼には翼の生えた髑髏のマークがあるほか、ブラックタイガーを思わせる目と米軍機を思わせるシャークマウスが描かれている[10]。
コスモゼロの「鎧兜」に対し、ファルコンは「西洋甲冑」というコンセプトでデザインされている[11]。なお、初期設定ではコスモゼロ同様主翼が折り畳み式だったが、最終的には折り畳まず格納する形となった[12]。また、機尾は100式に似た形状だった[13]ほか、機関砲周辺のデザインも異なっている[11]。
発艦シークエンス
本作ではファルコンが格納されている第二格納庫の大幅な設定変更に伴い、発艦シークエンスが細かく設定されている。
発艦シークエンスは下記の通り[14]。
- 第二格納庫内が減圧される。
- 艦底部のハッチが開く。
- 機体がパレットからカタパルトへ移動。
- カタパルトが射出位置へ移動。
- 機体が斜め下方向へ後ろ向きに射出される。
- 機体が姿勢制御の後、前方へ向けて発進する。
- カタパルトが定位置に戻る。
- パレットが180度回転して、裏面の機体が3~5の手順で発艦する。
- 空になったパレットが移動し、次のパレットがカタパルト前に移動する。
- 3~9の手順が繰り返される。
射出方向の都合上、ヤマトがある程度高度をとった状態でないと発艦はできなくなっている[15]。着艦はハッチに搭載された誘導ビームと牽引ビームを使用して行う[16]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite book公式には「コスモゼロに準ずる」との記述のみで、具体的な数値データ無し。
- ↑ 放送当時発売されていたバンダイ製の模型では複座式として、2007年にリリースされたEXモデルではコスモ・ゼロと同様の折りたたみ式複座として再現されている。公式には具体的な数値データ無し。
- ↑ 3.0 3.1 PSゲーム版における設定。
- ↑ テンプレート:Cite book『ロードショー責任編集“さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち”』(集英社)のコスモタイガーIIの説明文にも「ブラックタイガー隊を編成する新鋭機」との記述あり。
- ↑ 第7話の描写は「ガミラス艦がショックカノン1発で次々と誘爆を起こして沈んでゆく」「超大型ミサイルや反射衛星砲の直撃を受けてもダメージがそれほど重くない」など、ヤマト側(地球側)の攻撃力と防御力が、必要以上に強く描かれている節がある。
- ↑ 出渕が基本デザイン、玉盛が三面図とディテールを担当。
- ↑ 「ハヤブサ」と呼んでいるのは劇中では沖田のみである。
- ↑ 名称変更理由はコスモゼロ=零戦との対比と、加藤隼戦闘隊の使用機から。加えてスタッフの「ブラックタイガーって、エビじゃあるまいし」と旧作の名称を嫌がったため。
- ↑ 内2発は前方から飛行甲板を通過して機関部へ直撃している。
- ↑ 旧作のブラックタイガーは、本来機種下部にシャークマウスが描かれる予定だったが、本編では白一色に変更されたという経緯が存在する。
- ↑ 11.0 11.1 「宇宙戦艦ヤマト2199原画展」で公開されたデザイン画より。
- ↑ 「公式設定資料集[Earth<アース>]」P259。
- ↑ 100式的なデザインのほか、決定稿に近いデザイン(ノズル部分のみ)がもう1つの案として描かれている。
- ↑ 「公式設定資料集[Earth<アース>]」P91。
- ↑ 『完結編』でのコスモタイガーは、発進口が地面スレスレである状態から発艦している。
- ↑ 「公式設定資料集[Earth<アース>]」P93。
参考文献
- サンコミックス『宇宙戦艦ヤマト』全3巻。作・藤川桂介、画・ひおあきら(朝日ソノラマ・S49~S50)
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
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