フランス国立行政学院
フランス国立行政学院 (École nationale d'administration) はグランゼコール (Grandes Ecoles) でフランス随一のエリート官僚養成学校。略称はENA(エナ)。
概要
他の多くのグランゼコールと異なり、大学または他のグランゼコールを卒業後入学する高等教育機関(3e cycle:第三課程)であり、日本の博士後期課程に相当する。
第二次世界大戦後1945年に設立され、歴史は浅いがフランス社会において絶大なる影響力を持っていて、とりわけ政界官界において、その存在感が大きい。政権中枢をエナルク(Enarque、ENA卒業生)が占めていることをエナルシー (Enarchie) と呼ぶ。
合格者の多くは、グランゼコールの一つであるパリ政治学院の卒業生によって占められている。
ENAストラスブール校には毎年、選抜試験により、初期養成コースに90人から120人の学生を受け入れており、また学生の中には、一般的マスター、専門的マスターの学生、そして120名の留学生がいる。パリ校では、2500人以上の公務員や経営者幹部などが短期間の生涯学習粋で登録している。
役割
養成
この学校は、実力ある学生たちを受け入れ、この学校出身者は、フランスの高等公務職の地位に就く権利を有する。また一般的に、国家公務の中心の貴重なキャリアを保障される。
研究
ENAはまた、行政学研究の役割を次のように担っている。
- 公職における主な争点について、一連した討議の展開
- 現在検討されている諸問題における、エナ学生の研究への助成
- 海外の行政システム比較を推進
海外交流
1945年の設立以来、ENAはその二つの国際課程の中で、2000人以上の各国からの留学生を卒業させた。 各学年は100人当たりのフランス人学生につき、40人余りの30ヶ国に及ぶ外国人留学生を抱え、同一の養成がなされる。
ENAはいくつかの国とパートナーシップを結んでいる。また、学校間や国家間の援助協定を結んでいる(マグレブの国々、中国、ポーランド、タイ、シリアなど)。協定などにより、行政管理や公的管理運営についてのエンジニア講習を行っている。日本からも外務省、財務省、経済産業省、警察庁などから新人官僚が定期的に留学している。
著名な出身者
60年前の創立以来、ENAは5600名のフランス人と2600名の外国人を世に出した。
- ジャック・シラク(前フランス大統領)
- ヴァレリー・ジスカール・デスタン(元フランス大統領)
- リオネル・ジョスパン(元フランス首相)
- アラン・ジュペ(元フランス首相)
- エドゥアール・バラデュール(元フランス首相)
- ミシェル・ロカール(元フランス首相)
- ローラン・ファビウス(元フランス首相)
- ドミニク・ドビルパン(元フランス外務大臣、前フランス首相)
- フランソワ・フィヨン(現フランス首相)
- アラン=ピエール・レノー(現日産自動車常務)
- ユベール・ヴェドリーヌ(元フランス外務大臣)
- エルヴェ・ド・シャレット(元フランス外務大臣)
- パスカル・ラミー(元欧州委員会貿易政策担当委員、現世界貿易機関(WTO)事務局長)
- ミシェル・カムドシュ(元国際通貨基金(IMF)専務理事)
- クララ・ゲマール(現対仏投資庁長官)
- エルヴェ・ゲマール(元経済・財政・産業大臣)
- ベルナール・ド・モンフェラン(駐日フランス大使)
- フランソワ・オランド(第五共和政現フランス大統領、フランス社会党第一書記)
- セゴレーヌ・ロワイヤル(2007年フランス大統領選候補者)
- 内海孚(大蔵省財務官)
- 片山さつき(参議院議員(自民党)、大蔵・財務官僚)
- 古田肇(岐阜県知事、通産・経産官僚)
- 八幡和郎(評論家、通産官僚)
- 小田部陽一(ジュネーヴ国際機関政府代表部大使)
- 鈴木庸一(駐フランス大使)
- 山田文比古(東京外国語大学教授)
- 川田晃(国際刑事警察機構警察局長、皇宮警察本部長)
- 安藤隆春(警察庁長官)
- 北村滋(内閣情報官、警察庁警備局外事情報部長)