フェンタニル
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フェンタニル(Fentanyl)とは、主に麻酔や鎮痛、疼痛除去の目的で利用される合成麻薬で、強オピオイドの一種である。
概要
クエン酸フェンタニルの注射液(商品名:フェンタニル(旧商品名:フェンタネスト))は麻酔、鎮痛に使われ、フェンタニルを有効成分とするパッチ薬(商品名:デュロテップMTパッチ、フェントステープ)は癌性疼痛に使われる。特に経口モルヒネが使えない患者に有用である。
フェンタニルの効果はモルヒネの100–200倍と言われ、モルヒネをはじめとするその他のオピオイド性鎮痛薬と同様、循環器系にあまり影響はないが、呼吸抑制は強く、臨床使用量でも多くの場合、呼吸補助を必要とする。大量投与でない限り、意識レベルには影響しない。使用後に嘔気(はきけ)を訴えることがある。 排泄半減期は3.6時間と長いが急速に脂肪組織などへ移行するため、血漿中からは投与後60分以内に98%が消失する。
麻薬
麻薬としても流通していて、通称はチャイナホワイト。その効果から「合成ヘロイン」「ヘロインのデザイナードラッグ」とも評される。同量でヘロインよりも効果があることから、流通しているヘロインに混ぜ物として混入しているとも言われる。
軍事用途
- 2002年10月に発生したモスクワ劇場占拠事件で、武装グループ無力化のため政府特殊部隊が、KOLOKOL-1と呼ばれる、フェンタニルの遥かに高力価な誘導体による化学兵器を使用した際、麻酔作用により呼吸困難を起こし、人質に多数の死者が出た。
- 2011年よりアメリカ海兵隊は、モルヒネと併用してフェンタニルのトローチを鎮痛剤として使用し始めた[1]。
出典
- ↑ 米海兵隊、戦場での痛み止めに鎮痛トローチを導入(AFP.BB.NEWS.2011年11月3日)2011年11月4日閲覧