ピノッキオの冒険
テンプレート:Portal 『ピノッキオの冒険』(テンプレート:Lang-it-short)は、イタリアの作家・カルロ・コッローディの児童文学作品。1883年に最初の本が出版されて以来、100年以上にわたり読み継がれている著名な作品である。
内容
ある日、大工のチェリーが意志を持って話をする丸太を見つける。そこにゼペットじいさんが現れ、丸太を木の人形にし、ピノッキオと名付ける。ところがこのピノッキオは勉強と努力が嫌いで、すぐに美味しい話に騙される。話をするコオロギなどの忠告にも耳を貸さず、人形芝居の親方に焼かれそうになったり、狐と猫にそそのかされ殺されそうになったりする。終盤に巨大なサメに飲み込まれるが、マグロに助けてもらう。真面目に勉強し働くようになったピノッキオは、最後に夢に現れた妖精によって人間になる。苦難を乗り越えて人間の少年へと変化するまでの逸話が書かれている。
なお、ピノキオのオリジナルのストーリーは、政治的風刺を、特に法制度の仕組みに対する風刺を含んでいる[1]。
名称
ピノッキオ(Pinocchio)のピノ(Pino)は松である[2]。なおイタリアではジュゼッペ(Giuseppe)の愛称でもある[3]。かつては綴りを英語式に「ピノチオ」と読むことも多かった。現在ではイタリア語式に「ピノッキオ(あるいはピノキオ)」と読むのが一般的である。「ピノチオ」の名前も会社名などに今も使われている。
主な日本語訳
- 『ピノチオ』 石田アヤ訳 12歳のとき、父である西村伊作が訳し聞かせた『ピノキオ』を文章化、挿絵を描いて大正9年(1920年)キンノツノ社文化生活研究會から出版する。
- ピノッキオの冒険 柏熊達生訳 中央出版社 1948
- ピノッキオ 矢崎源九郎訳 1956 新潮文庫
- 『ピノッキオの冒険』杉浦明平訳、岩波少年文庫 1958年。 - エドアルド・バルゲール画
- ピノッキオ 岩崎純孝訳 講談社 1963
- ピノッキオの冒険 米川良夫訳 河出書房・少年少女世界の文学 1968
- 『ピノッキオのぼうけん』安藤美紀夫訳、福音館書店〈福音館古典童話シリーズ〉1970年。 - 臼井都画
- ピノッキオ 千種堅訳 第三文明社 1989.12
- 『ピノキオの冒険』金原瑞人訳、西村書店、1992年。 - ロベルト・インノチェンティ画
- 『新訳 ピノッキオの冒険』大岡玲訳、角川文庫、2003年。
回収騒動
1976年11月、名古屋在住の人物が「オールカラー版 世界の童話」(小学館)を自分の子供に読み聞かせていたところ、作中の「びっこのキツネ」「めくらのネコ」という箇所を指摘し「五体満足で利口な主人公を『期待される子供像』として描いている反面、他の障害を持つキャラクターを社会の落伍者として描いており、差別を拡大助長させる童話であり看過できない」と出版社に抗議した。小学館側はこの抗議を検討し、自社から出版していた5種のピノキオ本のうち4種を「差別的表現があった」と認め回収した。「最新版の『国際版少年少女世界文学全集』については、めくら、びっこ、などの表現は無いので回収しない」旨を告発者に謹告した。しかし告発者は「障害者差別を許さない―まず『ピノキオ』を洗う会」を結成し、小学館に対し
- 国際版の回収
- 回収方法に対する具体策の提示
- 自己批判の文章の提出
- 自社全出版物の点検と報告
を要求した。しかし小学館側は国際版の回収には応じられないとして、告発者と対立した。次に告発者はマスメディアに向けてアピールを行い、社会問題へと発展する。さらに図書館を相手取り「差別図書を読ませるな」と啓蒙行動を起こし、当時、日本で出版されていた11社38種のピノキオ本の回収を要求した。12月、図書館問題研究会が検討を行い「図書館の自由」を基に
- 回収措置は言論に対する封殺行為であり許せない。
- 本作は、弱点を克服し成長する子供の可能性を描いた作品であり、「めくら」「びっこ」という言葉で障害者差別に結びつけるのは拡大解釈で作品の意味を汲んでない。
- 回収を行えば障害者差別が無くなる道理も無く、「言葉だけで何かを変えよう」という幻想に繋がりかねない。
- 個々の企業に対する脅しが差別の撤廃にはならないし、体制も変わらない。
とする「反論声明」を提出した。強引な告発に対して批判があったが、小学館側の回収についても「安易」だとの批判があった。この騒動に対し「ピノキオ退治は世界の笑いもの」と揶揄する声もあった。[4](黒人差別をなくす会も参照)。
翻案
テレビドラマ
- ピノッキオの冒険(1974年、監督:ルイジ・コメンチーニ)
- 全6回 NHKで放送、ジーナ・ロロブリジーダ、ヴィットリオ・デ・シーカが出演、DVD化されている。
小説
- "Золотой ключик, или Приключения Буратино"(黄金の鍵、あるいはブラチーノの冒険) - ロシアのアレクセイ・ニコラエヴィチ・トルストイによる翻案もの。
テレビアニメ
- The New Adventures of Pinocchio (1961年アーサーランキンJr.&持永只仁製作)
- 樫の木モック(CX系、1972年、タツノコプロ製作)
- ピコリーノの冒険(ABC系、1976年-1977年、日本アニメーション製作)
- まんが世界昔ばなし「ピノキオの冒険」(TBS系放映、ダックスインターナショナル制作、1979年3月7日から3月28日までに4話放映)
アニメ映画
- ピノキオ(1940年、ディズニー製作)
- ピノキオの宇宙大冒険(1965年、白・米合作 ベルビジョン、スワロー製作 ピノキオのキャラクター達が宇宙へ行く)
実写映画
- ピノキオ(1996年、監督:スティーヴ・バロン、主演:マーティン・ランドー)
- ピノッキオ(2002年、監督・主演:ロベルト・ベニーニ)
漫画
音楽
- 『ピノッキオ−楽しい序曲(Pinocchio, a merry overture)』作品65:エルンスト・トッホが1935年に作曲した管弦楽曲。
- 『交響組曲ピノキオ(Miticaventura - Suite Sinfónica Pinocho)』:フェレール・フェランが2008年に作曲した吹奏楽曲。
注
- ↑ Jill R. Mac Dougall,P. Stanley Yoder, Contaminating theatre: intersection of theatre, therapy, and public health.1998, p.156
- ↑ 女神信仰と『ピノッキオの冒険』
- ↑ 英語ならJosephで、ピノッキオというものがフィレンツェ周辺のトスカーナ地方に特有の呼び方である。普通はペッペとか、ペッピーノ、ピーノというところをちょっとかわいらしく、あるいはピーノのやつめ、と罵倒する時に使う。フィレンツェの人々は毒舌で知られるという(『須賀敦子全集3河出書房新社pp.500-513「ピノッキオたち」参照)。
- ↑ 「実例・差別表現」堀田貢得著 大村書店 2003年7月 ISBN 4-7563-3021-5
外部リンク
テンプレート:Sister テンプレート:Wikisourcelang
- Un burattino di nome Pinocchio(by Animator Mario Verger/Cinemino)
- Original Italian Audiobook