バッテリー (小説)
テンプレート:Portal 『バッテリー』は、あさのあつこによる児童文学作品。単行本全6巻が教育画劇から、文庫本全6巻が角川文庫から刊行され、延べ1000万部を超えるベストセラー小説である。1997年には第35回野間児童文芸賞を受賞。児童向けの小説ではあるが、大人の女性の読者も多い。また、本作を原作とした漫画が柚庭千景により『月刊あすか』で連載され、単行本(既刊8巻)が角川書店から発行されている。
2000年にはNHK-FMでラジオドラマ化されている(全10話)ほか、2007年には林遣都の主演で映画化、さらに2008年4月からは中山優馬の主演でNHKにてテレビドラマ化された。
飛びぬけた才能と傲慢なまでの自信を持つピッチャー原田巧と、巧とバッテリーを組むキャッチャー永倉豪の一年間の物語。少年達の真剣な対峙と美しい背景描写が魅力。短いセンテンスのキレがいい文章。語りは三人称だが、感情描写の主体が場面ごとに変わり、それぞれの登場人物の心理を細かく表現している。
目次
ストーリー
- バッテリー I
- 巧の中学入学を前に、祖父のいる岡山県新田市に引っ越してきた原田一家。
- 中に道に迷いかけて豪と出会い、後日バッテリーを組むことになる。ピッチャーとして絶対の自信を持ち、誰に対しても強烈な我を通そうとする巧と、その才能に戸惑いながら強く魅かれていく豪。運命に導かれたかのように、最高のバッテリーとしての2人の人生が始まっていく。
- バッテリー II
- 新田東中学校に入った巧たちだったが、そこに待ち受けていたのは戸村監督の徹底的な管理野球だった。自分を貫くため戸村監督と衝突する巧。巧の圧倒的才能とその実力を認める戸村監督。それをつまらなく思う展西ら先輩に巧は陰湿なイジメを受け、その事件の関係で部活動も停止になってしまう。映画とドラマのヒロイン矢島繭も登場。
- バッテリー III
- 部活動停止になったままで引退を迎える三年生のために、戸村監督が強豪・横手と練習試合をしたいと希望する。新田東中の校長は、とても相手にならないと却下したが、どうしても試合をしたいキャプテン海音寺が、横手の天才スラッガー・門脇と知り合いなのをツテに、巧の球で門脇を圧倒すれば、試合が出来るはずだと提案する。見事、門脇を唸らせた巧だったが、豪は、その巧の球を捕球しきれず……。
- バッテリー IV
- 強豪校・横手二中との練習試合で打ちのめされ巧たち新田東中は敗れた。豪もキャッチャーとして球を捕り切れなかったと責任を感じて、部活でも巧を避け続けてしまう。一方、海音寺は横手二中の五番打者で門脇と幼馴染みの瑞垣俊二と没収試合となってしまった練習試合をもう一度やり直す計画をたてる。
- そして監督の戸村は、豪のキャッチャーを吉貞にさせると言い出すのだった。ちょっとしたラブストーリーも入っている
登場人物
※声の記述はラジオドラマ版、演の記述は映画版/テレビドラマ版の順
- 原田巧(はらだ たくみ)
- 声 - 宮野真守 / 演:林遣都(幼少 - 後藤聡)、中山優馬
- 中学1年生。ポジションはピッチャー。この物語の主人公。野球に関しては天才的な能力をもっている。その才能を自覚し自負もあるが、毎朝のジョギングは欠かさず努力も怠ったことはない。
- 中学生ということもあり現在は直球しか投げれないが、ストレートは威力・速度共に超高校級。その実力は元甲子園出場選手を打ち取るほど。いずれはシンカー・カーブ・フォーク全てマスターするつもりらしい。
- 誰もが認める圧倒的な天才であり、それがゆえ孤独でもある。プライドが高く、過剰なまでの自信を全く隠そうとしないため、周囲と衝突することが多い。やたらと他人に挑戦的にされたり、感動されたりする天性の何かを持っている。
- 自分を取り繕ったり、妥協したりしない良くも悪くも真っ直ぐな性格で、何でも、誰からでも、真剣に発されたものなら正面から受け止める。
- 自覚はないものの弟思いであり、喧嘩して青波が姿を消したときには取り乱し、ようやく見つけた際の青波の言葉に涙した。また野球をやりたいと訴える青波にそっけなく接しつつも、彼の真剣な想いを認めキャッチボールもする。
- 細身の割に背が高い(※167cm以上)。切れ長の瞳で睫が長い等、母親譲りの美形であるためモテるらしく、バレンタインのチョコレート獲得数は1年生の中では彼が1位。
- 当初は頑なで笑顔を見せることもやたらと喋ることもなかったが、豪たちと5人でいるときは笑顔ものぞかせ冗談を口にする。稀に天然ボケ。
- 永倉豪(ながくら ごう)
- 声 - 二見史龍 / 演:山田健太、高田翔
- 中学1年生。ポジションはキャッチャー。巧が新田市に引っ越してきたのをきっかけに彼とバッテリーを組む。肩幅が広くがっちりした体格。現時点では180㎝以上もあり、高校生によく間違われる。
- 温厚で、他人を思いやったりと包容力がある性格。何でもやってあげようとする母親への一種の反抗からか、何事もきっちりしていてそつがない。料理も得意。大病院の一人息子で、将来は後を継いでほしいらしい(母親からは野球をやることを反対されている)。新田スターズ時代の後輩とは仲が良い。
- 明るく、あっけらかんとした少年らしい性格であったが横手二戦との試合で巧の球の才能と成長に追いつけていないと悟った瞬間から、野球に対して楽しい・嬉しい・面白いといった感情と疎遠になっていってしまう。
原田家
- 原田青波(はらだ せいは)
- 声 - 田谷隼 / 演:鎗田晟裕、森本慎太郎
- 巧より3歳下の弟。小学校4年生。
- 病弱で、激しい運動が出来ずにいる。病弱な事を同情されるのが嫌いである。野球をしている兄に幼い頃から憧れを抱き、新田市に引っ越した際自身も野球を始めた。祖父(洋三)の見立てによると、野球センスがある。
- 繊細かつ優しい性格で、兄の感情の変化にも敏感。その場の空気を和ませる癒し系である。
- 家族が標準語を話す中、唯一岡山弁を話し怒っているときなどは目に巧も退けるほどのきつい光を宿す。
- 原田真紀子(はらだ まきこ)
- 声 - 佐藤直子 / 演:天海祐希、斉藤由貴
- 巧と青波の母親。36歳。
- 父親が野球一筋だったのが原因で、野球嫌いになった。そのため巧にきつくあたったり、青波が野球を始めるのを止めようとした。
- 家族に愛情深く接するがゆえに、その家族のちょっとした変化に戸惑うことも多々ある。子供に特別でなくても良いからささやかに幸せに育って欲しいと願っている。
- 節子と幼なじみで、彼女と話すときは岡山弁になる。
- 原田広(はらだ ひろし)
- 声 - 石丸謙二郎 / 演:岸谷五朗、堀部圭亮
- 巧と青波の父親。やたらと転勤が多いサラリーマン。新田に来てから、地元のノンプロ(社会人野球)に入った。ただし、あまり上手くないらしい。
- 井岡洋三(いおか ようぞう)
- 声 - 八名信夫 / 演:菅原文太、石橋蓮司
- 真紀子の父親。原田家とは巧が中学に入る年から一緒に暮らすことになった。
- 新田高校を春四回、夏六回甲子園へ連れて行ったことで名監督として名が通っている。根っからの野球人だったが、妻(聖名子)が余命僅かと宣告されたのをきっかけに新田高校の監督をやめる。昔はあまり家庭のことを気にかけなかった為娘との仲は良くないが、一緒に住むようになって親子ゲンカしつつもそれを楽しんでいる。孫は二人とも可愛く思っており、巧に野球の楽しさを知ってほしいと願っている。
- 戸村真の恩師でもある。
- 井岡聖名子(いおか みなこ)
- 演:戸村美智子
- 洋三の妻。巧が3歳のときに亡くなった。
永倉家
- 永倉節子(ながくら せつこ)
- 演:濱田マリ、池谷のぶえ
- 豪の母親。旧姓は石岡。真紀子の幼馴染。小太りでメガネをかけており、鼻の形と笑顔が豪にそっくり。
- 豪には実家を継いで医者になってほしいと願っている。結構涙もろく、1人息子に世話を焼きたがっている。
- 豪の父
- 名前は登場していない。
- 実家を継いで医者になってほしいとはあまり願っておらず、「自分の決めた事は最後までやりとおせ」と言っており、野球に対しては特に気にしていない様子。
新田東中学校野球部
なかなか実力はあるものの割と普通の野球部だった。投手力が弱く、巧の入部により混乱に陥るが、彼と永倉により投手力が急激に上がり、今では全国大会上位を狙える実力を持つ。
1年生
巧と豪以外に1年生が11人いる。リンチ事件により、退部した1年生もいる。
- 東谷啓太(ひがしだに けいた)
- 声 - 工藤幾未 / 演:太賀、松川尚瑠輝
- 豪の友人。呼び名は「ヒガシ」。クラスは豪と同じ1年4組。
- 新田スターズのときはファーストだったが、中学入学後は海音寺に憧れショートを希望している様子。
- 実家は「天満寿司」という寿司屋で、友達になるとタダで寿司が食べられるらしい。笑い上戸で、笑い始めるとしばらくは止まらない。時々話が意味深な方向に行く。驚くと話し方が敬語になる。
- 沢口文人(さわぐち ふみと)
- 声 - 北川潤 / 演:米谷真一、永嶋柊吾
- 新田スターズ時代はセカンドで入部後はファースト。
- 小柄で耳が大きい。足も速いが、手も早く、頭に来るのも早い為、何かと短気なようであるが、優しく思いやりがある。巧と豪の緩衝材となることもある。小心者で幽霊と暗闇とオトムライが苦手。教師の小野薫子に憧れている。
- 実家は大きな農家だが、手伝いはしていないらしい。なぜか羊(メリーさん)を飼っている。
- 吉貞伸弘(よしさだ のぶひろ)
- 元美都面ナインズのセンターで、4番バッター。呼び名は「ヨシ」(瑞垣からは「クリノスケ」と呼ばれる)。
- そばかすの浮いた丸顔。
- 巧程でもないが、相当な自信家でナルシスト。おちゃらけた性格で、喋りすぎるところがあり、巧や沢口などにいさめられる事が多い。門脇曰く、瑞垣と口ではり合える奴。
- 高槻の彼女(井伊)のような女の子がタイプ。アホっぽい発言が多いが、案外人のことを見ている。巧が豪とバッテリーを続けたがっている事を悟ってか高槻のキャッチャーを志望するなど気の利く一面も。(映画、ドラマ版では登場しないため映画ではサワ、ドラマではヒガシが一時キャッチャーをしていた)
- ミートが抜群に上手く、野手の間をきれいに抜けるヒットを打つ。海音寺は「なかなか使えるな」と評価している。自称「ユーティリティプレイヤー」。
- 実家は薬局。母は元黒帯の国体柔道選手。その影響か、柔道の技はなかなかに鮮やか。
3年生
- 海音寺一希(かいおんじ かずき)
- 声 - 松田健治 / 演:矢崎広、川村亮介
- 元キャプテン。ポジションはショートで四番打者。打撃守備ともに優秀で、横手のショートである瑞垣に自身と匹敵すると言わしめる程。野球をこよなく愛し、自身もまた天才である巧や門脇ら以上に「野球の神様に最も愛されている男」とまで瑞垣に評される。
- 成績も優秀で生徒会長も務めている。卒業式の時に1.2年の女子から「海音寺さんに花束を渡す」と騒がれ、ドラマではチアリーダーの後ろに名前入りの横断幕が掲げられるほど女子にモテる。しかし本人は女子が苦手らしい。厳格な顧問の戸村、巧にリンチ行為を行った展西らにも深く信頼されており、老若男女問わず好かれ慕われる人物である。
- 前述のように完璧超人の面が目立つが、瑞垣から貰い煙草をしたり、無免で原付に乗ったりする面も合わせ持つ。
- 鉄壁の三遊間コンビとしてサード磯部とは特に親しい様子で、バッテリーを巡り意見が対立した際には彼を名前で呼んだ。
- 瑞垣とは相手校の参謀同士として言葉の応酬・心理戦を交わすも、海音寺自身は瑞垣と電話すること自体が面白いらしく、高校生になってもよく電話している様子。
- 猫を飼っており、名前はテトラ(前足に縞模様があるため)。
- 展西詠司(のぶにし えいじ)
- 声 - 池田貴尉 / 演:木林宏朗俊、染谷将太
- 元副キャプテン。ポジションはキャッチャー。巧にレギュラーを奪われた事に恨みを抱き、緑川、奥平と共に彼に対し集団リンチを行った。その後、学校に知らせようとした沢口にリンチを加えようとした際、戸村に怪我をさせる。野球は好きでも嫌いでもなく、ただ内申書の点数稼ぎにいいという事を聞き、入部しただけであった。その為、野球に対する情熱は薄く、事件を機に退部した。風紀委員に所属している。
- 磯部悠哉(いそべ ゆうや)
- 演:田辺弘典
- 3年生サード。
- 鉄壁の三遊間コンビとして、海音寺と共に3年間野球をやってきた。海音寺に対して意見することができる貴重なツッコミ役でもある。最終巻では真っ向から海音寺と口論し、素が出たか定かではないが彼をファーストネームの「一希」と呼んだ。
- 情に厚く、非常に仲間意識思いな少年。巧と豪のバッテリー改造を画策する海音寺に対して、自らの投手経験から、巧がかわいそうだと反論する。自身らの大会停止の原因となった展西達とも一緒に、最後まで全員で野球をやりたいと願っていた。
- 猫を飼っており、名前はパパイヤ。年を取っておりエロいらしい。
- 緑川(みどりかわ)
- 演:結城洋平、布施紀行
- 3年生ピッチャー。高槻と同じくサイドスロー。映画版では展西、奥平と共にリンチを行った。その後「展西が辞めるなら」と自分も退部した。
- 小坂部(おさかべ)
- ポジションはファースト。長身。横手戦では高槻が2番ファーストで出場したので、高槻にレギュラーを奪われた模様。
- 奥平(おくひら)
- 演:安田大輝、登野城佑真
- ポジションはセンター。展西と親しく、緑川と共に巧にリンチを行い、更に沢口にまでリンチを加えようとした。その後、展西と緑川と共に退部した。
- 大平(おおひら)
- ポジションはレフト。映画版には登場せず、巧にリンチを行ったのは展西と緑川、奥平の三人のみ。
- 逗子(ずし)
- 演:片山徳人
- ポジションはセカンド。展西達とともに巧のリンチ事件に関わっていたが、映画版には登場しない。なお、その後退部はしていない。
- 吉本(よしもと)
- 演:高橋宗平
- ポジションはライト。
2年生
- 野々村旭良(ののむら あきら)
- 演:中村鷹人
- 2年生で、海音寺達が引退してからキャプテンとなる。キャッチャーだったが、激しい運動をすると肩に炎症が起きる。キャッチャーをやめるまでは、高槻と一年間バッテリーを組んでいた。バッテリーを解消した後も、親友である高槻の相棒である。
- 聡明で気が長い。瑞垣曰く、海音寺の後継者である。
- 自身のグラブを高槻のキャッチャーを務めることとなった吉貞に託す。
- 高槻周平(たかつき しゅうへい)
- 演:楠知樹、湯本訓明
- 2年生。寡黙で無愛想だが、嘘を言わない真面目な性格。ポジションはピッチャー。打順は5番。サイドスローから投げられるクセの有る球が特徴。また大きい当たりを打たれると崩れる。スタミナ不足が課題。
- 中々に優秀だったが、巧にマウンドとエースナンバーを譲り、ファーストにつく。控え投手として吉貞とバッテリーを組む。
顧問
- 戸村真(とむら まこと)
- 声 - 松重豊 / 演:萩原聖人、千原ジュニア
- 野球部の監督で、通称・オトムライ。威圧的で常に命令口調なので、巧と衝突することが多い。数学教諭で3年の学年主任。風紀委員会担当。現役時代のポジションはショートで高校生の時は新田高校に在学。
- 野球部で井岡洋三の指導を受けていたが、公式戦でろくに勝てない弱小チームだった。そのせいで井岡洋三は監督を辞めたのだと思っていた。
- 巧と出会ったことによって一番変化したであろう人物。徹底的な生徒の管理をする事をよしとしていたが、巧と出会い、生徒の力を信じ子供だからと侮るではなく尊重すべきという事に気づいた。
- 右腕に傷跡があるが、噂では当時荒れていた新田東中の番長とサシで勝負してナイフで付けられた傷。腕を切られても平気で相手の腕を捻り上げたらしい。
- ツナとそぼろが大好物。
新田東中学校生徒・教師
持ち物や服装についての校則はとても厳しいが、頭髪は3年前から自由。(映画、ドラマ版では頭髪違反も放送される)
- 矢島繭(やじま まゆ)
- 声 - 石部里紗 / 演:蓮佛美沙子、宮崎香蓮
- 巧のクラスメイト。風紀委員であるが、友達が風紀検査で泣かされたことに学校の制度に疑問を感じ、反発する。ショートカットで色が黒く、尖った顎に不釣り合いな大きな瞳。
- 繭が自分の名前を酷くコンプレックスに思っていたが、奈美子が綺麗な繭の糸を見せてくれてからは自分の名前が好きになりコンプレックスを克服した。
- 杉本潤一(すぎもと じゅんいち)
- 巧のクラスメイト。
- 叶奈美子(かのう なみこ)
- 繭の友達で、豪と同じ4組の生徒。
- 井伊さつき(いい さつき)
- 新田東中二年、高槻周平の彼女。
- 伊藤春奈(いとう はるな)
- 演:梶原ひかり
- 巧と同じ(ドラマでは豪と同じ)クラスの女子生徒。バッテリー IVでは豪の彼女らしき人物として描かれている
- 小野薫子(おの かおるこ)
- 声 - 平沼寧 / 演:上原美佐、ちすん
- 四組の担任で、国語担当。豪とヒガシの担任。24~25歳(サワ談)。
- 色白で目が大きく、髪が長い。(映画ではポニーテール、ドラマ版ではボブカットだった。)苗字に引っかけて、小町先生と呼ばれている。
- 原作では卓球部の顧問(映画では軟式テニス部)をしており、サワの憧れている女性。
- 教師が、感激屋でなくなったり生徒にときめかなくなったりしたら終わり、と思っている。
- 草薙(くさなぎ)
- 巧や沢口の担任。
- 井手(いで)
- 地理の担当。
- 高階(たかしな)
- 戸村の横の席に座っている。
- 嶋平(しまひら)
- 体育専科の先生。
横手第二中学校
新田市よりも北に位置する横手市の中学校。野球部が全国四強の成績を残し、知名度は全国区。野球部の試合日程は半年先まで決まっている。ユニフォームを脱ぐと性格の変わる選手が複数居る。
- 門脇秀吾(かどわき しゅうご)
- 演:渡辺大、中村隆太
- 野球部の4番打者で、ポジションはレフト。甲子園常連校への推薦入学が決定していた天才スラッガー。他人を侮ったり、奢ったりしない”イイ奴”であり、そこがまた幼馴染の瑞垣を密かに苛立たせている。
- 天才と称されるだけの事はあり、文字通りどこの高校に行っても即レギュラーになれると評判だった。
- 瑞垣俊二とは幼馴染で、彼を「俊」と呼ぶ。家族ぐるみの親しい関係。幼い頃から十年に一人出るかどうかの逸材と言われ、持てはやされた幼少期を過ごしたため、実力にそぐわない世間知らずだった。そんな彼が他人を侮らず自身に驕らない謙虚な態度の元となっているのは瑞垣の存在があるためとし、自分の才能に対してすごいものだとは思っていない。
- 青波に「おじちゃん」呼ばわりされたことから顔つきが若干老けている。
- 瑞垣俊二(みずがき しゅんじ)
- 演:関泰章、川原一馬
- 門脇秀吾とは幼なじみで、強豪・横手の5番打者。 ポジションはショート。門脇から「俊」と呼ばれ、他のメンバーからはおミズと呼ばれている。どちらかというと小柄であり、背中に蝶の形の痣がある。
- 野球を愛する少年だったが、幼なじみとして圧倒的天才、門脇秀吾の一番側にいたためコンプレックスを抱くようになり、非常に擦れた性格の持ち主となる。他人に感情を知られることを嫌い、つかみ所が無く頑なに自身の本心をさらけ出さない。しかし自身と同じ天才を身近に持った豪に対しては、才能という現実を突きつけ傷つけつつも、後悔するなと忠告したり、笑って野球をした方がいいと、本音の入り混じった優しさも覗かせる。座右の銘はテキトーに中途半端で、本気になることを嫌う。
- 中学生であるが喫煙、飲酒をしている。古典が得意で、会話の中によく和歌や古典単語を挟む(門脇や海音寺曰く「宇宙語」)。古典の次に数学が得意だが、本人いわく「何でも得意」。
- マヨネーズ料理が好きで、特に門脇の母親が作るマヨネーズコロッケが大好物。パンにマヨネーズをかけてこんがり焼いたものと、美人の泣き顔ほど好きな物はない。好きな女の子のタイプは目が大きくて、色白のふっくらした子。
- 最も好きな野球の世界に、門脇秀吾という絶対的な天才が一番近くに居たため、天才との差という現実を突きつけられてきたため、けじめをつけ門脇とも決別するために、中学で野球をやめる。そのため高校進学は野球推薦を蹴って、野球部のない進学校・城山高校へと決める。その超進学校のテストであっても、監督から半分寝て受けても受かると言われるほどの、相当な秀才である。
- 海音寺とは両校との試合に当たって参謀同士として電話などで心理戦を繰り広げるも、野球に対する熱い思い・自身の心の内や本音をはっきり訴える彼に若干振り回される。高校入学後もその関係は続いてる様子で、妹とも接触し相談相手となってることも気に食わないと彼を殴るつもりらしい。
- 萩雄途(はぎ ゆうと)
- マイペースで他人に影響される事に鈍い、瑞垣曰く「のほほん系」2年ピッチャー。制球力抜群で、カーブが自慢だが決まらないことも多い。性格は素直で優しいが泣き虫である。幼馴染の城野曰く春の訪れがまだ寒いうちから解るらしく、自然の流れには敏感なようだ。
- またピッチャーとしてのプライドを持っており、勝ちたいという意志も確りしている。
- 城野達矢(じょうの たつや)
- 2年キャッチャー。瑞垣に心酔している。萩とは保育園からの幼なじみで彼からは「たっちゃん」と呼ばれている。また現在その二人でバッテリーを組んでいる。全国大会では唯一2年でスタメンを務めた実力を持ち、横手の次期4番候補である。萩と二人きりの時は彼のことを雄途と呼ぶ。
- 榎本(えのもと)
- 3年のエースピッチャー。肩を負傷していて大事をとったため、新田東との最後の試合出場は瑞垣に止められた。榎本が万全だったら「横手が全国制覇していた」と瑞垣に言わしめるほどの実力らしい。
- 唐木恭介(からき きょうすけ)
- 俊足が自慢のサード。不動の一番打者。豆腐屋の息子。おっとりしている。
- 崎山(さきやま)
- 3番ファースト。チームの中で一番大柄。瑞垣からは嫉妬されていた。
- 池辺(いけべ)
- 2番セカンド。カラオケでミニモニ。を歌う。変態的に納豆が好きらしい。
- 辻倉(つじくら)
- ポジションはライト。
- 田岡(たおか)
- ポジションはセンター。
- 阿藤哲也(あとう てつや)
- 演:塩見三省、小西博之
- 野球部の顧問で、数学教諭。
- 大学時代は神宮のマウンドにあがったらしく、ポジションはピッチャー。
- 瑞垣は、彼の選手を見下したような話し方や、名誉に拘る性格が好きではなかった。
新田スターズ
- 江藤彰(えとう あきら)
- ライト二番。バントがうまい。
- 関谷(せきや)
- 新田スターズのエース。小6。
その他
- 瑞垣香夏(みずがき かな)
- 瑞垣俊二の妹。
- 彼女に対する周囲の意見からすると、なかなかの美人。
- 電話越しでしか話したことのない海音寺に、淡い恋心を抱いている。
- 瑞垣一臣(みずがき かずおみ)
- 高校生で、俊二と香夏の兄。
- 河合歌子(かわい? うたこ)
- 演:中尾ミエ
- 洋三の幼馴染。青波の同級生(真晴:演 - 酒井一世)の祖母。
単行本
ハードカバー
絵:佐藤真紀子(教育画劇刊)
- 『バッテリー』 1996年10月 ISBN 487692581X
- 『バッテリー II』 1998年4月 ISBN 4774604283
- 『バッテリー III』 2000年4月 ISBN 4774604704
- 『バッテリー IV』 2001年9月 ISBN 4774605174
- 『バッテリー V』 2003年1月 ISBN 4774605492
- 『バッテリー VI』 2005年1月 ISBN 4774606367
文庫
角川書店
- 『バッテリー』 2003年12月 ISBN 4043721013
- 『バッテリー II』 2004年6月 ISBN 4043721021
- 『バッテリー III』 2004年12月 ISBN 404372103X
- 『バッテリー IV』 2005年12月 ISBN 4043721048
- 『バッテリー V』 2006年6月 ISBN 4043721056
- 『バッテリー VI』 2007年4月 ISBN 4043721064
ラジオドラマ
青春アドベンチャー(NHK-FMでラジオドラマ化。全10話。)
映画
テンプレート:Infobox Film 2007年3月10日、全国東宝系で公開。主題歌は熊木杏里の「春の風」(キングレコード)。(EN)
キャッチフレーズ
「いまだからこそ、できることがある」
監督・製作・脚本
他キャスト
テレビドラマ
テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible lists NHKの新設連続ドラマ枠『ドラマ8』にて、2008年4月3日から6月12日まで放送していた。2008年1月中旬にクランクイン、千葉や岡山でのロケをおこなった。
他キャスト
主題歌
・2009年2月25日にDVDボックスを発売。
放送日程
各回 | 放送日 | サブタイトル | 視聴率 |
---|---|---|---|
第1回 | 4月テンプレート:03日 | 本気になれよ! | 8.1% |
第2回 | 4月10日 | 俺を信じろ! | 9.6% |
第3回 | 4月24日 | やつらを許さない! | 7.2% |
第4回 | 5月テンプレート:01日 | 俺は負けない! | 8.3% |
第5回 | 5月テンプレート:08日 | 野球は誰のもの? | 5.9% |
第6回 | 5月15日 | 怪物との勝負 | 8.7% |
第7回 | 5月22日 | キャッチャー失格 | 7.7% |
第8回 | 5月29日 | 心は届くのか? | 7.7% |
第9回 | 6月テンプレート:05日 | 勝負をつけろ! | 7.8% |
第10回 | 6月12日 | 俺たちの野球! | 8.1% |
平均視聴率7.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区) |
不祥事
2008年1月20日に行われた千葉県南房総市の市立中学校でのロケ中、学校の駐車場にあった地元ナンバーの自動車3台が画面内に映り込むため、NHKのスタッフが持ち主に無断で紙製の岡山のナンバープレートを貼り付けて撮影していたが、撮影の終了後にそのうちの1台が偽のナンバープレートを貼られたまま駐車場から走り去っていたことが判明。翌21日に、ニュースを見た車の持ち主が警察署に名乗り出て解決したが、持ち主は自分の車のナンバープレートが細工されていたことには気づいていなかったという[1][2]。
脚注
- ↑ 報道資料「ドラマロケ中の不祥事について」(NHK、2008年1月21日)
- ↑ お知らせ「ドラマロケ中にナンバープレートを貼り付けた車の発見について」(NHK、2008年1月21日)