データ (スタートレック)

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データは『新スタートレック』の登場人物の一人で、アンドロイド。演じているのはブレント・スパイナー。日本語版の吹き替えは大塚芳忠が担当した。

誕生

アイザック・アシモフが考えた陽電子頭脳を搭載したアンドロイドを生み出したいと、物語内の人物ヌニエン・スン博士により作られた。姿はスン博士自身の若いころに似せられた。なお、アンドロイドの共同開発者としてスン博士の当時の妻「ジュリアナ=オドネル」博士がいた事が、後年スン博士の記憶・人格等を引き継いでいるホログラムよりデータ少佐に告げられた。

人物

オールバックの髪型、金色の瞳、真っ白な肌が特徴的である。頭髪の類は自由に伸ばすことが出来るらしく、未来の世界で老けを表現する為に白髪を作ったりした。一回だけ髭を生やしたが、ラ=フォージに「おかしい」(曰く『顔に落書き』)と言われてやめた。

初登場時にはホロデッキでの自然の風景の中で口笛を練習しており、その後もホロデッキにてシャーロック・ホームズに扮したり、スポットと言う名の猫を飼ったり、その猫に関する自作の詩「フィリス・カダス それがお前の正式な学名 四足歩行の動物 生まれながらに肉食……」を朗読してクルーを悩ませるなど、悪意はないのに気が利かない面もある。健康状態を問われると「正常に機能しています」と答える。親友であり、人間の感情の教師役は「初めてありのままの私を受け入れてくれた人物」のジョーディ・ラ=フォージ。人間としての理想的人物はジャン=リュック・ピカード

何かしらの質問をされると、関連はあるもののその場では必要のない情報まで延々と羅列し始めてしまうため、ピカードやライカーからすぐさま「もういい、データ」と遮られることが多い。映画『ネメシス/S.T.X』では冒頭の結婚式のシーンにおいて、ついにピカードから「黙れ」と言われてしまった(祝宴の席上における冗談であり、ピカード曰く『15年間ずっと言いたかった』)。

男性型アンドロイドであるデータには性的な機能も装備されており、水の分子構造の変化により一種の躁状態に陥ったエンタープライズ艦内において保安主任のナターシャ・ヤー大尉と関係を持ってしまったこともある。彼女の殉職後、彼女のホログラム写真はその後も大事な物として手元に置いていた。

TVシリーズ中において一度感情チップを得るが、それによる失敗から感情チップを自らはずし封印している。また、感情チップが無いにもかかわらず、自分が製作した娘であるラルに対しての態度などまるで感情を持っているかのような反応を示す場面もしばしば見られる。

ジェネレーションズ』では敢えて感情チップを装着し(本人にとって)未知である感情を体験しようとしたが、眼前でラ=フォージが連れ去られるのを恐怖の感情におびえて見過すという代償が伴った。一度はオーバーロードし、神経組織に貼りついてしまったチップだが、後に任意で機能をオン/オフできるよう改良を施されている(『ファーストコンタクト』)。

TVシリーズ中『人間の条件』において、記憶容量が800×10^15bit(=100PB)であり、情報処理伝達能力が1秒間に60兆回であることが本人から語られた。

経歴

階級は少佐で、ピカード艦長(大佐)、ライカー副長(中佐)に次いで第二副長の地位であり、U.S.S.エンタープライズDにおいては3番目の指揮権を持つ。過去にクリンゴン帝国内戦が勃発した際、ロミュランからデュラス一派への援助物資の補給を断つためにクリンゴンとロミュランの国境付近で作戦が展開されたが、艦長としてネビュラ級航宙艦U.S.S.サザーランドを指揮した。その際はアンドロイドとしての能力によって敵艦隊を探知したことから艦隊の作戦方針及び上官の命令を無視し独自の判断でロミュラン艦を探知、威嚇射撃を行い、退却させた。

指揮権を発動する立場では言葉遣いや口調、態度が変化し、自身の状況判断に全く迷いを見せない様は最もアンドロイド然としていた。以降の任務では航宙艦の艦長を任せられる機会は訪れていないが、ピカードとライカーが行方不明になった事件ではエンタープライズを指揮している。

なおライカー副長がU.S.S.タイタンの艦長として転出した後、中佐に昇進して後任の副長に就任する予定だった。

  • U.S.S.エンタープライズE 艦長(大佐、メモリー移植によりデータの複製となった元B-4)(『Star Trek:Countdown』)
  • (2267年から翌年にかけてのクリンゴン内戦において、U.S.S.サザーランドの臨時艦長(少佐)を務める)
  • U.S.S.エンタープライズD 第二副長兼OPS(少佐)
  • U.S.S.トリエステ (大尉)
  • 2345年、宇宙艦隊アカデミー卒業

他のアンドロイド

先に作られ(物語上)実際に起動された同タイプのアンドロイドとしてローア、映画『ネメシス/S.T.X』に登場したB-4が存在する(ジャン=リュック・ピカードが英単語の"before"と引っ掛けていると言及。B-4は後の二人に比べて信号伝達回路が単純(未発達?)なため、機能が制限されている模様)。

ローアと機能上ほとんど差異は無いが、唯一の違いは感情を持たせるためのチップが存在しないこと。ローアは感情チップの設計に失敗したためか、「残忍で邪悪」な行動を取るようになった(ジュリアナ・オドネル博士の発言)ため、「後で修理をするつもり」(ヌニアン・スン博士の発言)で停止・解体させられた。この反省から、スン博士は感情のないアンドロイドを作ろうと考えてデータを作り出した。第35話「人間の条件」、第64話「アンドロイドのめざめ」、第85話「ヒューマン・アンドロイド・データ」などはデータが人間性を学んでゆくプロセスを軸にストーリーが展開する。

ちなみに、ローアはデータの為の感情チップをスン博士を騙して手に入れ装備したが、人格そのものはゆがんだ性格のままだった。

B-4は、データの記憶を移植されて知的機能向上を期待されたものの、その後の展開は物語が終了したため不明だったが、2009年に公開された映画『スター・トレック』(ST11)のプロローグに当たる『Star Trek: Countdown』において、2380年代にはデータとして活動しU.S.S.エンタープライズEの艦長を務めている事が明かされた。

データが作った自身のコピー体である『子供』も存在した。ラルと名付けられた個体で、ラル自身が外見を選ぶ事により地球人の女性となり、連邦はアンドロイドが発明したのか?種族の子孫誕生なのか?と言った定義を突きつけられた物語が進行する。

宇宙大作戦第74話「6200歳の恋(Requiem for Methuselah)」においてフリントによって作成されたアンドロイド・レイナが登場する。

データより後に作られたアンドロイドも存在する。第161話「アンドロイドの母親」に登場した、データのもう一人の開発者であるジュリアナ=オドネル博士の複製である。事故によって昏睡状態となったジュリアナの記憶を、スン博士が新たなアンドロイドの身体に移植したものである。感情を持ち、各種スキャンには人間にしか見えないような反応を返し、老化現象を起こすなど、限りなく人間に近い作りになっているが、本人にアンドロイドである自覚はなかった。

最期

映画『ネメシス/S.T.X』にて、U.S.S.エンタープライズEロミュラン帝国にて軍事クーデターを起こしたシンゾンの最新鋭艦シミターと交戦、劣勢に立たされ武器が使用できないエンタープライズを守るため、敵艦に乗り込み致死放射線兵器の発生器をハンドフェイザーで破壊。その後シミターの爆発に巻き込まれて死亡したと思われる。

この後、ピカードやラ=フォージはB-4をデータの「兄弟」として扱い、人間とのかかわりなどを学ぶように勧めていく。

初登場時ライカー中佐に「ピノキオ」と呼ばれている通り、キャラクターの基となったのはピノキオである。

データ、ローア、B-4だけでなく、ヌニエン・スンとアリック・スン(スタートレック:エンタープライズ)などの関連人物も全てスパイナーが演じている。なおスパイナーは近眼のため、データの「金色の瞳」はカラーコンタクトによるものである。

テンプレート:スタートレックde:Figuren im Star-Trek-Universum#Lieutenant Commander Data