テレンス・タオ
テンプレート:Infobox scientist テレンス・タオ(Terence Tao、陶哲軒、1975年7月17日 - )は中国系オーストラリア人数学者。カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。専門は実解析、調和解析、微分方程式、組合せ論、整数論、表現論。
2004年に長い間の整数論の難問(素数の集合の中には任意の長さの等差数列が存在すること)を解決し(ベン・グリーンとの共同研究)、その成果により2006年にフィールズ賞を受賞した。他に掛谷予想への貢献。KdV方程式が大域解を持つことを示した。表現論とシンプレクティック幾何学に組合せ論的手法を持ち込みエルミート計量に関するHorn予想を解決(Allen Knutsonとの共同研究)。
幼少~学生時代
両親は香港からの移民(第1世代)。父は小児科医、母は元数学教師。2歳にして既に数学の才能を開花し、幼少期から数字に囲まれた生活をしていたという。弟が2人おり、3兄弟そろって数学に飛びぬけた能力を持つ。
9歳で実家から程近いフリンダース大学へ飛び級で入学し、本格的に数学の勉強に取り組んだ。1986年、10歳にして国際数学オリンピックに出場し銅メダルを獲得。翌年には銀メダルを獲得し、さらに翌年には史上最年少で金メダルを獲得した。これは未だ破られていない記録である。弟2人も国際数学オリンピック銅メダル受賞者。
本人は後に「幼い頃から難しい問題を次々と解くことで思考が磨かれていった」と、英才教育が自身の卓越した才能を伸ばす手助けになったと振り返っている。
分野の垣根を越えた数学者
24歳にしてカリフォルニア大学ロサンゼルス校正教授に就任したタオは調和解析を専門領域に選んだ。しかしその後、整数論、偏微分方程式、組合わせ論など数学のフィールドを広げていった。これほどに研究の枠を広げることは、数学者として異例なことである。
略歴
- 1975年 - オーストラリアのアデレードに生まれる
- 1988年 - 国際数学オリンピックにて史上最年少で金メダルを獲得
- 1991年 - フリンダース大学卒業
- 1992年 - 同大学院で修士号取得
- 1995年 - プリンストン大学で博士号を取得
- 2000年 - カリフォルニア大学ロサンゼルス校数学科正教授
既婚者で息子と娘がいる。
受賞歴
- 2000年 - サレム賞:<math>L^p</math>調和解析とそれに関する幾何学的測度論および偏微分方程式の研究
- 2002年 - アメリカ数学会 ボッチャー記念賞:波動写像型方程式のソボレフ空間のcritical regularity問題についてのブレイクスルー。(Global regularity of wave maps I. Small critical Sobolev norm in high dimensions, Int. Math. Res. Notices (2001), no.6, 299-328とGlobal regularity of wave maps II. Small energy in two dimensions,Comm. Math. Phys. 224 (2001), no. 2, 443-544.に対して)
- 2003年 - クレイ数学研究所クレイ研究賞:解析学におけるground-breaking。特にフーリエ解析における optimal restriction 定理に対して
- 2005年 - アメリカ数学会コナント賞:"Honeycombs and Sums of Hermitian Matrices," Notices of the AMS 48, no. 2 (2001), 175-186. に対して(Allen Knutson との共同受賞)
- 2005年 - オーストラリア数学会 オーストラリア数学会賞
- 2006年 - 国際数学者会議フィールズ賞:偏微分方程式,組み合せ論,調和解析,加法的整数論への貢献に対して
- 2010年 - キング・ファイサル財団 キング・ファイサル国際賞科学部門
- 2012年 - スウェーデン王立科学アカデミー クラフォード賞
- 2014年 - 王立協会 ロイヤル・メダル