タイム・トラベラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Otheruseslist テンプレート:出典の明記 テンプレート:基礎情報 テレビ番組タイム・トラベラー』は、NHKが製作し、1972年に放送した青少年向けSFテレビドラマである。

番組概要

本作品はNHK「少年ドラマシリーズ」の第1作である。原作は筒井康隆の『時をかける少女』。

1971年の夏に企画が立てられ、1972年1月1日から1972年2月5日まで放映された。本作品が好評だったため、同じスタッフとキャストでオリジナル脚本による『続 タイムトラベラー』も製作され、同年11月4日から12月2日まで放映された。

語り手として城達也が出演しているが、照明が頭から照らすダウンライトで、顔はよくわからないようになっている。これはナレーターである城が「顔出し出演はしたくない」という事への最低限の配慮である。

あらすじ

普通の中学3年生、芳山和子の身辺に次々と不思議なことが起き始めたのは、彼女が理科準備室で謎の香りを嗅いでからのことだった。その香りは、ラベンダーという花のものだった。

やがて和子は、同じクラスの深町一夫が実は700年後の世界からやってきた未来人、ケン・ソゴルであることを知る。ケンは未来に帰るための薬を調合するために、架空の人物に成り済ましていたのだ。ラベンダーはその調合に必要な材料だった。調合途中の薬の匂いを嗅いだことで、和子はタイム・トラベルの能力を持ったと、ケンに告げられる。

和子は、何らかのショックを与えられたときなどに,不意に起きるタイム・トラベルで、過去や未来の世界との間を行き来する。行った先で身近な人に近々不幸なことが起きるのを知ることになるが、どうすることもできない。ケンの言によれば、時間を超えて行き来することは可能でも、過去や未来を変えることは無理なのだ。お互いを助け合ううちに、和子とケンの間には、次第に淡い恋愛感情のようなものが芽生え始める。

やがてケンは、未来に帰るための薬品を完成する。その前に、和子を含めその事実を知る人の記憶を消去しなければならないという。ケンと過ごした記憶を消されることを悲しむ和子。だがケンにも、タイム・ルールの掟を破ることは許されない。ケンは和子を含め、自分にまつわる周囲の人たちの記憶をすべて消した上で未来に帰っていった。

ケンの記憶を消された和子は、高校入試を控えて受験勉強に追われる普通の中学生に戻った。だが彼女のタイム・トラベルの能力はどうなったのだろうか。もしかしたら何かの拍子に、タイム・トラベラーとしての能力を取り戻すかも知れないのだ……。

再放送達成に至るまで

本作を収録したマスターテープは他の番組制作に使い回された[1]ために、NHKには映像が保存されていなかったが、当時一般視聴者が録画していた最終回の映像が1999年になって提供された。それ以前に音声のみは視聴者から提供された全話分[2]が存在したため、提供された時点では見るに耐えなかった映像は補修され音声も追加されてほぼ完全な状態に修復された。

統一I型ビデオで録画されたこの最終回の映像は、NHKの『土曜スタジオパーク』にてその一部が放送されたのをきっかけとして反響を呼んだ。その後、2001年11月18日にはNHKアーカイブスで放送され(同年、DVDとして発売)、約30年ぶりにお茶の間のテレビに甦った。

また、本作で使用された劇伴音楽の音源も現存していないと思われていたが、作曲を担当した高井達雄のもとから一部の楽曲のコピーテープが発見され、2006年サウンドトラックアルバムが発売された。

スタッフ

キャスト

参考資料

  • 石山透 『タイム・トラベラー―筒井康隆「時をかける少女」より』 ISBN 4479480064
    • 続篇『続 タイムトラベラー』も含む全シナリオを収録。また、本編のモノクロ写真が数点収録されている。
  • DVD 『NHK少年ドラマ・アンソロジーI』(2001年3月23日発売、アミューズソフト[4][5]
    • 『タイム・トラベラー』最終回と、音声のみだが『タイム・トラベラー』第1-5話、『明日への追跡』第1.9.最終回(11,12を再編集の再放送版)を収録している。

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:前後番組 テンプレート:時をかける少女

テンプレート:Asbox
  1. 当時の放送用2インチVTR用テープは非常に高価だった。
  2. 『新タイムトラベラー』も含む。この音源は最終回のDVDソフトに収録されている。
  3. クレジットは和久井節夫。
  4. テンプレート:Cite journal
  5. テンプレート:Cite web