セント・アンドルーズ大学 (スコットランド)
テンプレート:Infobox セント・アンドルーズ大学(University of St Andrews)はイギリス・スコットランドの東海岸セント・アンドルーズ市に所在する大学。1413年創立。スコットランド最初の大学であり、英語圏全体でも3番目に設立年代が古い[1]。その長い歴史からアンシャン・ユニヴァシティーの一校に数えられる。イギリスの研究型小規模大学が所属する1994グループ加盟校。2014年度のサンデー・タイムズ、ガーディアン紙による全英大学ランキングでは第4位となっている。
セント・アンドルーズがスコットランドにおけるキリスト教の巡礼地であったことから、中世にはジョン・ノックスをはじめとして多くの宗教指導者がセント・アンドルーズ大学で学んだ。この伝統は自然神学講座ギフォード講義に引き継がれ、1888年以来、エドワード・ケアードなどの哲学者やヴェルナー・ハイゼンベルクなどの科学者による講演が行われている[2]。
セント・アンドルーズ大学は卒業生・関係者・教員からノーベル賞受賞者5名を輩出している。
目次
沿革
1410年、聖アウグスチノ修道会のセント・アンドルーズ大聖堂 (St Andrews Cathedral)により設立され、講義を開始。1413年、ベネディクトゥス13世の教皇勅書により正式に開学する。同時期にセント・アンドルーズが大司教座に指定されたのと相まって、急速に発展した。現在のキャンパスも設立当時と同じ場所にあり、中世の面影を色濃く残す。
2013年、セント・アンドルーズ大学は創立600周年を迎える。この節目を前に大学は大々的なキャンペーンを行っており、セント・アンドルーズ大学の卒業生であるケンブリッジ公爵・ウィリアム王子とその妻キャサリンが主要な役割を果たしている。この600周年キャンペーンにはビル・クリントン元アメリカ合衆国大統領や俳優のショーン・コネリーもお祝いのメッセージを寄せている[3]。
組織
美術史、生物学、医学、化学、古典学、コンピューター科学、神学、経済・金融、英語・英語教育、地理学、歴史学(古代史、中世史、近代史)、国際関係、経営学、数学・統計、近代言語学、哲学・人類学、物理・天文、心理学の各学部(スクール)があり、外国人留学生のための35週間の大学予備課程も併設する。
学部はユナイテッド・カレッジ、セント・メアリー・カレッジとセント・レオナルド・カレッジに分かれており、ユナイテッド・カレッジは文系と理系、セント・メアリー・カレッジは神学、セント・レオナルドカレッジは院生と分かれている。
校風および特色
スコットランドの大学ではあるが、3割近くがイングランド出身の学生で占められているため、Scotland's English university(スコットランドにあるイングランドの大学)と揶揄されることもある[4]。また、イギリス国外からの留学生が占める割合も3割に達し、100カ国を超える国々からの学生が集う国際色の強いキャンパスであることも特色である。 1776年のアメリカ独立宣言の署名者のうち数名がセント・アンドルーズ大学卒業者であったことから、アメリカ合衆国との関係が特に強く、学部生の15%がアメリカ人留学生である[5]。
学部生の出身校については、公立学校以外(パブリックスクール等)の教育機関の出身者が4割と、高い比率になっている[6]。卒業生は産業界でも活躍しており、ウォーリック大学のThe Institute of Employment Researchの研究発表によると、大学の学生数の規模との対比で、イギリスを代表する企業群であるFTSE 100社に最も高い割合でDirectorを輩出しているテンプレート:要出典。
セント・アンドルーズには「ゴルフの聖地」と称され、5年に一度全英オープンが開催されるゴルフコースOld Courseがある。多くのゴルフコースが大学キャンパスに隣接しており、学生は、格安な料金でゴルフのプレーを楽しむことができる。
評価
Research Assessment Exercise (RAE)
Research Assessment Exercise (RAE)は、数年に一度、イギリス政府が学術機関に対して行う研究成果の公的な調査および査定である。イギリスの学術機関で行われている研究を67分野に分け、各分野の専門家がお互いの研究成果を査定する。イギリス政府はその結果に基づいて国内の学術機関への資金配分を決める。RAEはこれまで1992年、1996年、2001年、2008年の4回実施されている。
最新のRAE(2008年版)によると、総合ランキングでセント・アンドルーズ大学は第14位[7]であった。研究の約19%が「世界最高水準」だと査定された。これはイギリスの大学で14番目に高い比率である[8]。また、研究の60%は「世界を主導している、または国際的に卓越している("world leading" or "internationally excellent")」、94%は「国際的に認知されている ("internationally recognized")」と評価されている[9]。
最新のRAEの結果を分野別に見ると、哲学で全英1位(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンと同率)、天文学・物理学、ドイツ語、映画学で第2位であった[10]。
新聞社による評価
イギリスでは新聞各紙が独自の視点に基づいた大学ランキング(総合ランキングは下記の表を参照)を発表している。英国では分野別で大学が評価されることと毎年各大学・各分野の順位が変動することに注意したい。
インデペンデント紙が編纂した"The Complete University Guide" (2014年度版)によると、セントアンドルーズ大学は総合ランキングで全英第6位となっている。[11]。
ガーディアン紙が発表する"Guardian University League Table"(2014年)によると総合4位(入学難易度で第5位)となっている[12]。分野別では、神学・宗教学で第1位[13]、政治学で第2位[14]、数学で第2位[15]、物理学で第3位[16]、歴史学、美術史で第3位[17]など、伝統的な学問分野で際立って高い評価を受けている。
サンデー・タイムズ紙の"The Sunday Times University Guide"2014年度版によると総合4位となっている[18]。
2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | |
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Times | 6位 | 6位 | 4位[19] | 4位[20] | 5位[21] | 5位[22] | 20位[23] | 7位[24] | 9位 | 4位 | 5位[25] | |
Guardian | 4位[26] | 4位 | 3位 | 4位[27] | 3位[28] | 5位[29] | 4位[30] | 39位[31] | 43位[32] | 11位[33] | 14位[34] | 13位[35] |
Sunday Times | 4位[36] | 5位 | 6位 | 7位[37] | 5位[37] | 5位[37] | 6位[38] | 10位 | 14位 | 14位 | 10位 | 9位 |
Independent | 6位[39] | 6位 | 6位[40] | 6位[41] | 7位[42] | 7位[43] | 5位[44] |
国際的評価
タイムズ・ハイアー・エデュケーションが2010年に発表した世界大学ラインキングにおいて世界で総合103位、ヨーロッパで第31位、イギリスで第15位であった。 分野別では人文系統(Arts and Humanities)で世界で第20位にランクされている[45]。なおQS World University Rankingでは第95位[46]であった。
スポーツ・サークル・伝統
各学年の呼び方
一年生はBejant、二年生はSemi-Bejant、三年生はTertian、四年生はMagistrandと呼ばれる。
ガウンと角帽
学生は大学のセレモニーの際にキリストの血を象徴しているといわれる赤いガウンを着用し、院生は学士卒業の際の大学のガウンを着用することが勧められているが、セント・アンドルーズ大学の修士ガウンを着用するものも多い。
それぞれの学年によってトレンチ・ハット(角帽)につける房の色が違う(一年・青、二年・赤、三年・黄、四年以降・黒)が1892年に初めて女性が大学に入学を許可された際に生徒が反対するためのデモとして彼らの角帽を海に投げ捨てたという伝統に則って、現在も男子生徒は角帽を被らない。
殉教者のための礼拝
2月の最後の金曜日に1528年2月19日にプロテスタント初の殉教者、パトリック・ハミルトンとカトリックの殉教者、ジョン・オグルヴィーの為の礼拝が大学のチャペル、セント・サルヴェイター・チャペルであり、彼らの信じたものへの勇気を讃える。 パトリック・ハミルトンは信じるものの為に戦った勇敢な人物として語り継がれることが多いが、実際ハミルトンはイギリス王家の親戚であり、自分が殺されるとは露にも思っていなかったという説を大学のオルガン奏者、ウィリアム・スティーブン博士は支持している。
ディベーティング・ソサエティー
セント・アンドルーズ大学には1794年に設立された世界で一番古い学生のディベーティング・ソサエティーがある[47]。その活動は1645年から1646年までスコットランド議会があったパーラメント・ホールで毎週行われている。
関係者
- ベンジャミン・フランクリン:アメリカ独立宣言著名者
- ジェイムズ・ウィルソン:アメリカ独立宣言著名者
- ジョン・ウィザースプーン:アメリカ独立宣言著名者
- ジョン・ノックス:スコットランドの宗教改革指導者
- ウィリアム・ウォレス:哲学者
- ウォルター・ハース:ノーベル化学賞(1937年)
- アラン・マクダイアミッド:ノーベル化学賞 (2000年)
- フリチョフ・ナンセン:ノーベル平和賞(1922年)
- ラドヤード・キップリング:ノーベル文学賞 (1907年)
- ジェームス・ブラック:ノーベル生理学・医学賞(1988年)
- ジョン・プリングル:赤十字社の設立者の一人
- ジェームス・グラハム:清教徒革命期のスコットランド貴族
- ウィリアム・マウントバッテン=ウィンザー:イギリス王太子チャールズの長男
- アレステア・レナルズ:SF作家
- イアン・マクダーミド:俳優
- アンドリュー・ベル:教育者
- ラッセル・カーク:政治理論家
- ジョン・キャンベル:カナダ総督
- ライアン・プレイフェア:化学者
- パトリック・ハミルトン:宗教改革者
- アンドリュー・メルヴィル:宗教改革者
- ジェームズ2世:スコットランド王
- ダグラス・ブラック:医師
- ジョン・ネイピア:数学者
- クリス・ホイ:自転車競技選手
- ウィリアム・ハミルトン:アメリカ合衆国の神学者
- 遠藤勝信:牧師
- 岡山英雄:牧師
- 広瀬巌:政治哲学者
脚注
関連項目
ただし、スコットランドのセント・アンドルーズは「スコットランドの聖人たち」という意味で"St Andrews'"と複数形を用いているが、桃山学院大学の"St. Andrew's"は「聖・アンデレの」という意味で、意味的には少々異なる。
外部リンク
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