スポーツワゴン

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スポーツワゴンは、日本国内において販売者やその意を受けたメディアが、ステーションワゴンもしくは5ドアハッチバックの内、スポーティーなイメージを持ったワゴンとして売りたい車種に対して付けた新語である。

概要

ボディ形状はステーションワゴンもしくは5ドアハッチバックとして開口部の大きい後部扉を持ち、多くは2列シートの5人乗りでベースとなったセダンモデルを有する。これらの車種に、高回転で高出力を発揮するエンジンの搭載や、タイヤ、サスペンション、ブレーキなどをスポーツグレードの装備とすることで、動力性能や運動性能を強化したグレードを設定し、スポーティーイメージを付与している。このスポーティーイメージの付与というマーケッティング手法により、実用性のみで評価されていたステーションワゴンや5ドアハッチバックが、乗用車として広く受け入れられきっかけともなった。

なお、スポーツの名称を冠するが後部扉の開口部のため車体剛性がセダンやクーペに劣ることからモータースポーツで使われることはほとんどなく、ワゴンを名乗るが車種によっては積載力に疑問を呈するものも数多い。あくまで、実用と運転の楽しみを両立させた乗用車の範疇である。

日本における成り立ち

1972年にマツダが商用車登録のグランドファミリアバンをベースとして、ロータリーエンジンを搭載して乗用車登録とした車種に対してサバンナスポーツワゴンの名称を与えたのが始まりである。 形状的にライトバンのイメージが強かったワゴンの動力性能を強化することで、乗用車としての差別化が意図されていた。

5ドアハッチバック形式の車種は、日本では販売実績が少なく輸出用として存在しても日本国内では販売されないことが多い形式であった。 これに対し、ワゴンが消費者に乗用車として好感を持たれるようになったことから、1992年にスバルインプレッサの5ドアハッチバックにスポーツワゴンの名称を与え、セダンのWRC(世界ラリー選手権)での活躍を被らせて販売上の成功をおさめた。

ハッチバックに与えた影響

欧州で実用性から認知されていた5ドアハッチバックに対して、スバル・インプレッサ ワゴンはスポーティーイメージを付加することで新規需要層を掘り起こした。これに影響を受けたアルファ・ロメオシトロエンなどの名立たる欧州メーカーはその後、続々とスポーティな5ドアハッチバックを開発した。また余波として、ステーションワゴンにスポーツ志向のモデルやグレードが多く設定されるきっかけともなった。

関連項目

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