サーブ・9000
サーブ・9000(SAAB 9000 )は、1986年にスウェーデンの航空機メーカー・サーブの自動車部門が発売し、自動車メーカーサーブ・オートモービルに引き継がれて1997年まで日本に導入されていた自動車である。
概要
当時、新車種の開発資金が薄かったサーブは、イタリアのフィアットと共同開発をすることになる。これが、有名な「ティーポ4プロジェクト」(Tipo-Quattro Project )である。更にこれにフィアットグループのアルファ・ロメオが加わり、9000の他に「アルファロメオ・164」、「フィアット・クロマ」、「ランチア・テーマ」といった「姉妹車」が誕生した。
「姉妹車」とされるものの、9000はフィアットグループの他の3車とは外観や内装、メカニカルなど差異が多かった。なおこの共同プロジェクトでサーブはエアコンの開発を担当している。
9000は1984年にサーブの新しいフラッグシップモデルとしてデビューした。当初は5ドアハッチバックのみであったが、後に4ドアセダンが追加された。
日本に輸入された9000は大きく分けて3期(前期・中期・後期)に分けることができる。前期型では2Lエンジンのみの展開。中期型では、2.3Lが追加され、スポーツハッチバックの「タラテガ」と同じくハッチバックの「CS」が追加された。この頃にサーブはGM傘下となった(CSはGM傘下に入って初のニューモデルとなる)。後期型では僅か2年で消滅した「タラデガ」に代わって「エアロ」、上級仕様の「グリフィン」が追加された。
また、フロントグリルが2種類あり、厚いグリルが俗に「CD顔」、薄いグリルが同じく「CS顔」(見出し写真参照)と呼ばれる。「CD顔」は、「タラデガ」や1994年式までの「CD/グリフィン」に、「CS顔」はそれ以降の「CD/グリフィン」と「CS」、「エアロ」に装着される。
後継車は1997年に発表された「9-5」である。本国では1998年モデルまで「9-5」と並行して販売されたが、アメリカや日本では1997年モデルで打ち切りとなった。
代表的なラインナップ
- 初期モデル(1989年モデル)
- 9000ターボ16
- 9000CD
- 9000CD16i
- 9000ターボ16Sタラデガ
- 中期モデル(1991年モデル)
- 9000CD 2.3-16
- 9000CD 2.3ターボ
- 9000 2.3ターボSタラデガ
- 後期モデル(1996年モデル)
- 9000CD
- 9000CDE
- 9000CS
- 9000CSE
- 9000グリフィン
- 9000エアロ
日本国内販売傾向
販売台数の伸びは大きくなくマニュアルミッション車は特に稀少。1989年に9000ターボ16CDが630万円[1]。で、当時のシーマやセルシオより高価であった。モデルライフ後半ではグレードも細分化され約380万円の廉価グレードを設定するも、ライバル車に比してモデルライフの長さに起因する設計の古さが目立った。
後継車種
脚注
- ↑ 『外国車ガイドブック1989』p.215
参考文献
- 『外国車ガイドブック1989』日刊自動車新聞社