コントロールキー
歴史
テレタイプ端末、及び初期のコンピューターキーボードでは、コントロールキーを押しながら他のキーを押すと、生成されるASCIIの下位5ビット以外がゼロとなった。これによりユーザーはASCIIの非表示文字である最初の32文字 (0x00 - 0x1f) を生成、入力できる。これら非表示文字は制御文字と呼ばれ、キーボードから入力することで復帰 (CR)、改行 (LF)、改頁 (FF)、端末ベル (BEL) 等の動作を行わせる制御信号をコンピューターに送る。すなわち、コントロールキーとは制御文字を生成するための修飾キーである。
本来の制御文字の役割が時代遅れでほとんど使用されなくなった後、現在のソフトウェアは制御キーを他の目的で使用するようになっている。
なおテレタイプ端末ではコントロールキーと共に小文字のc、または大文字のCを使用した場合、得られる結果は同じである。しかしながら現代のコンピューターでは、通常これら二つのキーは区別されている。またコントロールキーが左右に二つあるキーボードの場合、アプリケーションによっては使い分ける場合がある。
表記方法
コントロールキーを押しながら他のキーを押す動作を表記する場合、一般的な表記方法が存在する。以下の全ての例はコントロールキーを押しながらcキーを押し下げる動作を示す。
^C | 文字の前に^[1] を置く伝統的表記法 |
C-c | Emacsにおける表記 |
Ctrl-C | マイクロソフトの旧表記法 |
CTRL+C | 現在のマイクロソフトの表記 |
使用例
基本的な使用法
以下の例は、マイクロソフトのWindows系OSで汎用的に使用できる機能である(いくつかの例外あり)。
CTRL+A | 全選択 |
CTRL+C | 選択項目のコピー |
CTRL+F | 検索 |
CTRL+H | 置換 |
CTRL+N | 新規作成 |
CTRL+O | 開く |
CTRL+P | 印刷 |
CTRL+S | 保管 |
CTRL+V | カーソル位置にペースト |
CTRL+X | 選択項目のカット |
CTRL+Y | リドゥ(やり直し) |
CTRL+Z | アンドゥ(元に戻す) |
これらの用法はコンピューターに動作させる機能を表す英語の単語の頭文字が選択されていて、制御文字の本来の動作とは無関係であることに留意されたい。
単独での使用
Windows用の恋愛アドベンチャーゲーム・ビジュアルノベルにおいては、コントロールキーを単独で押すことにより、テキストの早送りができることが多い。また、一部のCPU切り替え機ではコントロールキーを連続して複数回押す事でモニタにメニューを表示する等の使用がされている。
WindowsにはCtrlキーを押すとマウスポインタの周囲に円が表示されマウスポインタを目立たせる機能が搭載されている。
韓国語のMicrosoft IMEでは、ハングルで読みを入力してから한자(hanja)キーを押すことで漢字変換(および単独の字母を入力して記号への変換)を行うが、한자キーの無いキーボードではこの機能を右コントロールキーで代用するようになっている。
Macintoshのコントロールキー
Mac OS・Mac OS X及びそれらのアプリケーションにおいて、コマンドキーはおおむねコントロールキーと同様の機能をはたす。Command+Zのアンドゥ(取り消し)、Command+Xのカット(クリップボードに移動)、Command+Cのコピー(クリップボードに複写)、Command+Vのペースト(クリップボードから複写)は、その機能を必要とするすべての局面で共通とされた。加えて、Command+Pの印刷、Command+Sの保存等が、多くのソフトで共通に使われるようになった。WindowsではカットにShift+Delete、ペーストにShift+Insertが採用されたが、後にMac OSにならってCTRL+X(カット)、CTRL+V(ペースト)が追加された。
MacintoshにおいてコントロールキーはUNIX系ソフトウェアの操作や2ボタンマウスのエミュレーション、ことえりの操作などで多用される。
キーの位置
コントロールキーの位置については、Escキーの位置と同様、多数の議論がなされている。
初期のパーソナルコンピュータやワークステーションのキーボードの大多数では、これらはホームポジションの近く(通常はコントロールキーは「A」の近く、Escキーは「Q」の近く)にあった[2]。このためエディタ、ワープロソフト、コンピュータゲームなど、これらを多用するソフトウェアが多数登場し、特にパーソナルコンピュータやUNIX環境では普及した操作性となった。
しかしPC/AT後期より主流となった101キーボード(日本では106/109キーボード)以降の大多数のキーボードでは、コントロールキーの位置は最下段に、Escキーは最上段(ファンクションキーの上)にそれぞれ移動し、使用頻度が低いユーザーも多いと思われるCapsLockキーが「A」の近くに配置されたため、これを問題視する意見は多い。
反論または対策としては、コンビネーション用のキーを最下段に揃えたのは指先の不自由なユーザーへの配慮や、パーソナルコンピュータ以外も含むコンピュータの操作性(インターフェース)の統一である、コントロールキーは小指の付け根の部分で押せばよい、ソフトウェア側でキーバインドを変更すれば良い、キー位置が異なるキーボードも各種発売されている(例: Happy Hacking Keyboard)、などがある。
ソフトウェアまたはハードウェアによってキー位置を変更する場合は、コントロールキーをAの隣ではなくスペースバーの隣のキー(無変換キーやAltキー)に割り振り、親指でコントロールキーを押す使い方をする人もいる。これはコマンドキーを親指で押すMacintoshの使用法に似ている。
なおApple純正キーボードでは、英語版はAの隣がCapsLockキーになっているが、日本語版JISキーボードではAの隣がコントロールキーになっている。これはことえりの操作がコントロールキーを多用する事が原因と考えられる。なお、Mac OS Xではコントロールキーとコマンドキー、オプションキー、CapsLockキーなどの修飾キーがソフトウェア的に入れ替え可能になっている。
参照
- ↑ 記号の^は、英語ではキャレット (Caret) と呼び、英文校正では脱字記号として使用されており、テキスト入力フィールドの文字挿入カーソルを示す図形として表示されることがある。またフランス語で使用されるアクセント符号の名前からアクサン(シルコン)フレックス、またはサーカムフレックスと呼ばれることもある。日本語では、その形状から「やまがた(山形)」、あるいは単に「やま」と呼ばれる。この記号は、数式をテキストで表記する時に累乗を示す記号として使用されることから、累乗記号としても知られる。
- ↑ PFU キーボードコレクション
関連項目
- キーボード(コンピュータ)
- キー配列
- 修飾キー
- ショートカットキー
- Control-Alt-Delete - Controlキーを含むキーシーケンス。