コルンバ

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『聖コルンバ』(1906年、John R Skeltonによる)

聖コルンバ(Saint Columba、521年12月17日 - 597年6月9日)はアイルランド出身の修道僧で、スコットランドや北部イングランド布教の中心となったアイオナ修道院を創建した。アイルランド語ではコルム・キル(Colum Cille)。これは教会のを意味する語である。カトリック教会聖公会ルーテル教会正教会の聖人。アイルランド、スコットランドの守護聖人。祝日は6月9日。

来歴

イングランドや北ヨーロッパが異教のゲルマン人に席捲された後もキリスト教の伝統が残ったケルトの島アイルランド北西部ドニゴール地方の高貴な王族(Ui Neill:O'Neill オニール)の家系に生まれた。聖職者を里親としたことから信仰の道に入り、クロナード修道院の名僧フィニアンの下で修業した後、543年には故郷アルスターにデリー修道院を建設した。

546年には名高いダロウ修道院を創建して自ら修道院長となっている。その後もアイルランド各地に数多くの修道院を建設したと伝えられる。

しかし、560年頃信仰上の争いから迫害を受け、563年アイルランドを逃れてスコットランド西方海上に浮かぶヘブリディーズ諸島のアイオナ島に新たな修道院を創建した。

コルンバはこのアイオナ修道院を拠点にスコットランド各地に布教を行い、その弟子たちはさらに北部イングランドや西ヨーロッパ各地にまでケルト系修道院を広めた。このため、コルンバはケルト系修道院制度の父とされ、アイルランドの三大守護聖人のひとりとなった。

聖コルンバの弟子に、西ヨーロッパ各地にケルト系修道院制度を伝えた聖コルンバヌス(540年 - 615年)がいる。