ケンタッキー・フライド・ムービー

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テンプレート:Infobox Filmケンタッキー・フライド・ムービー』(The Kentucky Fried Movie)は、アメリカ1977年に上映された映画

概要

アメリカのケンタッキー州を舞台に、人気の映画・ドラマ・テレビ番組などのパロディーをふんだんに織り込んだオムニバス・ギャグ映画。特に筋書きはなく、スケッチの連続によって成り立っている。

日本ではVHSビデオ発売の際に『シモネタくん』シリーズの一環として発売されていた。

経緯

1971年よりアメリカ/ウィスコンシン州の州都マティソンで「ベジタブルス」というナンセンスものの芝居を催していたデヴィッドジェリーのズーカー[1]兄弟、そしてジム・エイブラハムズの三人は、その後ロサンゼルスに進出して20世紀フォックス撮影所近くの倉庫を改造して「ケンタッキー・フライド・シアター」と銘打ち、ベジタブルスを発展/拡大させた芝居を上演し始めた。

この芝居が好評を集めると、3人は1976年に劇場を閉じて映画化に着手した。ジョン・ランディスを監督としてスカウトし、ビデオテープ・プロダクションの元重役であるロバート・K・ワイスのプロデュースを得て10分間のパイロット・フィルムを作成して資金集めを開始。パララックス劇場チェーン社長のキム・ショーゲンセンが資金提供を引き受け、さらにシネ・アーティスツ・インターナショナルの制作部長ネッド・トバムが全米配給の段取りを担当する事が決定し、本編の制作に至った。撮影は1977年初頭に28日間で行われている。

内容

ケンタッキー・フライド・シアターで上演していたスケッチが3割、残り7割が映画用に書き下ろしたものとなっている。

オイル不足(Argon)
アルゴン石油のCMで、ニキビ面の若者から油を搾り取るという内容。
モーニング・ショー(A.M.Today)
回線が故障してスタジオからの呼び出しに気がつかずハナクソをほじるレポーター/スタジオで暴れだすゴリラ等。
ニュー・カー(His New Car)
発進しようとしても警報が止まない新車の話。脚本のデヴィッド・ズーカー自らがドライバー役を担当。
カトリック女子高生のトラブル(Catholic High School Girls in Trouble)
上の題名を持つ架空の成人映画の予告編。
感じる映画(Feel-A-Round)
観客の背後に一人の案内係が立ち、映画に添った内容の行為を観客に行う話。
頭痛薬「ナイテクスPM」のCM(Nytex P.M.)
飲むと夜眠れるが朝起きる事が出来ない薬の話。出演しているのは脚本の一人のジェリー・ズーカー。
ハイ・アドベンチャー(High Adventure)
フランスの海洋冒険家のテレビ・インタビューの話。
頭痛クリニック(Headache Clinic)
頭を殴られても痛みを感じなくなる頭痛薬の話。
お家をよい香りに!(Household Odors)
悪臭を別の悪臭で誤魔化すという消臭剤の話。
セックス・レコード(Sex Record)
セックスの手ほどきをするレコードの話。
燃えよ鉄拳(A Fistful of Yen)
燃えよドラゴンのパロディー。ブルース・リーならぬズロース・リーが主役[2]
ウィラー・ビール(Willer Beer)
ビラを配り終わったハレクリシュナ教徒の酒場での乱行の話。
大統領暗殺ゲーム"スコット・フリー"(Scot Free)
データを元に展開される大統領暗殺ゲームの話。
「ザッツ・アーマゲドン」予告編(That's Armagedon)
架空のパニック映画の予告編。ジョージ・レーゼンビードナルド・サザーランドが出演している。
死者の権利を守る会(United Appeal For the Dead)
ミイラ化した息子を交えた一家団欒。
法廷(Courtroom)
1950年代に流行した法廷ドラマをベースにした話。
ネコのフライ(Nesson Oil)
「法廷」の途中で挿入されるCM。
クレオパトラシュワルツ(Cleopatra Schwartz)
架空の大作映画の予告篇。
教育映画「酸化亜鉛」とあなた(Zinc Oxide)
日常用品に多く使用されている酸化亜鉛がもしなかったら? という話。
危険を求める男(Danger Seekers)
危険な冒険を行う一人の男が、黒人の一団に割り込み「ニガー!」と叫んで逃げ出す話。
アイウィットネス・ニュース(Eyewitness News)
テレビをつけている部屋で若いカップルが性事を始めると、テレビ画面の中のキャスターやスタッフが画面からそれを覗き込むという話。
11時のニュース(News at 11)
最後のスケッチ。「モーニング・ショー」のニュースキャスターが再び登場して「もうパンツを脱いだ」と発言して終了する。

字幕

日本では分かりにくい内容を補足するため、或いは演出を意図して、オリジナルのセリフに幾つかの変更が加えられている。例えば「燃えよ鉄拳」で悪の親玉のセリフのひとつが日本語字幕で「成田へ連れて行け」と表示されたが、原語では「デトロイト[3]」になっている。

25年後の2002年に日本でリバイバル上映された際にはみうらじゅんが字幕監修をした。

関連映画

脚注

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  1. 綴りは"Zucker"。『ズーカー』というカナ表記は本映画の1978年日本公開時パンフレットで使用されているが、後に『ズッカー』、近年はより原音に近い『ザッカー』というカナ表記が使用されている。
  2. 但しみうらじゅん監修のDVD版にはズロース・リーという名前でなく違う名前に変更されていた。
  3. パンフレットの解説によれば当時のデトロイトは環境の悪さと失業率の高さで多くのアメリカ人から嫌われていた。

外部リンク


テンプレート:ジョン・ランディス監督作品