酸化亜鉛
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テンプレート:Chembox 酸化亜鉛(さんかあえん、Zinc oxide)は化学式 ZnO で表される亜鉛の酸化物である。亜鉛華とも呼ばれる。
軽い白色の粉末で、高純度のものは透明。水に不溶。約 300 ℃に熱すると黄色になるが冷やすと元へ戻る。粒子が細かく、鉛白より被覆力は劣るが毒性がなく、硫化水素で黒変しないことから白色顔料として重要である。その他亜鉛華軟膏・亜鉛華澱粉などの医薬品あるいは化粧品などの原料となる。
収れん作用を持つ酸化亜鉛は、止血、鎮痛、防腐などの効果があり、化粧品や医薬品として用いられる。
また、透明で導電性を持つことから液晶ディスプレイなどに使われる透明電極の材料や、半導体(酸化物半導体)でもあるため発光デバイスなどへの応用も期待されていたが、耐酸性が極めて弱くリソグラフィーなどでの取り扱いが難しい。バンドギャップは約 3.37 eV、薄膜は圧電性を示す。
天然には紅亜鉛鉱(Zincite)として産出するが、アメリカ合衆国の2つの鉱山からしか産出しない希少鉱物である。また、ポーランドの亜鉛工場の煙突に析出した結晶が販売されている[1]。
製造
工業的には金属亜鉛を熱して気化させ、空気で燃焼させるか、硫酸亜鉛または硝酸亜鉛の熱分解で作る。
酸化亜鉛の2008年度日本国内生産量は 78,267 t である[1]。
結晶
2014年6月5日、大阪大学の芦田昌明らのチームが、酸化亜鉛を用いて世界最小の1,000分の1ミリの球形結晶の製造に成功したと発表した[2]。
用途
- 白色顔料(絵具の材料)
- 化粧品
- 医薬品
- 電子部品(バリスタ、鉱石検波器)
- 半導体
- 透明電極
- 光触媒
- 避雷器
- 軽オフセット印刷
- 酸化亜鉛を感光体として使用する。光をあてた部分が導電化することによって表面に帯電した電荷が中和され、液体トナーが吸着しない。未露光の部分に液体トナーが吸着する。現像、定着、親水化処理を行って版を作る。
脚注
- ↑ 化学工業統計月報 - 経済産業省
- ↑ テンプレート:Cite news