グレイ・フォックス
グレイ・フォックス(Grey Fox、? - 2005年)は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)のアクションゲーム『メタルギアシリーズ』に登場する架空の軍人。同じ軍人として主人公(ソリッド・スネーク)をサポートし、また対立する人物として物語上重要な役目を果たした。
出生に不明な点が多く、正確な生年や国籍は不詳。本名はフランク・イエーガーとされている。身長181㎝。1970年時点でCIA工作員、後にFOXHOUND隊員、その後は傭兵として各地を転戦。FOXHOUND在籍時は最高の隊員であることを示す「FOX」のコードネームを与えられていた。詳しくは「経歴」を参照。
目次
経歴
『メタルギア』『メタルギア2 ソリッドスネーク』『メタルギアソリッド』『メタルギアソリッド ポータブル・オプス』で明らかとなっている経歴を説明する。なお、『MGS』と『MGS ポータブルOPS』で説明されている経歴には若干の矛盾がある。
誕生・幼少期
正確な出生は不明。
モザンビーク時代
1960年代からアフリカで反ポルトガル支配を提唱するゲリラ組織、FRELIMO(モザンピーク解放戦線)の少年兵として、モザンビーク独立戦争に従軍。ナイフ一本で政府軍の兵士を葬る際の淡々とした様(Frankness)と、片言のドイツ語を話していたことから、フランク・イェーガー(Frank Jeger / Jäger は独語で狩人の意)と呼ばれるようになった。
1966年にこの独立戦争に参加していたビッグボスと出会う。そのとき彼と戦って敗れ、戦争の道具と化していたフランク・イェーガーはビッグボスに保護される。
その後、更生施設に入れられたはずだったが、「賢者達」に拉致され、完璧な兵士(絶対兵士)を作り出す計画の実験用の素材とされる。
CIA時代
1970年に発生した、サンヒエロニモ半島での蜂起に端を発するジーンの反乱の中でビッグボスと再会。当時のコードネームは「ヌル」[1]。彼は任務完了のたびに調整槽に入れられ、記憶を一旦リセットさせられる。これにより、彼は非常人的な速度で敵の動きを認識、学習できるようになった。マチェットを武器として用い、敵を斬殺する。銃弾を弾き飛ばすなど、後のサイボーグ忍者を彷彿させる並はずれた身体能力を身につけている。
ビッグボスと再度接触したことにより、記憶を取り戻し、ビッグボス側へ加勢する。
FOXHOUND時代
命を助けられ、人間らしさを取り戻させられるという再三の恩義を受け、ビッグボスを慕うようになる。その後、ビッグボスによるFOXHOUND設立時に隊員として参加、同時に彼が創設した武装要塞国家「アウターヘブン」に所属した。FOXHOUND在籍時は、最高の隊員である事を示す「FOX」のコードネームを与えられ、ビッグボスの右腕として活躍した。
南ローデシア(ジンバブエ)で、孤児の少女を引き取りナオミ・ハンターと名付ける。その後、ビッグボス、ナオミと共にアメリカへ移住、ナオミが大学を出るまでの面倒を見続けた。
1995年のアウターヘブン蜂起ではビッグボスに命を受け、ソリッド・スネークに先駆けてアウターヘブンに潜入。謎の兵器「メタルギア」の情報を入手した後、捕虜とされた。その後ソリッド・スネークによって救出。スネークにメタルギアの情報を提供するなどの支援を行ったが、アウターヘブン陥落後は行方不明となった。
傭兵時代
1999年のザンジバーランド騒乱にはビッグボスの腹心として参加。ソリッド・スネークに対して無線で接触し、「ファン」を名乗って陰から支援した。しかし、これはソリッドを自らの場所までおびき寄せる意図があり[2]、メタルギア改Dに搭乗してソリッド・スネークの排除を試みるも、逆にメタルギア改Dを破壊された。最後は地雷原でスネークと徒手格闘での決闘を行うも敗北、命を落としたかに思われた。
だが、実際には半死半生の状態であった彼は、ザンジバーランドの陥落後に愛国者達に回収されていた。クラーク博士(パラメディック)によって蘇生させられると、ゲノム兵のジーンセラピー(遺伝子治療)実験対象とされ人格を省みない実験を繰り返し施される。また、アームズ・テック社の強化外骨格の研究素材としても用いられた[3]。
シャドー・モセス事件
2005年のシャドー・モセス島事件の前の2003年に、オセロット、EVA、ナオミの手で救出され、研究機関の責任者であるクラーク博士を殺害して逃亡。事件発生当時はソリッド・スネークを追って、シャドーモセス島に潜入していた(「MGS4」でオセロットとナオミの手引きで潜入した事が示唆された)。無線を介してスネークと接触、「ディープ・スロート」[4]を名乗り、謎の支援者としてスネークにアドバイスをした。
その一方で強化外骨格をまとった「サイボーグ忍者」[5]としてスネークの前にたびたび姿を現した。
一度はサイボーグ忍者としてスネークと交戦したものの、戦闘の途中で発狂して行方不明となったがリキッド・スネークの操るメタルギアREXとスネークを援護するために参戦して、腕を切断される致命傷を負いながらも、最期はスネークにナオミへ遺言を伝えるよう懇願し[6]、REXに踏みつぶされ死亡した。
『メタルギアソリッド インテグラル』では、グレイ・フォックスが受けたVR訓練として、いくつかのミッションでサイボーグ忍者を操作できる。スネークとは異なる超人的な動きが可能で、ステルス迷彩等、オリジナルの要素がある。VR訓練での標的はスネークになっている。
ビッグ・シェル占拠事件
『メタルギアソリッド2』において、雷電と大佐の会話の中で名前だけではあるが登場する。また、グレイ・フォックスがモセス事件でスネークに伝えた言葉を、スネークが雷電に伝える件がある。
尚、当事件においてもサイボーグ忍者が登場するが、こちらの正体はオルガ・ゴルルコビッチであり、シャドーモセス島事件を模したシチュエーションを作るための演出であった。
担当声優
『MGS』では、日本語版は塩沢兼人、英語版はGreg Eaglesが担当した。
『MGS』のリメイク版である『メタルギアソリッド ザ ツインスネークス』ではロブ・ポールセンが担当した[7]。
『MGS ポータブルOPS』では、日本語版は福山潤、英語版はLarc Spiesが担当した。
デジタルコミック作品である『メタルギアソリッド バンドデシネ』では、塩沢の逝去に伴い山崎たくみが代役を担当した。サイコ・マンティスにより洗脳が行われている描写がある。
その他の出演作品
- 『コナミ ワイワイレーシング アドバンス』(コナミ)
- レーサーの一人としてサイボーグ忍者の姿で登場。
- 『大乱闘スマッシュブラザーズX』(任天堂)
- 「アシストフィギュア」と呼ばれるプレイヤーの援護キャラクターとしてサイボーグ忍者の姿で登場。声優は塩沢兼人で、(既に塩沢が逝去しているため)音声は『MGS』からの流用で、ライブラリ出演という形を取っている。初期状態では現れず、スネークが使用可能になると出現するようになる。
脚注
テンプレート:METAL GEARテンプレート:Asbox- ↑ 「ヌル」は独語で0、無の意。製造ナンバーさえ破棄された存在であることを意味する。
- ↑ 戦士としてビッグボスに勝利したスネークと戦ってみたい気持ちが強かった。
- ↑ 実験による苦痛を緩和する措置として麻薬を投与され続けたため、『MGS』では禁断症状から錯乱状態に陥る描写がある。
- ↑ ウォーターゲート事件の告発者が用いた偽名と同じ。ソリッド・スネークも作中で指摘している。
- ↑ 「忍者」という呼称は、刀を使っていたことと強化外骨格による驚異的な身体能力から、ソリッド・スネークが呼び始めたものである。
- ↑ ゲーム「メタルギアソリッド」とデジタルコミック「メタルギアソリッド バンドデシネ」では内容に差異がある。前者ではナオミの両親の死に関してフォックスは(自分の意志で)殺したと発言しているのに対し、後者では誤射だったと発言している。また、前者ではスネークの気遣いによってナオミが真相を知ることはないが、後者では(通信によって聞いていたのか)真実を知ったことになっている。
- ↑ 『メタルギアソリッド ツインスネークス』は音声は英語のみ。