クジャク
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クジャク(孔雀)はキジ科の鳥類で、中国から東南アジア、南アジアに分布するクジャク属2種とアフリカに分布するコンゴクジャク属1種から成る。通常クジャクといえば前者を指す。
概要
雄は大きく鮮やかな飾り羽を持ち、それを扇状に開いて雌を誘う姿が有名である。最も有名なのは羽が青藍色のインドクジャクで、翠系の光沢を持つ美しい羽色のマクジャクは中国からベトナム、マレー半島にかけて分布する。コンゴクジャクはコンゴ盆地に分布し、長い上尾筒(じょうびとう)を持たない。
羽は工芸品に広く分布されてきたほか、主にサソリ等の毒虫や毒蛇類を好んで食べるため益鳥として尊ばれる。さらにこのことが転じて、邪気を払う象徴として孔雀明王の名で仏教の信仰対象にも取り入れられた。クルド人の信仰するヤズィード派の主神マラク・ターウースは、クジャクの姿をした天使である。また、ギリシア神話においては女神ヘーラーの飼い鳥とされ、上尾筒の模様は百の目を持つ巨人アルゴスからとった目玉そのものであるとする説がある。
日本へは推古天皇6年(598年)に新羅がクジャクを送ったという記事が『日本書紀』にある[1]。
雄の飾り羽は尾羽の様に見えるが、上尾筒という尾羽の付け根の上側を覆う羽が変化したものであり、雌にアピールするための羽である。褐色をした実際の尾羽はその下にあり、繁殖期が終わり上尾筒が脱落した後やディスプレイの最中などに観察できる。
孔雀の雄の羽は異性間淘汰によって発達した例として知られるが、その発達の理由もいくつか提唱されている。
- 整った羽を持つ個体は寄生虫などに冒されていない健全な個体であると同時に生存に有利な遺伝子を持つ事をアピール出来、優先的に子孫を残せるという説(オネストアドバタイズメント理論)
- 捕食されやすい長い上尾筒を持つことで健全な個体であると同時に生存に有利な遺伝子を持つ事をアピール出来、優先的に子孫を残せるという説(ハンディキャップ理論)
- 長い尾羽を持つ雄の遺伝子と長い尾羽の雄を好む雌の遺伝子が互いを選択した結果雄の尾羽が長くなったとする説(ランナウェイ説)
など。
- Peafowl 20060827a.JPG
羽を広げた状態
- Peafowl 20060827b.JPG
頭部の様子
Sibley分類体系上の位置
鳴き声
「イヤーン、イヤーン」または「キーオウ、キーオウ(インドクジャクの場合)」と独特の甲高い声で鳴く。ネコの鳴き声に近いとも言われる。 テンプレート:節stub
脚注
- ↑ 鐘江宏之『律令国家と万葉びと(全集 日本の歴史 3)』162頁