クィン・マンサ
クィン・マンサは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の兵器。ネオ・ジオン軍のニュータイプ専用モビルスーツ (MS) である。
当記事では、小説およびOVA『機動戦士ガンダムUC』に登場する派生機、クシャトリヤについても記述する。
機体解説
テンプレート:機動兵器 クィン・マンサは、その型式番号「NZ」が示す通りネオ・ジオン (NEO ZEON) の象徴として開発されたネオ・ジオン軍最大にして最強のニュータイプ専用MSである。機体設計には接収した連邦製モビルアーマー (MA)「サイコガンダムMk-II」を始め、その他ネオ・ジオン製MSすべてのノウハウが投入されている。
全身に多数のメガ粒子砲やファンネルを備える。また、肩部バインダーには巨大なメガ粒子偏向器を搭載し、攻撃・防御の両面において他機の追随を許さない。スラスターも大出力を確保しており、この種の巨大兵器としては機動力にも秀でている。
コックピットを備える頭部はサイコガンダムMk-II同様に分離行動が可能であり、武装・推進器を搭載しパイロットの生還率を高める緊急脱出艇としての機能を備えている。装甲も極めて堅牢であり、フルアーマーΖΖガンダムのミサイルの一斉掃射を受けても致命的な損壊を免れている。
個別の戦闘単位としては、まさしく最強と言える性能を持つクィン・マンサだが、その分搭乗者にも高い能力を要求する機体であった。グレミー反乱軍内において本機の性能を引き出すことが可能なパイロットは、事実上強化人間であるプルツーのみであった。
- 武装
- 巨大ビーム・サーベル
- 肩部バインダーに搭載されたクィン・マンサ唯一の格闘兵器。機体サイズに合わせた大きさと高出力を誇る。
- ファンネル
- 背部のファンネルバインダーにキュベレイシリーズが搭載しているファンネルと同型の物を30基搭載。
- 頭部メガ粒子砲
- 胸部メガ粒子砲
- 腕部メガ粒子砲
- 背部メガ粒子砲
- 名称が指す部位に搭載されたメガ粒子砲。戦艦の主砲クラスの出力を持つ上に拡散・収束が自由に可能。頭部には3基、それ以外の部位には2基搭載されている。
- 劇中での活躍
- ネオ・ジオン内乱の際、グレミー・トト率いる反乱軍の切り札として戦線に投入された。パイロットはプルツー。彼女が精神に乱れを起こした際には、指揮官であるグレミーが同乗することもあった。
- クィン・マンサはその性能を存分に発揮し、ドック艦ラビアンローズを撃沈、さらにはガンダム・チームのΖガンダムおよびガンダムMk-IIを戦闘不能にするなど圧倒的な戦闘力を見せつける(近接戦闘には脆いのかザクIIIに懐に入られた際にはビーム・サーベルの斬撃を受けている)。しかし、ジュドー・アーシタのフルアーマーΖΖガンダムにはその攻撃も通じず、ジュドーの説得に応じたプルツーは本機を放棄してしまう。その直後、開放したコックピットにルー・ルカの半壊したΖガンダムによる狙撃を受け、機体は崩壊するアクシズと共に失われている。
- 漫画『機動戦士ガンダムReon』では、地球連邦軍特務部隊の機体として登場。パイロットはダン・クルーガー中佐。
- ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』では、アンネローゼ・ローゼンハインの搭乗機としてグレミー反乱軍の残党により残骸が回収され修復された。機体カラーが一新されたほか、アンネローゼのパーソナルマークである、マルコシアス隊のエンブレムがペイントされている。トラヴィス・カークランドのΖII、ヴィンセント・グライスナー搭乗のギラ・ドーガ、クロエ・クローチェ搭乗のトーリスリッターと交戦する。
- 修復時にテンプレート:要出典範囲。サイコミュを稼働させるためのアンネローゼのNT能力が不足しているため、ファンネルの最大展開数や機体稼働時間にリミッターがかけられており、プルツー搭乗時よりも戦闘力は低下している。最終的に、トーリスリッターと共に破壊された。(アンネローゼとクロエは共に脱出ポッドにより生還。)
- デザイン
- デザインは明貴美加。準備稿では最終回用に出したいMSとしてオーラバトラーのようなデザインで描かれた。しかし、監督の富野由悠季が激怒しラフを描き直したため、それを元に改めてデザインし直すことになった。ガンダムタイプを思わせる頭部は、その当時ラフデザインが提出されていたガンダムMk-Vから挿げ替えられたもの。
- 首が無く頭が固定されずに浮いた状態でスライドするリニア構造という設定だったが、富野がその設定を映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で用いようと考えたために、公開用の設定書には首パーツが描き足された。しかし結局、その設定が『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で用いられることはなかった(明貴美加のインタビューより)。
クィン・マンサ・セプテット
トレーディングカードアーケードゲーム『ガンダムトライエイジ』に登場。グレミー・トトの特殊部隊用MSとして開発されたが、実機は完成することなく終わった。「セプテット」は七重奏曲の意。
両肩に装備されている6基のバインダーは有人制御できるようにコクピットが搭載されており、セプテットモード起動時に分離してMS本体と連携する能力を持たせる予定だった。カラーリングはパープル。デザインは明貴美加。
クシャトリヤ
テンプレート:機動兵器 『機動戦士ガンダムUC』に登場。ネオ・ジオン軍残党「袖付き」のニュータイプ専用MS。名称のクシャトリヤは、古代インドの階級で第二位の王族・武人層を意味し、フル・フロンタル指揮下のネオ・ジオンではフラッグシップであるシナンジュに次ぐ機体であり、戦闘部隊を率いることを物語っている。
クィン・マンサの大火力を20メートル級MSで実現するというコンセプトで開発され、コクピット周辺にサイコフレーム、両肩に武装コンテナとスラスターを集約したフレキシブル・バインダー計4基を採用することで機体の小型化に成功している。頭部形状はゲルググに似たモノアイ式になり、胸部や両手首などにジオンの紋章をあしらったエングレービングが施されている。
U.C.0096年当時のMSとしては破格の高性能機だが、「袖付き」が保有する予備のサイコフレームは第二次ネオ・ジオン抗争時にアナハイム・エレクトロニクス社に発注した分しかなく、再生産する設備もないため、整備もままならないワン・アンド・オンリーの機体となっている。
小型化されたとはいえ、ファンネルを始めとした多数の火器を管制する本機の操縦は非常に複雑で、「袖付き」内でこれをあつかえるパイロットは強化人間であるマリーダ・クルスのみとなっている。
- 武装
- 胸部メガ粒子砲
- クィン・マンサから引き継いで搭載された火器。左右に2基の計4機を搭載。
- バインダー部メガ粒子砲
- 「4枚羽」の渾名の由来となる肩部装甲とつながるバインダーに搭載された火器。1枚のバインダーにつき2基の計8機が搭載。
- 腕部ビーム・サーベル
- 両腕の袖部分に部分に格納された接近戦用武装。ほかのジオン系MSにみられる黄色ではなく、緑色のビーム刃を形成する。収納時はビーム・ガンとして使用可能。
- バインダー部ビーム・サーベル
- バインダーに格納されたサブ・アームごとに各1基を内蔵。ユニコーンガンダムの両腕を抑えるほどのパワーを持ち、敵機の拘束や奇襲・反撃にも使用可能。
- ファンネル
- バインダーに6基搭載されたサイコミュ兵器。カラーリングは小説版では銀色、OVA版では機体カラーと同じ緑でデブリと誤認されるほど小型。過去のファンネル搭載機同様バインダーに戻すことで再充電可能。
- マシン・キャノン
- 胸部メガ粒子砲付近に内蔵された実弾火器。
- ビーム・ガトリングガン
- メガ粒子砲やファンネルは機体およびパイロットにかかる負担が大きい兵装であるため、それらを補助する携行兵装として用意された[1]4銃身式の大型ビーム機関砲。劇中では同じアナハイム製で同一規格のジョイントを有するギラ・ズール(OVA版のみ)やユニコーンガンダムが装備・使用し、クシャトリヤも最終決戦の際には、右前腕部の側面に2挺装着して出撃する。
- 劇中での活躍
- インダストリアル7強襲時は、数で勝るネェル・アーガマのMS隊を次々と撃破。そしてデブリ宙域に避難したネェル・アーガマにシナンジュやフル・フロンタル親衛隊と共に襲撃し、ユニコーンガンダムを鹵獲する。
- パラオ攻略戦では脱走したユニコーンガンダムを捕える任務(実際にはユニコーンガンダムの真の性能を試そうとしたフル・フロンタルの策略)を受け、ユニコーンガンダムと交戦するも、デストロイモードとなったユニコーンガンダムの性能と能力に押され、右手を失う等、マリーダ共々無数の傷を負い、ネェル・アーガマに収容される。OVA版ではバインダーや四肢を切断、頭部をビーム・サーベルで刺される等、大破と言って良い程の損傷を受けている。
- その後、袖付き・ジオン共和国軍・ガランシェール隊にネェル・アーガマが制圧された際、再びマリーダが搭乗しローゼン・ズールの右腕を切断する活躍を見せる。
- メガラニカへ向かう最終決戦では、手首より先を失った右腕に2丁のビームガトリングガンを装備し出撃。ユニコーンガンダムのバックアップを担当した。ユニコーンガンダムとシナンジュの戦闘に介入、足止めを請け負いそのままシナンジュと交戦。全てのファンネルを失い撃墜直前まで追いつめられるが、とっさに4枚の大型バインダーを切り落とし、それ自体をファンネルとして操りシナンジュに突撃・起爆させその場を離脱した。その後、バンシィのビーム・マグナムからネェル・アーガマを守るため自らを盾にし爆散。爆発では無い光を戦場に散らしながら消えていった。
クシャトリヤ・ベッセルング
OVA版に登場。ネェル・アーガマ内でトムラら「袖付き」側主導によって一度目の補修を受けた姿。左腕は肘から先が失われており、右脚は膝から先がフレームのみ、コクピットと頭部内フレームが露出している。連邦軍機のパーツを使って改修したため、モノアイの色がピンクから緑に変更になっている[2]。胸部メガ粒子砲の銃口は左右各2門のうち1門がそれぞれ塞がれている。バインダーは左右1枚づつとなり、左側は内部フレームのみとなっている。ネェル・アーガマ内での攻防の際に使用された。
クシャトリヤ・リペアード
OVA版に登場。ネェル・アーガマのクルーの手によって二度目の補修を受けた姿。左腕の肘から先はユニコーンガンダムのオプション兵装であるハイパー・ビーム・ジャベリンが接合され、欠損していた後部バインダー部分にはギラ・ズール用の大型プロペラント・ブースターを転用、右脚仮設フレームの足裏にはビーム・ガトリングガンが内装され、フレームが露出していたいくつかの部分も装甲で補修されている。バインダーが減ったことで搭載武装は減少しているものの、これによる相対的な軽量化とブースターの推力によって機動性はむしろ向上している。ファンネルは小型シュツルム・ファウストの弾頭を先端に接合することで、それ自体を誘導ミサイルとする方式に改造、従来の格納箇所であるバインダー裏面のラックは穴埋めされ、表面の開閉式カバー内部にコンテナを増設している。インダストリアル7宙域での最終決戦にて使用された。