ギムナジウム
ギムナジウム(テンプレート:Lang-de)は、ヨーロッパの中等教育機関で日本の中高一貫校に相当する学校。国によって微妙に名称が異なるが本稿では一括してギムナジウムとする。日米の「単線型」教育制度に対するヨーロッパの「複線型」教育制度のいわば根幹を成す存在ともされる。
語源
古代ギリシアのギュムナシオン(gymnásion)は、若い男性が身体や知性を磨くための場所であった。体育がとかくその前面に出て強調されるため、屋内体操場などと訳される場合もある。そこでは、もっぱら全裸でトレーニングが行われたため、ギムナジオンという施設の名前は、「裸で体操をする」という意味の"gymnázesthai"から由来したという。その名残として「ギュムナズィウム」とも呼ばれる。
ドイツ語では、体育という言葉も同じ由来のGymnastikを今も使っている。日本のボクシング、レスリングなど体育練習場を指す「ジム」も、同じ由来である。
ドイツ
主に大学への進学を希望する子供たちが進学する9年制(2004年からは8年制となり、G8「ゲー・アハト」と呼ばれる)の学校であり、日本でいう中高一貫教育にあたる。教育内容は学校ごとにそれぞれ異なり、ギリシア語・ラテン語・ヘブライ語などの古典語や、英語・フランス語などの近代語、理数系の教科に重点を置いたものなど、いくつかのタイプがある。ギムナジウムは大学入学を目指すための学校で、それはつまりアビトゥーア合格を目指すということでもある。旧東ドイツ(DDR)には、ドイツ統一後の1990年までギムナジウムはなく、拡張型上級学校(Erweiterte Oberschule :EOS)がその代替となっていた。
エーリッヒ・ケストナーの小説にしばしばギムナジウムが登場する。このほか、24年組と呼ばれる漫画家たちによる少女漫画にはギムナジウムを舞台としたものが見られ、ギムナジウムものと呼ばれている[1]。例えば、萩尾望都の代表作である『ポーの一族』中の一篇「小鳥の巣」や『トーマの心臓』、「11月のギムナジウム」において取り上げられている[2]。
オーストリア
オーストリアでは、こうした一般的な大学進学準備校は、ギムナジウムと呼ばれる。 リヒテンシュタインにも、同様のギムナジウムがある。
スイス
スイスには、主にドイツ語圏の州立学校(Kantonsschule = 「カントンスシューレ」)として、いくつかのギムナジウムがある(フランス語圏に関しては後述)。
フランス
フランスでは、スイスのフランス語圏も含めて、同等の学校は一般的にリセ(Lycée)と呼ばれる。また、ギムナジウムは、フランス語風のジムナーズ(Gymnase)と呼ばれるか、時にリセとも呼ばれる。
脚注
関連項目
関連文献
- Margret Kraul著、望田幸男他訳『ドイツ・ギムナジウム200年史』(ミネルヴァ書房、1986年4月30日)
- 望田幸男著『MINERVA西洋史ライブラリー28 ドイツ・エリート養成の社会史-ギムナジウムとアビトゥーアの世界-』(ミネルヴァ書房、1998年9月30日初版発行)
- 大内洵子著『ジュンコ先生再びドイツへ、なんとなんとギムナジウムの成績表』(五月書房、1996年7月28日発行)テンプレート:Asbox
- ↑ 堀あきこ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』 臨川書店、2009年、117頁。ISBN 978-4653040187。
- ↑ 「小鳥の巣」ではガブリエル・スイス・ギムナジウム、『トーマの心臓』ではシュロッターベッツ・ギムナジウム、「11月のギムナジウム」ではヒュールリン・ギムナジウムが、それぞれ作品の舞台となっている。