エイボンの書

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エイボンの書(エイボンのしょ、Book of Eibon)は、クトゥルフ神話作品に登場する架空の書籍。著者は古代ヒューペルボリアの大魔道士エイボン。別名は『象牙の書』。

概要

初出は『ストレンジ・ストーリーズ』1932年1月号に掲載されたクラーク・アシュトン・スミス作の『魔道士エイボン』で、クトゥルフ神話の創始者ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの『ネクロノミコン』、『無名祭祀書』(ロバート・E・ハワード創作)についで創作されたクトゥルフ神話の魔導書である[1]。創作したスミスの他にもラヴクラフトやロバート・ブロックの作品に使われている。

来歴

古代ヒューペルボリア時代およびそれ以前の暗黒の知識を集めた書。エイボン自身が崇拝していたツァトゥグァとツァトゥグァの家系に連なる神々のほかに、ヨグ=ソトースウボ=サスラアザトースファロールなどに関する秘密や儀式、呪文、伝承などが記されており、かの『ネクロノミコン』にも欠落している禁断の知識が数多く含まれるという[2]。中には、「緑の崩壊」の様に危険な項目も多く記されている。

現存する写本として、9世紀にカイアス・フィリパス・フェイパーの訳したラテン語版が6冊、13世紀にガスパール・ド・ノールの訳した中世フランス語版が13冊、15世紀の訳者不明の英語版(誤訳あり)が18冊あることが知られている。

本書の第9章には、かつてヒューペルボリアの北端の半島ムー・トゥーランに居を構えていた魔道士エウァグが恐るべきルリム・シャイコースに遭遇したことと、その後の顛末が記されている。エイボンは、降霊術によってエウァグの霊を呼び出し、ヒューペルボリアを襲った謎の寒波にまつわる真相を聞きだしたのだが、その内容があまりに悍ましいため、全てを記述してはいない[3]

なお、実際に編纂したのはエイボンの弟子サイロンで、彼がサイクラノーシュに旅立った後、代々の弟子達に継承されていった。

登場作品

「魔道士エイボン」The Door to Saturn(1932年)
『クトゥルー 5』青心社、 ISBN 4-915333-58-2 所収
「ウボ=サスラ」Ubbo-Sathla(1933年)
『クトゥルー 4』青心社、 ISBN 4-915333-55-8 所収
「白蛆(びゃくしゅ)の襲来」 The Coming of the White Worm (1941年)
『ク・リトル・リトル神話集』荒俣宏:編、国書刊行会、ISBN 4-336-02580-0
『ヒュペルボレオス極北神怪譚』創元推理文庫 、2011年、ISBN 978-4-488-54103-3 所収
「石の男(石像の恐怖)」The Man of Stone (1932年)
『ラヴクラフト全集 別巻下』東京創元社、 ISBN 4-488-52309-1 所収
「戸口にあらわれたもの」The Thing on the Doorstep (1933年執筆、1935年初出)
「戸口の怪物」『暗黒の秘儀―ラブクラフト傑作集』創土社、1972年、ASIN B000J953F4
「戸口にあらわれたもの」『ラヴクラフト全集3』創元推理文庫、1984年、ISBN 4-488-52303-X 所収
「星から訪れたもの」The Shambler from the Stars (1935年)
『クトゥルー 7』青心社、 ISBN 4-915333-64-7 所収
「無貌の神」The Faceless God (1936年)
「顔のない神」『真ク・リトル・リトル神話大系4』国書刊行会、1983年、ISBN 4-336-02623-8
「無貌の神」『クトゥルー 5』青心社、 所収

関連項目

  • ビヨンド - イタリア映画。エイボンの書が重要なファクターとして使用されている。
  • ソウルイーター - 日本の漫画作品。作中で登場する。

脚注

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参考文献

テンプレート:クトゥルフ神話/作中事項
  1. 東(1995)pp.012-015
  2. 東(1995)pp.95-96
  3. クラーク・アシュトン・スミス著「白蛆の襲来」より。