アホ毛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:独自研究 テンプレート:出典の明記

ファイル:Chara01.png
頭部の飛び跳ねた髪がアホ毛

アホ毛(アホげ)とは、美容に関する日本の若者言葉で、まとめた髪の毛の表面からビンビン出てきて(跳ねて)いる短い毛のことを指す[1]。英語では"cowlick"や"frizz"[1]と呼ばれている。また、そこから派生して漫画アニメドラマCDゲームなどでは、寝癖癖毛によって頭部から1本(または複数本)触角のように飛び出して立っている毛のこともアホ毛と呼ぶ。本項では後者について詳述する。

語源・由来

美容用語としてのアホ毛は1970年〜1980年頃には存在していたとされ、少なくとも1990年頃には関西地方の若者言葉として広まっていたことが書籍などにも記録されている[1]。2003年頃には、関東でも一般的な若者言葉として広く認知されていることが確認されている[1]

漫画では正確な初出は不明であるが、商業では山田南平『久美子 & 慎吾』シリーズ白泉社の雑誌『花とゆめ』1990年20号からシリーズ連載が開始)のコミックスの中テンプレート:どこで、作者自らヒロイン久美子の1本毛のことを「アホ毛」と言及している。

また東浩紀著『動物化するポストモダン』では、「『触角のように跳ねた髪』は、筆者の観察では、90年代の半ば、ノベルゲームの『』で現れたことから一般化し」(p.66)と記されている[2]。同ゲームのキャラクター・柏木初音の「触角のように跳ねた髪」はアホ毛そのものであり、同作が発売された1996年当時から(アホ毛という名称ではないものの)このような表現が見られたことを示している。

ドリマガ』増刊『RASPBERRY』Vol.17には、アホ毛の最初の由来はStudio e.go!のマスコットキャラであるデボスズメだと記載されている。

キャラクター造形におけるアホ毛

ファイル:Chara02.png
触角と呼ばれるものは、2本以上の毛が飛び出ているものも含む[3]

アニメや漫画におけるアホ毛は、毛髪1本だけではなく、細い髪房として表現されることが多い。「アホ毛」という言葉が一般化する以前は「触角」・「アンテナ」と呼ばれていた。「触角」と呼ぶ場合、1〜3本程度の束が飛び出しているものを指し[3]テンプレート:要出典範囲(触角を持つ代表的なキャラクターとして小林よしのりなど)。テンプレート:要出典範囲。このように、アホ毛はそのキャラクターの外観を構成する設定上の要素となっている(つまり、常時アホ毛のあるキャラクターとして設定されている)ことが多い。また、アホ毛は萌えの対象ともなっている[2]

ただし磯野波平(『サザエさん』)のように、禿頭で頭頂部から1本毛が生えているだけの場合も、一部ではアホ毛と呼ばれる(テンプレート:要出典範囲)。しかし、一般的にはアホ毛はあくまでも他にも多数の毛髪が頭頂部に存在している場合に、それにもかかわらず他の髪の毛から飛び出しているものに対する名称である。また、『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎の妖怪アンテナ(妖気計算髪)はアンテナであってもアホ毛とは呼ばれない。アホ毛はあくまでも、無意識に存在するか、あるいは後述のように心象描写のためのものである。

女性キャラにおけるアホ毛
日本の少女漫画の嚆矢である手塚治虫リボンの騎士』の主人公サファイア、また後年の『ふしぎなメルモ』の主人公メルモではさらに明らかに、髪を跳ねさせることによるキャラクター造形を見られる。このように呼称そのものは比較的新しいが、キャラクターの造形法としての歴史は古く『ベティ・ブープ』まで遡ることができる。
男性キャラにおけるアホ毛
アホ毛は女性キャラクターに多く見られるが、男性キャラクターでもアホ毛が設定されている例は珍しくない。アホ毛を持つ男性キャラクターの初期の例として、小説『銀河英雄伝説』のエルンスト・フォン・アイゼナッハ、漫画『ジャングルはいつもハレのちグゥ』(1996年から連載開始)のハレや、ビデオゲーム『ファイナルファンタジータクティクス』(1997年)の主人公ラムザ・ベオルブが挙げられる。それ以前にも髪の房に心象描写させる形式は見られ、魔夜峰央の『パタリロ!』で、ジャック・バンコランマライヒアーサー・ヒューイットら長髪の美形男性キャラクター達が困ったり言いくるめられたりしたときに、困惑の度合いに応じてまとまった髪の中の1本または数本、あるいは束になってくるりと1回転して跳ね出てくる描写がある。『〈物語〉シリーズ』のアニメでは阿良々木暦の心理描写で多用されている。
アメコミにおけるアホ毛
アメリカン・コミックス(アメコミ)の世界においては、男性の「アホ毛」に当たる造形は古くからその存在が確認されている。たとえば、古典アメコミの代表格である『スーパーマン』では、主人公スーパーマンの前髪一束が小さく跳ねるように描かれており、それ自身が彼のトレードマークとなっている。実際、その実写映画においても、彼を演じた俳優クリストファー・リーヴブランドン・ラウスらは、テンプレート:要出典範囲

外見的特徴としてだけでなく、アホ毛自体に特殊な能力を持たせる例や、感情や表情の変化に応じてアホ毛の形状が変化する例もある(『すぱすぱ』など)。跳ねた髪の房に特殊な能力を持たせる例は前述の水木しげるゲゲゲの鬼太郎』の主人公・鬼太郎の「妖怪アンテナ」(妖気を感じると髪の毛が一房棘のように逆立つ)の表現に原型を見ることができる。さらに遡ればA・E・ヴァン・ヴォークトのSF小説『スラン』の触毛スランにも見られる。里見桂のマンガ『なんか妖かい!?』のヒロイン・ミルは、鬼太郎と同じ「妖怪(妖気)アンテナ」を持っている(同作へのオマージュである)。これを切ってしまうと能力が発揮できなくなるなどの描写もある。雑誌連載は1982年からであり、女性キャラクターの例としては最初期に属する。TVアニメ『スイートプリキュア♪』では主要登場人物のキュアビートが、第23話で決め台詞とともに自身のアホ毛を楽器の弦の如く爪弾き、アホ毛からギターの音色が流れ、ギターを使うキャラとして印象を高めるシーンが登場した。

アホ毛の認識度や知名度の上昇に伴い、アホ毛がキャラクターを語る上で重大な意味を持ったり、アホ毛そのものがキャラクター性を帯びたりする例も見られるようになってきた。『ぱにぽに』のヒロインの一人・姫子のアホ毛は、取り外し可能であったり、精神波や電波や虫の知らせを受信できたり、アホ毛そのものに人格が存在したり、寄生虫のごとく姫子を乗っ取ろうとしたりする。また『Fate/hollow ataraxia』においては、ヒロインの一人・セイバーのアホ毛を他者が触れることで、彼女の別人格である黒セイバー(セイバー・オルタ)が現れ、人格のみならず服装も瞬時に変貌する。さらに『トップをねらえ2!』では、主人公がアホ毛を用いて数億体ものバスター軍団を指揮するなど、大掛かりなギミックが登場している。

脚注

テンプレート:Reflist
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「asahi20031107」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  2. 2.0 2.1 東浩紀 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』 講談社、2001年、66頁。ISBN 978-4061495753。
  3. 3.0 3.1 テンプレート:Cite book