アセラ・エクスプレス
テンプレート:Infobox rail service アセラ・エクスプレス(テンプレート:Lang-en)は、アメリカ合衆国の旅客鉄道公社「アムトラック」が運行する、ボストン - ニューヨーク - フィラデルフィア - ワシントンD.C.を結ぶ高速鉄道(特急列車)である。名称は Acceleration と Excellence から来ている。
概況
現在、自動車大国であるアメリカでは鉄道の旅客は大都市近郊区間を除けば利用者がほとんどいない状況であり、大都市間の移動は主に飛行機が使用されている。アムトラックはアメリカ東部を中心に路線を持ち、これまでもニューヨーク - ワシントンD.C.間を結ぶ「メトロライナー」を始めとする特急列車などを運行していたが、ビジネス客の利用が多かった「メトロライナー」以外の列車では利用者低迷にあえいでいた。
そこで起死回生を狙ってアメリカで最も人口が密集する地域を結ぶ北東回廊のボストン - ニューヨーク - ワシントンD.C.間に高速列車を走らせようと計画した。それが2000年に運行開始したアセラ・エクスプレスである。
車両
車両としてはフランスの「TGV」、ドイツの「ICE」、スペインの「タルゴ」、イタリアの「ペンドリーノ」、スウェーデンの「X2000」といったヨーロッパの高速列車が候補に上がり、「ICE」や「X2000」は実際に試運転まで行ったが、最終的にはTGVの技術をベースにした車両(製造はカナダのボンバルディアとフランスのアルストムの企業連合による)が導入された。
沿岸部を走ると言う特性から、車体はステンレス無塗装となっている。
現在アムトラックは新型車両の導入を計画中である。[1]
高速列車専用の施設は無く在来線を走る。ニューヨーク - フィラデルフィア - ワシントンD.C.間は古い設備が残っている区間も多く、最高速度215km/h程度で225マイル(約360km)を最速2時間47分で結ぶ。一方、ボストン - ニューヘイブン間は高速運転対応で最高速度240km/hに達する区間もあるものの、ニューヘイブン - ニューヨーク間で低速の通勤列車と同じ線路を走るため大幅に徐行を余儀なくされており、ボストン - ニューヨーク間の231マイル(約370km)を最速でも3時間23分かかる。
座席はファーストクラスとビジネスクラスのみからなっており、他の列車のエコノミークラスとは値段、サービス両面で差をつけている。ファーストクラスでは他のアムトラックの寝台車同様、食事及び酒を含む飲み物がサービスされる。アセラ車内販売限定サンドイッチも人気が高い。
なお、アセラ・エクスプレスの運転開始後も細々と(ワシントンD.C. - ニューヨーク間で)運転されていた「メトロライナー」[2]は2006年10月27日の最終運行をもって全廃となった。ちなみに最晩年の「メトロライナー」は平日1往復の運転となっていた。
停車駅
アセラ・エクスプレスの停車駅は、以下の通りである。一部の列車しか停車しない駅は、アスタリスクでマークしている。接続の詳細、及び他の列車の停車駅は北東回廊を参照。
停車駅 | 州 |
---|---|
ボストン南駅 (MBTA) | マサチューセッツ州 |
バックベイ駅 (MBTA) | |
128号線駅 (MBTA) | |
プロビデンス駅 (MBTA) | ロードアイランド州 |
ニューロンドン駅* | コネチカット州 |
ニューヘイブン・ユニオン駅* | |
スタンフォード駅* | |
ニューヨーク・ペンシルベニア駅 | ニューヨーク州 |
ニューアーク・ペンシルベニア駅 | ニュージャージー州 |
メトロパーク駅* | |
トレントン駅* | |
フィラデルフィア30丁目駅 | ペンシルベニア州 |
ウィルミントン駅 | デラウェア州 |
ボルチモア・ペンシルベニア駅 | メリーランド州 |
ボルチモア・ワシントン国際空港駅* | |
ワシントン・ユニオン駅 | ワシントンD.C. |
問題点
毎年のように議会の槍玉となっているアムトラックの起死回生の切り札として登場したアセラ・エクスプレスではあったものの、いくつかの問題が生じている。
- 所要時間
- 前述のように、在来線を走る高速列車であるため線形の影響で高速化に限界がある。
- 故障
- アメリカでは唯一となる高速列車であるためか、部品の亀裂などによってたびたび全列車が原因究明のために運行停止に陥っている。
- 2002年8月15日、横揺れ吸収装置に亀裂が発見される。全車両無期限運行停止。2005年4月15日、ブレーキディスクに亀裂が発見され運行停止。どちらの事例も原因究明後には運転を再開している。