いすゞ・4XE1
4XE1(よんエックスイー ワン)は1986年にいすゞ自動車が開発した1600cc直列4気筒DOHCガソリンエンジンである。
1500ccSOHCの4XC1を元に、4バルブDOHC化したシリンダヘッド部分を英ロータス社が設計し、さらに1600ccへボアアップした構造となっている。ガソリン4輪市販車では日本初のクーリング機構付き鍛造ピストンを採用し、また電子制御二段階バルブ制御弁を用いた可変吸気コントロール機構を備えている。 エンジン本体以外でも、4XE1に使用されている燃料噴射装置(インジェクター)は6孔式であり、燃焼効率を極限まで高めている。
市販車としてのデビューは1988年2月に2代目ジェミニ(JT190)のZZハンドリング・バイ・ロータスで登場。
3代目ジェミニ(JT191F)への搭載時には最高出力を135→140psに増強、レブリミットも7,700→8,000回転へと向上しており、可変バルブタイミング機構の付かない自然吸気の1600ccエンジンとして、しばらくの間市販車最高出力の座を維持していた。
なお、3代目ジェミニのイルムシャーR(JT191S)に搭載された4XE1-Tは、インタークーラー付ターボ機構を付加されて最高出力は180馬力に達し、当時の同一排気量車では最高出力を誇った。
また、補機ベルトのサーペンタイン化、1800ccへとストロークアップなどをされた、4XF1(150ps)は最終型ピアッツァ(JT221、通称JTピアッツァ)に搭載された。
4XE1
1588cc、DOHC、16バルブ、可変吸気システム、鋳造ピストン
- 内径×行程:80*79
- 出力:140ps/7,200rpm トルク:14.5kgm/5,600rpm (JT191F ジェミニ)
- レギュラーガソリン仕様
4XE1-T
1588cc、DOHCインタークーラーターボ(IHI製RHB52)、16バルブ、可変吸気システム、鍛造ピストン
- 内径×行程:80*79
- 出力:180ps/6,600rpm トルク:21.2kgm/4,800rpm (JT191S ジェミニ)
- プレミアムガソリン仕様
チューニング界における4XE1
4XE1は、バリエーションが3種存在する。JT190型ジェミニに積まれた初期型4XE1とJT191型ジェミニに積まれた4XE1-Wとターボモデルの4XE1-WT(一般的には4XE1-Tとされる)である、190型は二代目ジェミニのボディーに4XE1(1600cc)エンジンを搭載したものが初代エンジンであり形状は同一のエンジンであるがエアークリーナー形状が違う事とハイドロリックバルブリフターを採用している事で馬力は135馬力、その後にフルモデルチェンジしたジェミニJT191型よりソリッドバルブリフターが採用されNAで140馬力ターボで180馬力となった、どちらも基本的な構造は変化していない。
4XE1のシリンダーヘッドは当時技術提携していたGMグループの英国ロータス社の設計によるものである。
特筆すべき事はターボモデルエンジンの4XE1-Tで、NAエンジンに比べ下記のような変更点が有る。
・オイルジェット付きピストンクーリングシステムの採用 。
・溶融鍛造アルミピストンの採用。
・鍛造コンロッドの採用。
・タフトライド処理鍛造クランクシャフトの採用。
・レアメタルベアリングの採用。
・ステンレスエキゾーストシステムの採用。
・空冷式オイルクーラーをの標準装備。
など、2009年現在主流になりつつあるのコストのかかった加工もされていた。
チューニングに付いてはターボエンジンにNA用カム(ハイカムとなる)を使用して高回転化してチューニングする方法など存在していた、ノーマルエンジンでブースト圧を1.4kg/cm²にして燃料濃度をセットすることにより280馬力が出るとされている。 ターボタービンはIHI(石川島播磨重工)製RHB52というターボチャージャーを使っている、これはピアッツァやASUKAにも同一のものが使われているが石川島播磨重工といすゞ自動車はもともと同一会社だから採用したかどうかは不明である。
このエンジンの最大の謎は、4XE1に採用されていた可変慣性吸気システムと同じ物が、日産・SRエンジン3型以降で同一システムを採用した事。
現在のチューニング技術をもったショップは少ない。 国内でパーツを専門に扱っている有名な店は兵庫県にあるファニーファクトリー、 チューニングに関しては同じく兵庫に有るアクエリアススポーツが有名である。
チューニングジェミニの例
・米キャラウエイにて縦置き&FR化された JT191型4ドアセダン ・2L化された特殊な4XE1等
純正パーツが、鍛造ピストン等を採用している為非常に耐久性が高い事から、アフターで手を入れる場所が少ない。
4XE1-Tのターボチャージャーは当時の7代目マツダ・ファミリアGT-Aeと同一形状で、そのまま付けられる物でもある。
レース暦
1991年発表と同時にレースに参加し国内での輝かしい成績を納めた。
- '91 全日本ラリー選手権(Bクラス)
- イベント名 日程 成績
- DCCSウインターラリー 2/2~2/3 優勝
- ウインターラリーイン旭川'91 2/23~2/24 5位、6位
- '91ACKSPRINGラリー 4/20~4/21 2位、3位
- ツールド朗国 5/18~5/19 優勝、2位、3位
- '91広島カップラリースピリット 6/1~6/2 優勝
- '91ノースアタックラリー 7/6~7/7 優勝、2位、4位
- ひえつき'91夏 7/27~7/28 6位
- モントレー'91 9/15~9/16 4位
- 関西ラリー 10/12~10/13 3位、6位
- '91 N1耐久・ラウンドシリーズ(2クラス)
- イベント名 日程 成績
- ハイランド300kmレース 4/28~4/29 優勝、4位
- 富士ツーリングカー6時間レース 6/1~6/2 2位、3位、6位
- 筑波ナイター9時間耐久レース 8/10~8/12 2位、3位、5位
- ベストドライバーズNl耐久レース 9/21~9/22 優勝、3位
- SUGO N1 500kmレース 11/22~11/23 優勝