腕時計
腕時計(うでどけい)とは、ベルト(帯、バンド)によって腕に装着することができる小型の携帯用時計である。
場所を選ばず時刻を知ることを可能とする基本的機能のほかにさまざまな付加的機能を併せ持ったものが存在し、また服飾コーディネートの一部、あるいは社会的ステータスをあらわす装身具としての性格も備えている。そのためごく低価格の実用品から超高額品に至るまで、広範な価格帯の製品が流通している。
駆動方式は1980年代以降水晶発振計時のクォーツ式が主流である。しかし一方で電気動力を用いずぜんまい動力のみによって作動する旧来の機械式時計は高級価格帯を中心に根強い人気があるほか、世界的には電池入手が容易でないなどの理由から機械式の腕時計が専ら用いられている地域も存在する。
目次
歴史
略式年表
- 1790年 - ジュネーブの時計商ジャケ・ドロー&ルショーのカタログに腕時計が記載される。どのような物かは不明[1]。
- 19世紀初頭 - 小型の時計が取り付けられた装身具などが登場しはじめる。
- 1806年 - 現存する最古の腕時計(ジョセフィーヌの時計)が製作される。完成年は不明[2]。
- 1810年 - ナポリの王妃がアブラアム=ルイ・ブレゲに腕に装着可能な時計を注文、2年後に完成。
- 1879年 - ジラール・ペルゴが軍用品として腕時計を製作。
- 1900年 - オメガが世界初の一般向け腕時計を発表[3]。
- 1906年 - カルティエの『サントス』1号完成。1911年、男性用に販売され人気となる[4]。
- 1913年 - 服部時計店(現セイコーホールディングス)が日本初の純国産腕時計『ローレル』を発売[5]。
- 1926年 - フォルティスが世界初の自動巻き腕時計を発表。イギリスのオイスター社のオイスターケースがロレックスの時計に搭載され定番となる。
- 1958年 - ハミルトンが世界初の電気式腕時計『エレクトリック』を発表。
- 1969年 - オメガの『スピードマスター』が月で使用され、世界で初めて地球外天体で使用された腕時計となる[6]。
- 12月[7] - 服部時計店が世界初のクォーツ式腕時計『アストロン』を発表。
- 1970年 - ハミルトンが世界初のデジタル表示の腕時計『パルサー』を発表。
- 1990年 - ユンハンスが世界初の電波式腕時計『メガ1』を発表[8]。
- 2011年 - シチズンが世界初の衛星電波式腕時計『エコ・ドライブ サテライトウエーブ』を発表[9]。
腕時計の誕生
腕時計の最古の記録はジュネーブの時計商(ジャケ・ドロー&ルショー)の1790年のカタログに記載されたものと言われている[10]。また、現存する最古の腕時計はパリの宝石商が1806年に製作した、時計を組み込んだエメラルドのブレスレットとされている。1810年には時計細工師のブレゲがナポリの王妃(カロリーヌ・ミュラ)のために、金髪と金で編んだベルトで腕に装着できる卵型の時計を製作して2年後に完成させた(現在は行方不明となっている)。このように宝飾品として製作された例は以前からあったがほとんどが一点物であり、普及したものはなかった。
腕時計が製品化された契機は、軍からの需要である。懐中時計を片手に砲撃のタイミングを計測していた砲兵が手首に懐中時計をくくりつけて使用する工夫から始まったとされている。ドイツ軍がこのアイデアの製品化を時計メーカーに打診している。1879年にドイツ皇帝ヴィルヘルム1世がドイツ海軍用としてジラール・ペルゴに腕時計を2,000個製作させたという記録が残っている[11]。この時計は網目状の金属製カバーを備えていた。
その他草創期の使用例としては1899年のボーア戦争でイギリス軍将兵が懐中時計を手首に革ベルトで装着した例がある。当時はホレイショ・キッチナーの名を取り「キッチナー・ベルト」と呼ばれた。
初期の腕時計
オメガは世界に先駆けて1900年に腕時計を商品化し、1902年には広告を打っている。しかし当時は女性用懐中時計の竜頭位置を横に変えて革ベルトに固定しただけのものでデザインの無骨さから、一般に普及することはなかった。その後腕時計専用のケースとムーブメント開発が行われるようになったが、依然として男性用は懐中時計が主流で、腕時計は正式な存在とは見なされなかった。
腕時計として最初に普及したのは1911年にフランスのカルティエが開発した角形ケースの紳士時計「サントス」である。「サントス」の原型は、ルイ・カルティエが友人の飛行家、アルベルト・サントス・デュモンに依頼されて、飛行船の操縦に適した腕時計を製作したものであった。後年その洗練されたデザインがパリの社交界で話題となり、市販されるに至った。「サントス」はスポーツ・ウォッチの古典となり、21世紀に入った現在でもカルティエの代表的な製品の一つとして市販されている。
第一次世界大戦は腕時計の普及を促す契機となり、男性の携帯する時計は懐中時計から腕時計へと完全に移行した。戦後には多くの懐中時計メーカーが腕時計の分野へ転身した。
第二次世界大戦以前からの主要な腕時計生産国としては、懐中時計の時代から大量生産技術が進展したアメリカ合衆国のほか、古くから時計産業が発達したスイス、イギリスなどがあげられるが、後にイギリスのメーカーは市場から脱落した。アメリカのメーカーも1960年代以降に高級品メーカーが衰亡してブランド名のみの切り売りを行う事態となり、正確な意味で存続するメーカーは大衆向けブランドのタイメックスのみとなった。
自動巻腕時計
自動巻腕時計とは、時計内部に半円形の錘(ローター)が組み込まれており、装着者が腕を振ることにより錘が回転し動力のぜんまいを巻き上げるものである。錘を仕込んだ自動巻機構自体は懐中時計用としてスイスのアブラアン=ルイ・ペルレ(Abraham-Louis Perrelet)により1770年頃に発案されていたが、ポケットに収まった安定状態で持ち運ばれる懐中時計よりも、手首で振られて慣性の働きやすい腕時計によりなじむ技術であった。当時の懐中時計にはブレゲが発明した振り子による自動巻き「ペルペチュエル」の方が広く普及した。
最初の実用的な自動巻腕時計となったのはイギリスのジョン・ハーウッドが開発した半回転ローター式で、1926年にスイスのフォルティスから発売された。続いてより効率に優れる全回転式ローター自動巻がスイスのロレックスで1931年に開発され、同社は「パーペチュアル」の名で市販、オイスターケースと呼ばれる防水機構とともにロレックスの名を広めた。現在では全回転ローター自動巻が一般化している。
自動巻腕時計の多くは竜頭を用いてぜんまいを手巻きすることもできるが、構造を簡素化する目的で自動巻専用としたものもある。自動巻は装着されている限りぜんまいの力が常に十分に蓄えられているため、手巻き式に比べて精度が高くなる傾向がある。身に付けていない場合にはワインディングマシーンにセットしておくことでぜんまいを巻き上げる事が可能であり、機械式腕時計の収集家がこの種の装置を用いる例が見られる。
日本の腕時計
日本では1913年、服部時計店が国産初の腕時計「ローレル」を発売している。
第二次世界大戦後、日本の時計技術は着実に進歩し、カメラと並ぶ主要な輸出商品となった。1955年には国産初の自動巻腕時計「セイコーオートマチック」が発売され、その後も「グランドセイコー」、「シチズン クロノメーター」など、スイス製に匹敵する精度の国産時計が登場した。1964年には東京オリンピックの公式計時機器として海外メーカーを抑えセイコーが採用された。セイコーは電子計時を採用し、オリンピックで初めて計時に関してノートラブルを実現した。これを契機に日本製腕時計が世界的に認められるようになる。
日本の主要な腕時計メーカーは、電子計算機分野から参入したカシオ計算機を除くと、すべて懐中時計や柱時計の分野から参入した企業である。大手ブランドのセイコーとシチズン時計、カシオのほか、オリエント(吉田時計店)が業績不振から現在はセイコーエプソン傘下にて存続する。かつてはタカノが1957年から腕時計生産を行っていたが、中京圏に本拠があったため1959年の伊勢湾台風で大被害を受けて業績悪化、1962年にリコーに買収された。
精度向上と電気動力化
機械式の腕時計には振り子の代わりとなるテンプが組み込まれており、その振動数が高ければ高いほど時計の精度は上がる傾向がある。並級腕時計のテンプは振動数が4 - 6回/秒のロービートだが、高精度型腕時計では8 - 10回/秒の多振動となっておりハイビートとも呼ばれる。現代の機械式時計のうちスイス製の多くはハイビートであり、また日本製でも上級品はハイビートが多い。ただしハイビート仕様とすると部材の疲労や摩耗が早まり、耐久性では不利である。
電池エネルギーで作動する腕時計はアメリカのハミルトンが開発し、1957年に発売した「ベンチュラ」が最初である[12]。これは超小型モーターで駆動する方式で、調速の最終段階には機械式同様にテンプを使っていたが、電源をトランジスタで整流して駆動力の安定を図っていた。ボタン状の小型電池を使う手法は、以後の電池式腕時計に踏襲されている。
1959年にはやはりアメリカのブローバが音叉式腕時計「アキュトロン」を開発した[13]。超小型の音叉2個を時計に装備して、電池動力で一定サイクルの振動を得る。この振動を直接の動力に、ラッチを介して分針時針を駆動するものである。振動サイクルは毎秒360回とクォーツ腕時計登場の前では最高水準の精度であったが、ブローバが技術公開やムーブメント供給に積極的でなかったこともあり1976年には生産を終了している。
クォーツ腕時計
テンプレート:See also クォーツ時計自体は1920年代に発明されていたが、当時は能動素子に真空管を使用していたためタンス並のサイズになり研究機関や放送局でわずかに利用されただけだった。クォーツ時計が一般に広く使われるようになるには、半導体デジタル回路が安価に利用できるようになる1960年代を待たなければならなかった。
ブローバのアキュトロンに危機感を抱いたセイコーは「遠からず水晶時計の時代が来る」と確信し、1959年にクォーツ腕時計の開発プロジェクトをスタートした[14]。
1967年、世界初のアナログ回路を用いたクォーツ腕時計のプロトタイプが登場した:スイスのCentre Electronique Horloger (CEH) によるBeta 1[15]、および日本のセイコーによるアストロンのプロトタイプである。
1969年[16]12月[17]25日にセイコーは世界初の市販クォーツ腕時計「アストロン」を発売した[18]。当時の定価は45万円で当時42万円だった大衆車トヨタ・カローラよりも高価であった[19][20]。振動数の高さは圧倒的で、機械式はおろかブローバの音叉式「アキュトロン」をもはるかにしのぐ日差±0.2秒以内[21]、月差±3秒以内[22]という高精度を実現した。銀電池で1年以上駆動する[23]。この原理自体は第二次世界大戦以前に着想され、天文台等で使用する大型置時計は古くから存在していたが、腕時計に使えるサイズに超小型化したのはセイコー技術陣の努力によるものであった。
クォーツ腕時計は、発振周波数を計時設定上使いやすい32.768kHz(=215Hz)に調整された水晶を使用するのが一般的である。 テンプレート:Main この振動数は ジラールペルゴ社の基礎理論に基づくものである
クォーツレボリューション
クォーツ腕時計は、機械式やそれ以前の各種電池式に比べ圧倒的に誤差が少ないこと、セイコーが特許を公開したため各社が製造に参入し急速にコストダウンが進んだことから、1970年代に市場を席巻した。これを「クォーツレボリューション」と呼ぶ。 と日本では当然のように語られているが、第二次世界大戦を発端とする部品の製造工程での機械化で 汎用部品の精度が上がり、「高価格帯の時計と安物の汎用部品組んだだけの時計の精度の差が大幅に縮まった」事で、(日本でも知られていたような)比較的高価格帯の 時計を製造していた会社の経営が傾いていた ( その為、スイスでもセイコーと同時期に安物メーカーと絶対的な精度の違いを出せるクオーツの研究を行っていた 高級ブランドは多々ある)
なお、スイス国内では、セイコーにおけるクオーツ時計の量産により、国内のスイス時計は瀕死の状態まで追い詰めらたため、これをクオーツショックとしている。
そもそもセイコー自体には「クオーツは最高級新型機械式時計」としての位置づけで販売をしており、価格競争を行う意図は少なかった (初期のクオーツは手で配線ハンダ付けなど、手間が非常にかかっており、量産など出来るものではなかった) クオーツの劇的な値崩れは通称「電卓戦争」で大量に余ったICチップ (後にはデジタル液晶も)の影響が大きい
低価格路線でスイス国内の高級ブランドを駆逐していった汎用部品を組んだだけの時計を販売していた時計会社は 更に高度に工業化されたICを利用した低価格クオーツに駆逐され会社が消滅した為、余り語られることはない また、日本では国産信仰から過度に「日本が生み出したクオーツがスイスの時計産業を打ち破り世界を制覇した」と語られることが多い
20世紀前半、工業化された時計製造で世界を席巻していたアメリカの時計産業は、大戦中軍需物資産業扱いとされ国家の手厚い保護 を受けていた。戦後も米軍の高級幹部の天下り先として国家への安定供給さえ出来れば利益が出る仕組みが出来上がっていた 国内市場もスイス製時計に締め出しに近い高額関税をかけ(セカンドラインの項参照)て自国時計産業保護をおこなっていた為 国際的な競争力を失い、軍需物資扱いの解除とともに産業として成り立たなくなってほぼ消滅した
デジタル腕時計
アストロン発売と同時期の1970年、アメリカのハミルトンからは世界初のデジタル腕時計「パルサー」が発売された。この腕時計では発光ダイオードを用いて時刻を表示した。デジタル腕時計は当初は極めて高価なものであったが、液晶表示の導入と可動部品が皆無な構造で大量生産に適するため低価格化が促進され、現代では一般にアナログ式より廉価な存在となっている。その後アラーム機能、ストップウォッチ機能など腕時計の高機能化が進む一方で低価格化が進み、かつて高級品であった腕時計は、子供でも買えるような身近な存在となった。
機械式の復権と日本メーカーの凋落
1980年代に入ると、精度ではクォーツに劣るものの熟練工によって作り上げられる機械式の腕時計の良さが再評価され始め、スイス製の高級機械式腕時計が徐々に人気を取り戻してきた。
クォーツ時計登場以降、欧州では機械式時計のメーカーやムーブメント製造を行う専門メーカーの再編と淘汰が進み、コストカットの観点から部品の製作・加工に自動化設備が導入され、世界的な規模でムーブメントの共有化が進んだ。その結果、スイスのエタがヨーロッパの機械式腕時計業界へのムーブメント供給で大きなシェアを占めるようになった。このため、高級ブランドは大衆ブランドと同型のムーブメントを共用しつつ、ケーシング(精度、仕上、耐久性、デザイン等を決定する最終組立)による差別化に技術とコストを集中できる状況となった。
一方でマニュファクチュールと呼ばれる、一部の特殊なパーツを除きムーブメントの開発・製造から組み立て、仕上げまでを一貫して行えるメーカーも存在する。
時計製造を専門としない無名のアッセンブリーメーカーがアジア製の廉価なクォーツムーブメントをやはり廉価なケースに収めて実売1000円 - 3000円程度の格安価格で流通させる事例は、1980年代以降の日本でも一般化した。この種の無名な廉価時計は中国などで組み立てられるものが多く、外観こそ粗末だが実用上支障ない精度と必要十分な防水性を備えているため、世界的に量販価格帯を席巻した。
このようにして手軽かつ高機能なクォーツ時計と、高級な工芸品・嗜好品の機械式時計という位置づけで棲み分けがなされるようになった。
スイス製の機械式腕時計が右肩上がりの成長を始めるのと同時に日本製のクォーツ式腕時計の業績は急激に悪化し、さらにアジア製のクォーツ時計との価格競争に敗れ、大幅にシェアを奪われた。しかも日本メーカーは自らが生み出したクォーツ技術により、1970年代以降世界的に認められていた機械式時計技術を持つ職人をほとんど失っており、苦境に立たされた。
新たな腕時計の模索
1980年代なかばから、完全にコモディティ化した方式の針式や液晶デジタル表示の腕時計に変わる、新たな付加価値を模索する動きが始まった。以下に各社の動向などを記す。
セイコーは復権をかけ、高級機械式腕時計として1960年代に名声を博した「グランドセイコー」などを復活させるなど、機械式腕時計に再度力を入れた。機械式ばかりではなく、ビスカススイープ・キネティック・スプリングドライブなど新方式の研究も進め、実用化している。2000年代に入ってからはクレドールブランドの超高価格帯製品「スプリングドライブ ソヌリ」などや「セイコー・スペクトラム」のような新コンセプトのモデルも作っている。
ビスカススイープはクォーツ腕時計で音叉時計のようなスイープ運針を[24]、ダンパとばねにより実現した方式であったが、採用したムーブメントは1988年の5S21と90年の5S42にとどまった。
キネティックは1988年にセイコーが発売した、世界初の自動巻き発電クォーツ腕時計「セイコー オートクオーツ」のムーブメントに使用された方式である[25]。キネティックは自動巻き時計と同様にローターを内蔵し、腕の振りによって発電を行う電池交換不要のクォーツ腕時計である。装着していない時には省電力のため針の動きが自動的に停止し、再び装着され振動が与えられるとそれを感知して自動的に現在時刻に復帰するオートリレー機能を組み込んだ「キネティックオートリレー」、小の月だけでなくうるう年においても正しい日付を示すパーペチュアルカレンダーの「キネティックパーペチュアル」、手巻き充電にも対応し、パワーリザーブ表示機能を持つ「キネティック・ダイレクトドライブ」もある。
スプリングドライブは1999年にセイコーがリリースした[26]、機械式ムーブメントに水晶振動子を使用した調速機構を組み込み、動力源にぜんまいを使用しながらクォーツ時計と同等の高精度を実現したものである[27]。手巻きあるいは自動巻きによって巻き上げられたぜんまいは針を動かすと同時に発電を行い、その電力によって水晶振動子を備えた調速機構を動作させる[28]。このため機械式調速機構で使用されるテンプや、クォーツ時計で使用される電池が不要である。セイコーではこのスプリングドライブを「メカニカル式とクオーツ式に並び立つ第三の駆動機構」と位置づけている[29]。
シチズンの「エコドライブ」は光発電によって駆動する。また外気温と装着者の体温の差を動力源にする「エコドライブサーモ」もある。
カシオ計算機は「腕時計は床に落とせばたやすく壊れる」という常識に反し、2~3階から落としても壊れないという耐衝撃性能を備えたタフな腕時計、G-SHOCK(Gショック)を1983年から発売した。このGショックはその頑丈さを買われ、過酷な状況にある湾岸戦争やイラク戦争などの戦場で兵士たちに愛用されていたという。デジタルウォッチのみの展開であったが、1989年に初のアナログ(デジアナ)ウォッチも登場した。日本ではそうした堅牢性を重要視される事は殆ど無く耐衝撃を考慮したやや厚めのサイズと無骨なデザインということもあって発売早々ヒットとはいかなかったが、90年代に映画作品などでの登場やグッズ収集ブームと併せ大ヒットした。さらに数多くの限定商品も生まれている。
- CASIO G-SHOCK AW-500NS-8ET PSC(Polar Science Center)オフィシャルモデル.JPG
G-SHOCKの大ヒットした限定品の一例。初代デジアナモデルをベースにスケルトンである。
スウォッチは、安価なクォーツ時計に鮮やかな色彩、有名アーティストによるデザイン、少数限定販売という付加価値を与えることでユーザーの支持を集めた。ディジタル表示腕時計の生産に踏み切った際は、ニコラス・ネグロポンテの協力を得てインターネットタイムを提唱したが普及には至っていない。
2010年頃において、壁時計では秒針の音を避けるなどの目的でスウィープ運針のものも多いが、クォーツ腕時計は、セイコーの超高級ラインのスプリングドライブ機を除き全て秒刻みの運針であった(壁時計ではリズム時計工業がサイレントステップという新しい方式を発表している(製品はシチズンブランド))。そんな中で、シチズンの技術により傘下のブローバから、毎秒16回駆動のクォーツ腕時計が発売された。シチズンとブローバは以前に音叉式腕時計で提携し、ブローバからの技術導入でシチズンが国産化した、という経緯がある。
また、機械式腕時計における、脱進機の新機構の考案も続いている。スイスの老舗メーカーであるユリスナルダンが2001年に発表した「フリーク」は新しい脱進機の導入により、潤滑油を不要としている。オメガはジョージ・ダニエルズが発明した「コーアクシャル」と呼ばれる新機構を導入し、機械式時計の心臓部である調速機構との動力伝達を果たす脱進機機構(アンクル爪、ガンギ歯)における摩擦の大幅な低減に成功している。さらに近年では「フリーク」「コーアクシャル」に追随するように独自の脱進機を開発したり、ガンギ車やアンクル、ヒゲゼンマイにシリコンや新たな特殊合金などの先端素材を採用したりして、オイルフリーや精度向上を目指す動きもあり、さながら脱進機革命とも呼ぶべき状況が生まれつつある。
電波腕時計
1990年、ユンハンスが世界初の電波式腕時計『メガ1』を発売した[30]。1993年、シチズンは世界初の多局受信型電波時計を発売した。電波式腕時計は、2000年代に入ってから売れ行きを伸ばしている。
電波時計は、標準電波を受信することにより時刻を自動的に補正する。基本的にはクォーツで時を刻むが、一日に数回、原子時計で管理された標準電波を送信局から受け取り、自動的に正しい時刻に修正するため、電波を受信できる環境にあれば誤差が蓄積せずいつまでも正しい時を刻むことができる。
衛星電波腕時計
2011年、シチズンが世界初の人工衛星を使った衛星電波式腕時計『エコ・ドライブ サテライトウエーブ』を数量限定で発売した[9]。また、2012年にはセイコーがGPS衛星を使った衛星電波式腕時計『アストロン』を発売した[31]。
電波時計と違い、送信局を経由して時刻修正することが不要となり、屋外で位置情報が受信できる環境にあれば現在地時刻を取得できることが可能となる。
時計付き携帯電話
時計付きの携帯電話の普及により、手首の腕時計を見るのでなく、懐中時計のように携帯電話を取り出して時間を確認するという、20世紀初頭の時代へ逆行するような現象も一般化しつつある。日本では、「腕時計を身に着けている時でも、ほとんど携帯電話で時刻を確認している」という人がほぼ半数を占めるという調査結果もある[32]。
防水腕時計
ムーブメントを水分から保護する仕様のケースを装備した腕時計を防水腕時計と呼ぶ。現在では一般に市販されている腕時計の多くが、何らかの防水仕様を備えている。規格については一般用耐水時計の規格として、ISO 2281/JIS B 7021 に記されている。
腕時計の防水機能は、「気圧」もしくは「水深 (m/ft)」で表される。基本的には、小雨に打たれたり日常の水仕事で水がかかっても大丈夫というレベルの「日常生活防水」(3 - 5気圧防水)、水泳や潜水などで着用する10 - 20気圧防水、そして本格的なダイビングに使用される潜水用腕時計(数百メートルから極端なものでは一万メートル防水も)までさまざまなレベルがある。 表示の見方については注意を要する。「3気圧防水」と言っても、「水深30メートルまで潜っても大丈夫」というわけではない。この気圧は、静止した状態でこの水圧に耐えられるという意味であり、水中で勢いよく腕を動かせば浅い水中でもこれ以上の水圧が腕時計にかかることになる。従って3気圧防水程度では水泳時に着用すると浸水する恐れがある。水深で表される場合には実際に表記どおり潜ることも可能な性能を持つが、メンテナンスを怠ると性能を充分に発揮できずに浸水する場合があるので、注意が必要である。
使用例 | 飽和潜水用 300m防水 |
空気潜水用 200m防水 |
日常生活強化 20気圧防水 |
日常生活強化 10気圧防水 |
日常生活強化 5気圧防水 |
日常生活 防水 |
非防水 |
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JIS B 7023 / JIS B 7021 による規定 | 2種潜水時計 | 1種潜水時計 | 2種防水時計 | 2種防水時計 | 2種防水時計 | 1種防水時計 | |
雨や手洗いの際の水しぶきに耐えうる程度の使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
水仕事(炊事・洗濯)に耐えうる程度の使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ヨット・ボート等のマリンスポーツ、釣りなど船上作業。プール等での軽い水中使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
競泳、素潜り・シュノーケリング等の浅い水中での使用 | ○ | ○ | ○ | ||||
スキューバダイビングなど空気潜水での使用 | ○ | ○ | |||||
飽和潜水での使用 | ○ |
ねじ込み式竜頭
この種の時計は第1次世界大戦前後に出現しており、初期の発想としては、ガラスののぞき窓と竜頭操作用のねじ込み蓋を備えた別体ケースに腕時計を入れ、ケースごとベルトで装着するものがあった。これは防水性は確保できるがかさばって使いにくく、体裁も悪かった。
早い時期に近代的な防水構造を採用した代表例は1926年のロレックスである。オイスター社が開発した削り出しによる一体構造の「オイスターケース」方式を採用したもので、腕時計本体のケースにねじ込み竜頭を備え、従来よりコンパクトでスマートな防水時計を実現した。1928年にはロレックスを装着した女性記者メルセデス・グライツがドーバー海峡横断遠泳に成功、ロレックスの防水性を広く喧伝した。
Oリング防水
ねじ込み式竜頭は原理自体は理想の方法だが、ねじ巻きや時間合わせで頻繁に竜頭を使うと摩耗して気密性が下がる弱点がある。それに代わる簡易な手段として裏蓋や竜頭部分のパッキンにOリングと呼ばれるゴムリングを使い防水性を確保する手法が広まった。リングの個数を増やせば気密性が高まり、またリングの老化で気密性が下がってもリングの交換で復旧できる。あわせてケース材質をさびにくいステンレス製とすることも一般化した。Oリング方式は第二次世界大戦中には連合国側で通常型の軍用時計に広く使われ、戦後は大衆時計にまで普及した。ねじ込み式竜頭と併用してより厳重に防水する手法も行われており、現在ではもっとも一般的な防水法である。だが初期のOリング式防水時計は現代で言う「日常生活防水」レベルの防水性能がほとんどであったため、日本でも大衆向け価格帯の分野に防水時計が出現した1960年代中期に、ユーザーが防水性を過信して着用したまま入浴や水泳を行い、水の侵入で時計を故障させるトラブルが続出したことがある。
一部のメーカーは耐久性の要求される時計について一種の多重ケース構造に近い手法とOリングの併用で気密性をさらに高める方法を採った。「オメガ・シーマスター」はその代表例である。
電池交換の際に「電池交換後は防水機能を保証できない」とする時計店もあるが、電池交換時に新品Oリングと無料交換する店もある。
ダイバーズウォッチ
テンプレート:Main 夜光塗料を塗布した文字盤を装備し、ねじ込み式竜頭やOリングなどで防水機能を確保し、水深100m以上の水圧に耐えられる「ダイバーズウォッチ」は、1930年代に軍用向けに出現した。潜水時間を管理する安全上の理由からも夜光防水時計は必須だったのである。オフィチーネ・パネライのダイバー用大型腕時計はその初期の例であるが、本格的な普及は第二次世界大戦後である。1943年にジャック=イヴ・クストーが考案したアクアラング装置が戦後に広まり、スキューバダイビングが容易になったことが普及の契機と見られる。
宝飾腕時計
美術工芸品としての腕時計もある。材料に金や銀などの貴金属をふんだんに用い、ルビーやダイヤモンドといった宝石を散りばめた華美な装飾品としての腕時計である。極端なものでは、風防に数カラットの大粒ダイヤモンドを用いるなど、数億円の腕時計まで存在する。
こうした時計では、クオーツ式ではなく機械式であることが多い。
視覚障害者用時計
視覚障害者が時間を確認できるように、指で直接針や文字盤を触ることが出来るようにした腕時計。文字盤には突起が設けられており、時間を確認する時には、文字盤を覆っているカバー部分を開いて指で触れるようになっている。無論通常の腕時計としても使用可能である。
またこのような腕時計とは別に、音声で時刻を知らせるデジタル式の視覚障害者用時計も存在する。
複雑腕時計
時刻表示に加えてさまざまな機能を有するアナログ式腕時計のことを複雑腕時計あるいは単に複雑時計と呼ぶ。機械式腕時計のトゥールビヨン、ミニッツリピーター、永久カレンダーは評価が高く、非常に高価である。一方で永久でないカレンダー機能、サン&ムーン表示及び電子音の時刻音(リピーター、ソヌリ、アラーム)機能はこれに含めないことが多い。
- クロノグラフ
- 時刻を表示する機能に加えストップウオッチの機能も組み込んだ時計のことをいう。テンプレート:Main
- ムーンフェイズ
- 月の満ち欠けを表す機構。太陰暦の名残りであるが、間接的に海の満ち引きを表し、漁業、海運、貿易及び天体観測、占術などの分野で月齢は重要な指標とされる。
- オーソドックスなデザインは文字盤に空けられた半円の窓内で円盤に描かれた月が見え隠れすることで満ち欠けが表現される。円盤には2つの月が描かれ59日で1回転する。 このアイデアは18世紀の天才時計師アブラアム=ルイ・ブレゲの発明である。 月の満ち欠けの1周期は平均29.530589日であるため965日で約1日の誤差が生じるが、特に精巧なものではより誤差を少なくしたものがある。 このデザイン以外には、デイトカレンダーに似たシャッター表示式、複数の月が描かれた盤面上を月齢針または月盤で示すポインター表示式、金と黒に塗り分けられたボールが回転するもの等がまれに存在する。
- 24時間計のバリエーションとして、ムーンフェイズと同じような外観で円盤には太陽と三日月が描かれたものがあるが、これは24時間で1回転し昼夜の区別をする「サン&ムーン」機能と呼ばれている。
- プラネタリウム
- ムーンフェイズ以外で、天体の運行を追尾する腕時計をプラネタリウムあるいは天文腕時計と呼ぶ。 占星術の道具であるアストロラーベを自動表示をするもの、惑星の位置を表示するもの、月食や日食を予告するもの、月の位置を表示するもの、星座を自動で表示するものなどが存在する。 機械式で有名なメーカーはユリスナルダン、クォーツ式を手がけるメーカーとして、シチズンやアストロデアが挙げられる。
- トゥールビヨン
- アブラアム=ルイ・ブレゲが発明した技術で、脱進機に掛かる重力による誤差を補正するため、脱進機を回転させて重力の影響を分散する機構である。本来時計本体に固定されている部品を回転させるために非常に複雑な機構と高度な技術が要求され、一時は「世界でも製造できる職人は10人以下しかいない」等と言われたが、香港で量産化されるなどの動きもある。テンプレート:Main
- リピーター
- 時計の側面のレバーを引くと、鐘の音色や回数で現在時刻を知らせてくれる機構。機械式腕時計でこれを実現するためには非常に高度な技術が必要とされる。分単位まで時刻を教えてくれるミニッツリピーターの他、5分単位までを教えてくれるファイブミニッツリピーター、15分単位までを教えてくれるクォーターリピーターも存在する。テンプレート:Main
- ソヌリ
- 毎時ゼロ分になるとその時刻の数だけ鐘を鳴らして時報する機構。さらに15分単位で時報するものをグラン・ソヌリと呼ぶ。時報と同時に文字盤などに配されたカラクリ人形などのギミックが作動するオートマタと組み合わされることもある。
- カレンダー
- 日(デイト)及び日と曜日を示すもの(デイデイト)が一般的で、日・曜日・月を示すものはトリプルカレンダーと呼ばれる。 数字による表示方法と盤面上を針(ポインター)で表示する方法がある。大型の日付針(デイトポインター)が時分針と共にセンターに配置されたものは識別のため針先が三日月型をしている。
- 月、日、曜日、暦年が表示でき、4年に一度の閏年でも、2月末日から3月1日にかけての手動による日付補正の必要がないカレンダー機構を永久カレンダー(パーペチュアル)と呼ぶ。なお、閏年の2月末のみに日付補正が必要なセミ永久カレンダー、毎年の2月末のみに日付補正が必要な年次カレンダーも存在する。
デジタル化による付加機能
機械式時計と異なり、デジタル時計には精度が必要な時間計測、カレンダー、アラームといった機能が初期の段階から備わっていた。そのため各種センサー類を取り付けることによって、従来の時計とは異なる機能(気温、気圧測定、電子コンパスなど)が付け加えられた。
性差・着用方法
腕時計は利き腕と反対側の腕に着用することが多い。また女性の場合、盤面を腕の内側に向けて着用する例も比較的多いが、男性においてはまれである。女性用腕時計は男性用腕時計に比べて小型に設計されているが、中には必要以上に小型化されている例もある。男性用サイズと女性用サイズの中間的なサイズの腕時計はボーイズサイズと呼ばれる。
なお腕時計成立の経緯から腕時計登場当初は懐中時計に比べて略式とみなされ、礼装時に着用しないものとされてきたが、現在ではそのようなことは言われなくなった。
ブレスレットとベルト
腕時計が普及し始めたのは女性のアクセサリーとしてであり、ブレスレットに時計のケースを取り付けたものが原点である。それに次いで実用的な道具として腕時計は強度と装着感が要求され、革ベルトにワイヤーを通してワイヤーの両端をケース本体に溶接するスタイルが生まれた。しかしベルトの損傷時などに取り外しが不便であることから、バネ棒をベルトの接合部に通しておき、このバネ棒をラグにはめ込むスタイルが確立し、現代まで続くことになる。これと併行してコマをつないで装着感と強度を両立させたブレスレットも登場・発展していき、やはりバネ棒を介してラグにはめ込むスタイルが採用された。NATOストラップのように引き通し式のベルトをバネ棒に直接通すベルトも存在する。
ブレスレット
ブレスレットの素材は比較的安価でメンテナンスが容易なステンレスが現在の主流である。その他金や鉄に鍍金したもの、チタニウムなどの金属がよく使用されている。まれに貝や骨、アクリル樹脂などのブレスレットも存在する。ブレスレットの形状には次のようなタイプと、特徴がある。ブレスレットはピンを調整することで腕周りを調整することが出来るのでベルトと比べて大きいサイズの腕時計を身につけることが出来る。
- ソリッドブロック
- 1個の金属塊から削りだされるブロックタイプのコマを、お互いにピンやネジで留める。比較的高価であるが、耐久性は高い。
- ロールブロック
- 1つの金属板に、もう1つの金属板を巻き付けて、ブロック状に仕上げる。ソリッドブロックに比べると安価。加工が巧みで、一見してソリッドブロックのように見えるものもある。
- メッシュ
- キメの細かい帯状のパーツを絡み合わせて作られる。加工が難しく廃れていたが、装着感に優れクラシカルなことから近年人気が復活してきている。
- アジロ
- 「コ」状のコマを噛み合わせるように重ねて連結する。手の込んだ作りであるが、近年はあまり見られなくなった。
- S字
- S字型のプレートを板バネを介して連結し、伸縮する構造となっている。サイズ調整の面倒が少なくて済むが、可動部が多く手入れが面倒だったりプレートの間に体毛を挟みやすいなどの欠点もあり、やはり近年はあまり見られない。
現在の主流は、ケースと同素材のソリッドブロックか、ロールブロックである。横へ単連から10数連まで、ブロック=コマをピンやネジで繋ぎ留める。コマ数が多いほど、可動部分が多いために柔らかで装着感も良く、豪華な外観になるが、コストや手入れのし易さ、強度などの理由で、3連から7連が主流である。人間工学を駆使した独自の形状により、装着感を向上させるなどの工夫を施すメーカーもある。
ベルト
高級時計の場合、ベルトは伝統的に爬虫類、ほ乳類の動物の天然皮革が用いられる。一般論として、耐水性や見た目の豪華さで爬虫類の皮革が高級とされるが、装着感や安価という点では、ほ乳類の皮革が勝る。そのためカーフ革に高級感を持たせるために鰐皮のような紋様を型押ししたり、爬虫類系のベルトにカーフやラバーなどの裏打ちをすることが多い。いずれにしても表面は見た目の良い素材や部位を使用し、裏面は柔らかな素材や部位を用いて縫い合わせるのが一般的である。装着感を良くするためなめし方に工夫するメーカーもある。また、この縫い合わせの糸のカラーがデザインのエッセンスとなる場合もある。近年では人造皮革が採用される例もある。ベルトはピンが存在しないので、ブレスレットと違い腕割りのサイズ調整が難しく、腕周りになるべく近いサイズを身につける必要がある。サイズによってはブレスレットの腕時計より小型の腕時計に為ることも少なくない。正装ではベルトの方が向いている。
ヨーロッパと較べ、日本では革ベルトよりもメタルブレスレットが好まれる傾向にある。これは、日本では夏場の蒸し暑い気候により、多く汗をかくため、革ベルトがへたりやすいことが、大きな理由だと考えられる。
ダイバーズなどのスポーツモデルでは耐久性を重視して単一成型のラバーやポリウレタンが用いられることが多い(しかしやはり、数年使用すると経年変化で分解してしまう)。
天然素材
- 爬虫類
- 哺乳類
- 鳥類
- オーストリッチ(ダチョウ)
- 魚類
- 植物系
その他の素材
バックル
用語としては「尾錠」「クラスプ」とも呼ぶ、ベルトやブレスの留め金。一般的には、次のタイプが多い。
- 穴留め式
- 革ベルトやゴムベルトで多用され、ピンをベルトに空いた小穴に通して固定する。ピンが幅広な場合には「タン」(舌)と呼ぶこともある。
- 三つ折れ式
- 上板、中板、下板の3枚のプレートを蝶番で繋ぐ。下板に中板を被せ、その上にさらに上板を包み込むように被せて、金具で固定する。
- 観音開き式(両開き式)
- 1枚のプレートの両端に、ジョイントのプレートを繋ぎ、さらにそこへ上板をつないだバックル。2枚の上板を、下部の1枚プレートの両側からセンターへ被せるようにして留める。
- スライド式
- 留め具の片方のストッパー板を起こすとスライド可能となって長さ調節ができる簡易バックル。長さ調節の際にコマを外す必要がなく専用工具も必要ない。クォーツ時計と共に普及した。
- 中折れ式(二つ折れ式)
- 蝶番でつないだ2枚のプレートを開閉して、相手側の尾錠を咥えて装着する。
その他
- NATOストラップ
- 引き通し式のベルトをバネ棒に直接通すベルト。ベルトが垂れない様に金具が付属しているのが特徴。服の上から装着できるようにベルトが長く作られており、余った場合は二重に折り返すことでサイズの調整が可能。素材はナイロン、綿、皮革など様々。由来はNATOが使用しているところから。
- レザーブレスウォッチ
- 皮革のブレスレットに革のベルトを合わせた、装飾を兼ねたベルト。
なお、金具にリリース用のボタンを設けたり、さらに小型の押さえ板を設けて、不意の脱落が起こりにくいようにするものもある。 またバックル内に収納された板を引き出してブレスの長さを伸ばすことが可能な、エクステンション方式と呼ばれるものもある。 バックルだけを保管しておき別のブレスレットやベルトに用いる方法がある。
出典
- ↑ 中央公論社『時計の社会史』
- ↑ 中央公論社『時計の社会史』
- ↑ Marco Richon『OMEGA SAGA』Chap.7
- ↑ WATCH WIKI "SANTOS" [1]
- ↑ 沿革|セイコーホールディングス株式会社
- ↑ Marco Richon『OMEGA SAGA』Chap.7
- ↑ 『時計史年表』p.180。
- ↑ WATCH WIKI "MEGA1" [2]
- ↑ 9.0 9.1 テンプレート:Cite web
- ↑ 中央公論社『時計の社会史』
- ↑ 『軍用時計物語』
- ↑ 『世界の特選品 時計大図鑑』p.133。
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- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 『世界の特選品 時計大図鑑』p.134。
- ↑ 『時計史年表』p.180。
- ↑ セイコー クオーツアストロン 35SQ(エプソン マイルストンプロダクツ)
- ↑ 『世界の特選品 時計大図鑑』p.134。
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- ↑ 『ビスカススイープシステムの開発』テンプレート:NAID
- ↑ SEIKO TECHNOLOGY
- ↑ SEIKOのニュース - セイコーウオッチ株式会社
- ↑ マリーンマスタープロフェッショナル スプリングドライブ搭載モデル(プロスペックス「海」) プロスペックスについて - セイコーウオッチ株式会社
- ↑ 1575万円の複雑時計に癒される - 日経ものづくり - Tech-On!
- ↑ SEIKOのニュース - セイコーウオッチ株式会社
- ↑ WATCH WIKI "MEGA1" [3]
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 腕時計を着けていても、半数が「携帯電話で時間を確認」 - japan.internet.com デイリーリサーチ
参考文献
- 笠木恵司、並木浩一 共著『腕時計雑学ノート』、ダイヤモンド社。
- 「こんな時代だからあえてメカ回帰」『D&M 日経メカニカル』2002年7月号、日経BP社、75 - 101頁。
- 二宮健二著『世界各国要覧と最新統計』、二宮書店。
- 今井今朝春著『軍用時計物語』光文社文庫
- 別冊家庭画報『世界の特選品 時計大図鑑』世界文化社
- 『時計史年表』河合企画室
関連項目
外部リンク
- 腕時計デザインの変遷 特許庁
- 情報通信研究機構・日本標準時グループ(電波時計の電波発信元)