無糖練乳
無糖練乳(むとうれんにゅう、英語:Evaporated milk)とは、牛乳を濃縮した乳製品であり、粘状の液体。英語を略してエバミルクと称されたり、かつては日本語で「煉乳」と書いたが、常用漢字による表記の関係上、新聞等では「練乳」、法令では「れん乳」と書かれる。なお呼称上「練乳」というと、加糖練乳を指す場合が多い。
概要
日本の乳等省令で、成分は「乳脂肪分7%以上・乳固形分25%以上・細菌数0」とされ、「無糖れん乳は濃縮乳であって直接飲用に供する目的で販売されるものをいう」と定義されている。なお濃縮乳の成分は無糖練乳とほぼ変わりないが、原料として食品加工される際に殺菌されることを見越して、細菌数は1gあたり10万以下と定義が緩くなっている。
通常、缶詰として販売されている。砂糖を加えたものは加糖練乳またはコンデンスミルクといい、区別されるが、加糖練乳ほどの粘度はないため、チューブ入りの製品もない。
製法
一般的には、原料の牛乳を加熱殺菌し煮詰めて半分以上濃縮し、成分を均質化させたのち缶などに詰め、再度加熱殺菌する。この製法はスイスのメインバーグが発明し、1885年に製品として売り出した。
現在の製品は、単純に生乳を煮詰めるのではなく、脱脂粉乳、カゼインなどの粉末の乳製品や植物性脂肪、増粘多糖類などを配合して、濃度や風味を調整する製法が一般的である。
製品によって原料が異なり、風味にも違いがあるため、消費者が嗜好によってブランドを選び分けることもある。
用途
無糖練乳はベシャメルなどの料理用クリームソース、クリームシチュー、タイ風カレー、中華の野菜のクリーム煮などの料理に使われる。
また、ミルク風味の饅頭などの菓子、マンゴープリン、杏仁豆腐などの生菓子、氷菓などを作る時の製菓材料としても用いられる。
海外では、コーヒーや紅茶用のクリーマーとして使う事が一般的であり、日本の一部の喫茶店でも利用している。シンガポールではネスレのカーネーションブランドの無糖練乳を加えたコーヒーを「コピC」、無糖練乳を加えた紅茶を「テーC」と呼ぶ。Cはカーネーションの略。香港の茶餐廳でもカーネーションブランドの無糖練乳は「花奶」(ファーナーイ)と呼ばれ、香港式ミルクティー、鴛鴦茶などの飲み物やマンゴープリンのトッピングなどに欠かせないものとなっている。
ネスレ日本は「ミルクメイド」(Milkmaid)という別ブランドの商品を製造販売しているが、生乳を原料にしているため、脱脂粉乳を加えている「カーネーション」とは風味が異なる。
製造業者
日本
日本以外
- ネスレ(カーネーション)
- フリースラントフーズ(ブラック&ホワイト)