常総学院中学校・高等学校
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テンプレート:日本の高等学校 常総学院中学校・高等学校(じょうそうがくいんちゅうがっこう・こうとうがっこう)は、茨城県土浦市に所在する私立の中学校及び高等学校である。
概要
中高一貫6年制課程の常総学院中学校と、3年制の常総学院高等学校から成る。野球部や吹奏楽部の活躍が全国的に有名である。元木内幸男監督率いた野球部は夏の甲子園の常連であり、春夏通じて優勝2回、準優勝2回という成績を残している。現在、長年コーチをしていた佐々木力監督に代わっても伝統を受け継ぎ全国区の強豪校で名を知られる。吹奏楽部は、規定上による3回連続出場のための欠場を除いてほぼ毎年全日本吹奏楽コンクールに出場し、2013年までに金賞を14回、銀賞を3回受賞している。全国トップクラスの大学進学率を誇り、東京大学理科三類(医学部)をはじめとした国公私立大学へ多数の合格者を輩出。国公立大学や防衛大学校などに毎年100名以上が合格している。生徒一人一人へ非常に面倒見が良く進学へ力を入れており、また登録制で駿台予備校の映像配信授業などを利用出来るため、基本的に塾や予備校へ通う必要がなく、通う生徒も少ない。
広大なスクールバス網により茨城県南部地域や千葉県北部地域から多くの生徒を集め、2001年頃には最大1学年23クラスを数える状況だったが、現在のクラス数は1学年16クラスほどである。また「鴻志寮」と呼ばれる学習寮があり、中等部・高等部の全クラスで年1回2泊3日の「学習合宿」を実施している。
全国的な高等学校の未履修問題発生時には、本校でも履修漏れが発覚した[1]。
沿革
- 1905年10月1日 渡辺嘉重が新治郡中家村下高津(現・土浦市下高津)の常福寺境内に常総学院中学校を創立[2]。生徒は50人強、教師は2人で、テニスコートと卓球場を有していた[2]。
- 1913年3月20日 新治郡土浦町鷹匠町(現・土浦市中央二丁目)に移転[2]。
- 1943年 戦況悪化により常総学院中学校閉鎖
- 1981年 常総学院高等学校復活委員会発足
- 1983年 学校法人常総学院認可、高等学校設置
- 1987年 第69回全国高等学校野球選手権大会準優勝
- 1989年 全日本吹奏楽コンクール初出場金賞
- 1994年 第66回選抜高等学校野球大会準優勝
- 1996年 中学校設置
- 2001年 第73回選抜高等学校野球大会優勝・第49回全日本吹奏楽コンクール金賞
- 2003年 第85回全国高等学校野球選手権大会優勝
- 2007年 全日本吹奏楽コンクールに3年連続出場し、規定により招待演奏
- 2010年 3年振りに全日本吹奏楽コンクールに出場し金賞
- 2013年 東京芸術劇場にて創立30周年記念演奏会を実施
校訓
- 自主・誠実・創造
校歌
- 吹奏楽部の演奏による迫力ある校歌は、在校生・卒業生だけでなく全国のファンの間からも親しまれている。
- しかし、在校生ですら入学式・卒業式・野球応援以外で校歌を歌うか聴く機会がない。
- 作詞 西沢爽
(昭和59年当時日本作詞家協会会長、島倉千代子歌唱「からたち日記」の作詞家)
- 作曲 芥川也寸志
(芥川龍之介の子息であり、日本音楽著作権協会理事長、日本作曲家協議会会長などを歴任)
行事
- 4月 始業式 (5日)
- 4月 入学式 (5日)
- 5月 中3実力試験 (10日)
- 5月 中間試験 (30日)
- 6月 中3実力試験 (13日)
- 6月 期末試験 (28日)
- 7月 中3バス旅行 (7日)
- 7月 中3実力試験 (10日)
- 7月 終業式 (20日)
- 9月 始業式 (1日)
- 9月 中3実力試験 (3日)
- 10月 中3実力試験 (1日)
- 10月 創立記念日 (4日)
- 10月 中間試験 (18日)
- 10月 中3統一試験 (27日)
- 11月 中3実力試験 (4日)
- 11月 中3統一試験 (17日)
- 11月 中3実力試験 (26日)
- 11月 期末試験 (26日)
- 中学校1・2年生、高校1・2年生のみ
- 12月 学年末試験 (1日)
- 中学校3年生、高校3年生のみ
- 12月 大掃除 (9日)
- 中学校3年生、高校3年生のみ
- 12月 高3自由登校 (11日)
- 12月 中3自由登校 (11日)
- 12月 終業式 (19日)
- 1月 始業式 (4日)
- 2月 高校卒業式 (18日)
- 2月 学年末試験 (20日)
- 中学校1・2年生、高校1・2年生のみ
- 3月 中学卒業式 (1日)
- 3月 終業式 (20日)
- 中学校1・2年生、高校1・2年生のみ
学校生活
- 2002年度までは10月1日が創立記念日として休日であった。しかし、祝日のハッピーマンデー化が進む社会情勢に鑑み、2003年度よりこれを10月の第1月曜日に変更している。
- 2001年度以降、基本的に毎月第2・第4土曜日が「ゆとりの日」として休日となる。
- 給食制であるため、弁当を持参する必要がない。
- 学園祭は「常友祭」と呼ばれ、毎年11月に行われる。平成24年から生徒による公式サイトも作られている。
- OBで元プロ野球選手の仁志敏久や、原田敏和校長と学友である丸山和也参議院議員の講演会なども開かれた。入学式・卒業式には丸山和也参議院議員が出席することがあり、来賓祝辞を述べる。
- 高校の修学旅行は2年次の3月中旬に韓国へ行き、現地の姉妹校と交流をするのが恒例。
- 中学校の修学旅行はニュージーランドである(名目上は『語学研修旅行』となっている)。
- 中学3年生及び高校3年生は1月から自由登校となり、その後には選択授業が開かれる(任意出席)。
- 授業では、教師陣による自慢のオリジナルテキスト・問題集を用いるため大変密度が濃く、学力上位クラスにもなると平日も特別講座と称した必修の授業があるため8時間授業となる。
- 学校生活や学習面、進路についてなどを二者面談して、心のケアなど真摯に対応する。
- 7月下旬~8月も午前中は必修の特別講座があり、午後は任意での選択授業がある。前半と後半があり、その間に夏休みが約2週間ある。
- いじめや暴力は断固として許さず、発覚すると停学処分となる。また、駐輪場の自転車を窃盗すると退学処分となる。ただ、日頃の厳しい規則のおかげか、実際は問題を起こす生徒がおらず、全体的に落ち着いている。
交通
- 首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線(TX線)つくば駅(つくばセンター)から関鉄バスC20系統桜ニュータウン行にて「常総学院入口」下車、徒歩約5分。または関鉄バス20/21A系統荒川沖駅行にて学園並木下車、土浦駅行に乗り換えの上「常総学院入口」下車、徒歩約5分。
- JR常磐線土浦駅・TX線みどりの駅・関東鉄道常総線水海道駅から関鉄バス、「常総学院入口」下車、徒歩約5分。
- 生徒用のスクールバスが、JR常磐線荒川沖駅やつくば駅など県内各地から運行されている。
- 荒川沖駅からはおよそ3km少々の道のりだが、部活動に加入することで同駅からの自転車通学が許可される制度となっており、スクールバスの利用が基本とされている。徒歩の場合45分前後を要するが、進学校の中でも特に部活動未加入の生徒が大半を占める本校では、健康増進・体力増強とスクールバス定期券代節約を兼ねて徒歩通学する生徒も少なくない。
著名な関係者
野球関係
- 木内幸男(野球部前監督)
- 島田直也(元プロ野球選手・常総学院→日本ハム→横浜→ヤクルト→大阪近鉄バファローズ→信濃グランセローズコーチ)
- 仁志敏久(元プロ野球選手・常総学院→早大→日本生命→読売ジャイアンツ→横浜ベイスターズ→ランカスター・バーンストーマーズ)
- 金子誠(プロ野球選手・常総学院→日本ハム)
- 横川史学(プロ野球選手・常総学院→青山学院大→東北楽天ゴールデンイーグルス→巨人)
- 大崎雄太朗(プロ野球選手・常総学院→青山学院大→埼玉西武ライオンズ)
- 坂克彦(プロ野球選手・常総学院→近鉄→楽天→阪神)
- 清原大貴(プロ野球選手・常総学院→阪神)
- 小池翔大(プロ野球選手・常総学院→青山学院大→ロッテ)
- 渡辺孝矢(プロ野球選手・常総学院→石川ミリオンスターズ)
- 大川裕士(プロ野球選手・常総学院→専修大学→石川ミリオンスターズ)
- 仁平翔(社会人野球選手・常総学院→茨城ゴールデンゴールズ)
- 内田靖人 (プロ野球選手・常総学院→東北楽天ゴールデンイーグルス)
バドミントン関係
- 坂本修一(常総学院→筑波大学→日本ユニシス)
- 米倉加奈子(常総学院→つくば国際大学→茨城トヨペット→ヨネックス)
- 山本静香(大阪府瓜破西中→常総学院→ヤマハ(廃部)→三協アルミ(廃部)→ヨネックス→2005年結婚後、三菱電機へ移籍)
- 大山宏司(阿見中→常総学院→近畿大学→トナミ運輸)(2006年引退)
- 矢部正博(常総学院→日本体育大学→日本ユニシス)(2005年3月引退)
- 小林広季(朝日中→常総学院→YKK九州)
その他スポーツ関係
- 阿部吉朗(プロサッカー選手・常総学院→流通経済大学→FC東京→大分トリニータ→FC東京→柏レイソル→湘南ベルマーレ→ヴァンフォーレ甲府→ジュビロ磐田)
- 山野井智広(競泳選手・常総学院→中央大学)
- 岡崎崇徳(テニス選手・常総学院→法政大学→リコー)
- 渋谷嘉広(ラグビー選手・常総学院→専修大学→リコーブラックラムズ)
その他
- 櫻井富夫(学校法人常総学院理事長・茨城県議会議長)
- 神代修(トランペット奏者・常総学院→東京芸術大学→東京フィルハーモニー交響楽団)
- 岡田慎一郎(介護支援専門員、介護福祉士)
- かぐら /飯嶋康平(J-POPグループ)
- 平塚八兵衛(警視庁職員、昭和を代表する名刑事)(旧制常総学院中学校卒)
脚注
- ↑ 朝日新聞 2006年11月3日 『私立高の4人に1人が履修不足』 世界史B、日本史B、地理Bから1または2科目を選択する方式だった。また、現代社会、理科総合A、情報Aは実施せず、保健も1単位しか行っていなかった。この結果、2・3年生の860人が9単位(50分授業で315回)の履修漏れとなり、それ以外も含め、1070人が履修不足だった。「日本史、地理の授業で世界史の内容を十分に入れて、標準単位以上の授業を行い、生徒が世界史も十分にわかっているとして単位を認定していた」と主張したが、調査の結果、世界史の授業1~2年分に匹敵する理解度を生徒にもたらすのは実質的・物理的に不可能であったとして、この主張は認められていない。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 土浦市史編さん委員会 編(1985):821ページ
参考文献
- 土浦市史編さん委員会 編『土浦市史』土浦市史刊行会、昭和50年、1156pp.