地球連合 (ガンダムシリーズ)

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地球連合は、アニメ機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の国家連合。

ザフト建軍にともない、国際連合の発展的解消を経て成立した新たな国際組織である。また、地球連合が実力行使のため常備する武力集団を地球連合軍 という。

多くの場合、地球連合は連合、地球連合軍は地球軍連合軍と略称される。また、地球連合の英訳はO.M.N.IOppose Militancy & Neutralize Invasion、地球連合軍の英訳はO.M.N.I.EnforcerOppose Militancy & Neutralize Invasion Enforcerである[1]

概要

宇宙世紀シリーズにおける地球連邦の誕生が宇宙世紀の開始と時を同じくしているのに対し、地球連合の歴史は非常に浅い。シリーズ第1作『機動戦士ガンダムSEED』スタートの時点で創設から約2年しか経っていない[2]

C.E.70年2月5日、「コペルニクスの悲劇」で事務総長を含む国連首脳が爆殺される。これをきっかけに、国際連合が発展的に解消する形で同7日、地球連合は創設された。ただし、かつての常任理事国プラント理事国をはじめとする大国群以外は、必ずしも加盟国の顔ぶれが同じではない。主な構成戦力は大西洋連邦ユーラシア連邦東アジア共和国プラントの旧宗主国及び、南アフリカ統一機構南アメリカ合衆国などである(ただし、南アメリカ合衆国は親プラントであったが、ヤキン。ドゥーエ戦役時に大西洋連邦の軍事侵攻で合併され、戦後に独立戦争を経て自治権を獲得するが、地球連合軍への加盟が条件に組み込まれた経緯がある)。

地球連合軍の戦力内容は、旧プラント理事国3国[3]合同軍[4]を母体としており、作品世界において、人類史上初の世界規模の常設安全保障組織である。将兵の制服から大小あらゆる兵器に至るまで共通規格化[4]されている。このため、加盟各国軍は国軍としての独立性を維持してはいるものの、兵器の外観や兵士の服装だけから彼らの国籍を識別することは殆どできない。また先述のように、戦力面での母体がプラント理事国であり、またその3国はプラントの宗主国という立場と同時に、いずれも反コーディネイター世論、ブルーコスモスイデオロギーの強い国であるため、自ずと地球連合もプラントに対して強硬、主戦的風潮を強く帯びる集団となっている。

C.E.73年には、赤道連合汎ムスリム会議も参加し、既に地球の主要国家の大半が加盟している。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』スタートの時点では、スカンジナビア王国オーブ連合首長国が中立である以外、地球上の全ての国家が加盟している[1]。そしてそのストーリー中、オーブとスカンジナビア王国も加盟した。

作中の経緯

機動戦士ガンダムSEED』では、開戦時から一部ブルーコスモスによる専横を許し、核兵器の使用によって血のバレンタインの惨劇を引き起こした。

開戦当初は、物量に圧倒的に勝る地球連合軍が有利とされたが、ザフト軍が本格的に投入した新世代機動兵器「モビルスーツ」に従来兵器は苦戦し、さらにニュートロンジャマーによって核ミサイルや核エネルギーが使用不能となったため、地球圏全域でエネルギー不足に陥いる事態になり、当初の予想は覆されたばかりか、宇宙では敗戦が続き、世界樹攻防戦や新星攻防戦では拠点を破壊・奪取される形で敗退し、グリマルディ月面戦線もプトレマイオス基地こそ維持したが、重要な資源採掘施設であるエンデュミオン基地はサイクロプスシステムの人為的な暴走・自爆により喪失。地上戦でも一時は保有する全てのマスドライバー施設であるカオシュン基地、ビクトリア基地、パナマ基地がザフト軍により占領、若しくは破壊されるまで追い詰められていた。

しかし、連合軍のモビルスーツの配備が本格化後、一転して、中立国のオーブを含め、ビクトリア宇宙港奪還やジブラルタル基地の制圧が一挙に進み、オーストラリア以外の地域を制圧するまでに戦局が逆転。また同時に、国防産業連合理事にて同時のブルーコスモス盟主、ムルタ・アズラエルの影響力が増し、オーブ解放作戦以降の主要な戦線において、現場の指揮官には上層部よりアズラエルの意向に従うよう命令されていたこともあり、自身がオブザーバーとして軍艦に乗り込み、時には部隊の作戦を指揮する事もあった。宇宙においてもその勢いは衰えず、さらにニュトートロンキャンセラーの実用化によって復活した核ミサイルによりボアズ基地を壊滅させるなど、プラント後一歩のところまで追い詰める。

しかし、プラント本土攻防戦である、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において、プラント本土への核攻撃は、オーブ残党勢力と、クライン派の介入により頓挫、さらに、ザフト軍が使用した最終兵器「ジェネシス」により、地球連合軍宇宙艦隊および月面プトレマイウス基地が壊滅的打撃を被ってしまったが、ザフト軍もザフト軍最高司令官パトリック・ザラの戦死とヤキン・ドゥーエ、ジェネシスの喪失、さらに旧クライン派のクーデターにより停戦。既に宇宙戦力の大半を損耗した地球連合軍と地球戦線が挽回不可まで覆されたプラントの双方が既に相手を打ち倒す力を喪失したため、終戦する。また、同戦線に赴いていたムルタ・アズラエルが戦死した事により一時的にブルーコスモスの影響力が弱まることになる。

第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦終結直後、先の大戦により併合されていた南アメリカ合衆国が、分離独立のため大西洋連邦に対し宣戦を布告し、南アメリカ独立紛争が勃発した。大西洋連邦政府は南アメリカの独立を認めない立場であり、また、ザフト軍の一部が介入するなど、事態は混迷するかに思えたが、スカンナジア王国の呼びかけと、ブルーコスモスを裏で扇動してきた秘密結社「ロゴス」の介入により、地球連合に加盟する事を条件に南アメリカの独立を認める形で、紛争は終結した(ただしパナマ宇宙港の管理権は大西洋連邦が握ることになる)。また、同時期に地球連合とプラントとの間で終戦条約である「ユニウス条約」が締結された。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、ナチュラル根絶主義者のザフト脱走兵が引き起こした、地球全土への無差別大規模テロ事件「ブレイク・ザ・ワールド」とそれに呼応した、コーディネータの無差別テロが相次いで発生。当初、ロゴスメンバーや大西洋連邦大統領ジョゼフ・コープランドは被害復興を優先させたが、ロゴスのメンバーの1人にて、ブルーコスモス新盟主ロード・ジブリールが、これを機に今度こそプラント及びコーディネーターを根絶すべく、様々な工作活動を展開、結果、反プラント世論・反ザフト世論の高まりに押し切られる形で開戦に踏み切る事になる。

そうしてユニウス停戦条約が終わりを告げ開戦となるが、初戦でのプラント核攻撃に失敗し、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの政治手腕と、地球連合軍内部の反ロゴス勢力の暗躍、多くの正規軍部隊が災害救助や支援復興を継続させている情勢による戦力・人員不足などの様々な要因によって強大な軍事力を活かしきれず、戦況はことごとく覆され次第に後手に回るようになる。さらに連合加盟国内での禍根が表面化し始め、ユーラシア連邦では、ユーラシア西地区(旧E.U.及び中東地域)などの反連合活動を力尽くで治めるという内戦状態になり、一部ではザフト軍に協力する地域も出始めた。さらに、大西洋連邦では蜜月であったはずのロゴスとの関係も揺らぎ始め、ジブリールからのスエズ派遣要請を断るまでになる。その後、デュランダルがベルリンでの焦土戦等を政治利用したロゴス打倒宣言にを切っ掛けに、東アジア共和国を始めとした地球連合内部の反ロゴス勢力が呼応し、事実上ロゴス派と反ロゴス派に分裂した。

ヘブンズベース攻防戦により、ロゴスの主要メンバーは捕らえられ、唯一逃れたジブリールはレクイエム攻防戦において月面ダイダロス基地レクイエムを使用し最後の反撃にでるが、ミネルバを中心としたザフト軍の攻撃により同基地は陥落しジブリールも乗艦を撃墜され死亡した。これによりロゴスおよび地球連合軍内部のロゴス派は壊滅。地球連合軍は敗戦した。

その後、プラントの提唱するデスティニープランに反対を表明したオーブおよびスカンナジア王国に呼応する形で地球連合軍は月面アルザッヘル基地の艦隊を出撃させるが、ザフト軍が接収したレクイエムにより出撃した地球軍月艦隊ごとアルザッヘル基地は壊滅し、月面での戦力の殆どを喪失する。その際、基地に赴いていたジョゼフ・コープランド大西洋連邦大統領も死亡した。残存した部隊の一部は有志として反デスティニープランを表明したオーブ艦隊に合流し、メサイア攻防戦に参戦、結果デュランダル議長は死亡、ザフト軍も壊滅的打撃を受け、戦争は事実上終結した。

メサイア攻防戦以降の地球連合軍の動向の多くは不明である。

なお、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY OFFICIAL FILE メカ04』掲載の「Daydream of DESTINY GSD OFFICIAL FILE」には、ロゴスを失い急激に衰退した大西洋連邦を離れ、雷鳴轟く荒野を進軍する歩兵&ダガーL集団の姿と共に、代わって強国となったオーブの支配に抵抗する者の誕生を示唆するかのようなアートストーリーが「悪夢(夢想)」とも取れる表現で記されている。

主な開発兵器

モビルスーツ登場以前、宇宙軍は宇宙戦闘機であるモビルアーマーを主力とし、陸軍や海軍はC.E.年代以前からの兵器形態を継承していた。モビルスーツ実用化後も引き続き運用と新規開発を続けており、結果としてモビルスーツ偏重主義のザフトとは対照的に多様である。しかし、モビルスーツにおいてはストライカーパックの成功により一部試作機や局地戦専用機を除きダガータイプとその派生機を、重点的に開発・配備している。一方、大型モビルアーマーをも次世代の主力兵器とする構想を持ち、大型機動兵器が総じて量産されているという点では他シリーズにない特色がある。


脚注

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  1. 1.0 1.1 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』 竹書房。/a…171頁。/b森田繁コメントより。
  2. 公式年表参照。
  3. 大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国。
  4. 4.0 4.1 「データコレクション17 機動戦士ガンダムSEED 上巻 『OFFICIAL REPORT』」 メディアワークス。/b…しかし、『SEED』第6話に登場したユーラシアの宇宙要塞「アルテミス」に駐留しているユーラシア連邦兵の制服はデザインこそ共通だが、白色の大西洋連邦軍の制服と異なりやや青み掛かったグレーであり、また同要塞に停泊しているアガメムノン級宇宙母艦は茶色に塗装されているなど差異が認められる。

関連項目

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