ブルーコスモス

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ブルーコスモス(Blue Cosmos)は、アニメ機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する 架空イデオロギー及びその信奉者の諸集団の総称。

概要

ブルーコスモスは、それ自体が統一された組織や結社ではなく[1]、反プラント、反コーディネイター思想とその主義者の総称である。「青き清浄なる世界のために」がスローガン

ブルーコスモスのイデオロギーは、21世紀現在のヒトに関する国際的生命倫理基準と大差は無い[2]。即ち、受精卵への人為的遺伝子操作により先天的に能力を強化された人間を造り出すこと[3]、及びそれにより造り出された人間の存在を正当とは認めない、というものである。なお彼らは、病気の遺伝子治療を含む遺伝子操作技術全般を否定しているのではない。劇中、ブルーコスモスシンパの父を持つフレイ・アルスターは「病気でもないのに」と自分のセリフに但し書きを付けて話している。

歴史上ブルーコスモスは、西暦時代末期〜C.E.初頭頃、アズラエル財閥が最大のパトロンとなって誕生した自然保護団体「ブルーコスモス」として出発した。そして、C.E.70年代初頭現在の今日「ブルーコスモス」と呼ばれる人々は、自然保護団体であるその旧ブルーコスモスに、カトリック教徒グループ、ムスリム等が集合して徐々に醸成され、シンパ同士が緩やかに結ばれた思想潮流(イデオロギー)であり、具体的な団体や結社ではなくなっている。また、必ずしも反コーディネイター的感情を持つ人間=ブルーコスモスというわけではなく、心情的に同意同調しているだけの人間も多い[4]。このためブルーコスモスはとても大きなグループにも見えるが、シンパの数が著しく拡大したC.E.68〜70年で、後述の盟主や、政界、軍の有力者の直接影響下にない末端の「自称」ブルーコスモスまで含めても、その自覚的構成員の勢力は数十万人程度であるという[5]

ブルーコスモス主義者の内、政治面で特に有力な人物を「盟主」と呼び、C.E.71年までは、国防産業連合の理事ムルタ・アズラエルが盟主であったが、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で死亡し、C.E.72年頃からは、ロード・ジブリールが新盟主となる。

初期の段階では人間への遺伝子操作により生み出されるコーディネイターの生命倫理違反を糾弾するプラカードを掲げたデモ行進等、市民運動が活動の中心であった[6]。しかし、国際法で禁止されたにも関わらずコーディネイターが違法に生み出され続け既成事実化してしまった[7]ため、その存在をよしとしない人々が次第に過激化し、コーディネイターへの迫害やテロ行為を行う例も多くなっていった。C.E.73年の時点では、マスコミから「ブルーコスモス系」と報じられる反ザフトゲリラ[8]も存在している。

構成員の国籍、年齢、職業はさまざまであり、社会のあらゆる団体に支持者が存在し、各国の政財界や軍部にも根を張っている。特に大西洋連邦の政治家や軍人にはジョージ・アルスターをはじめとするブルーコスモスの賛同者が多い。地球連合軍上層部にもウィリアム・サザーランドをはじめとして多数の賛同者がいる。決して多数ではないが、コーディネイターでありながら自らの複雑な出生関係などに悩み、ブルーコスモスのメンバーないし賛同者になった者もいる。

劇中での動向

機動戦士ガンダムSEED 
地球連合軍の本格的プラント攻撃はC.E.70年の「血のバレンタイン事件」により開始された。その際、核ミサイルを独断で艦隊に運び込んだ地球連合軍の士官はブルーコスモス賛同者[9]であるとされる。
また、C.E.71年5月12日にはザフトのJOSH-A侵攻作戦中にウイリアム・サザーランドを筆頭とするブルーコスモス賛同者の将兵によってユーラシア連邦艦隊を囮としたJOSH-A自爆作戦が実施されている。ブルーコスモスはユーラシア連邦を含む世界中の人間からなっているが、このユーラシア連邦艦隊を犠牲にする作戦に反対した者はおらず、またJOSH-Aの各国職員から本国への事前連絡もなかった模様である。
最終局面におけるエルビス作戦の目的もプラントの攻略と制圧を全面的核攻撃によるプラントの破壊と殲滅という厳しい手段で達成しようとした。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後、盟主を失って弱体化したかのように見えたが、ブルーコスモス賛同者による比較的小規模なテロについては、なかなか歯止めがかからないのがC.E.73年の世界における状況であった。地球軍内部にファントムペインという直属独立部隊を配置している。なお、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの演説によって民衆の蜂起が起き、「母体」だとされるロゴス共々最終的には壊滅させられた。
機動戦士ガンダムSEED ASTRAY
武装ゲリラとして、プラントの首都アプリリウスにまで侵入し、はねクジラの破壊をもくろむが未遂に終わっている。しかし、その直後完全武装のメビウス12機とその母艦であるネルソン級戦艦をプラントへ差し向けた。
ロウ・ギュール達が北アフリカの砂漠地帯に落着した際には、マーチン・ダコスタもろとも葬り去ろうとした。ジョージ・グレン以外のコーディネイターを偽者と定義しているジョージ・グレン友の会モンドからはブルーコスモスについて具体的理由は説明せぬものの「哲学の無い連中」とレッテルを貼っており、山吹樹里からも「アブナイ連中」と言われている。
機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER 
スウェン・カル・バヤンが幼少時、両親をテロで失った後に引き取られた施設で、スウェンも含め幼い子供が電極を取り付けられ、「コーディネイターを抹殺しよう」とバイオフィードバックによる洗脳が行われた。また、MS操縦訓練をムルタ・アズラエルが訪問・視察しているシーンがある。

脚注

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関連項目

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  1. 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』PHASE-01において、ギルバート・デュランダルが「ブルーコスモスは組織というより主義者だろう」と語るシーンがある。
  2. 『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場するコーディネイターのような、いわゆるジーンリッチ、遺伝子強化人間を造り出すことは、21世紀現在既に、WHO世界保健機関により遺伝医学上、生命倫理上「行われてはならない」ものとして否定されている。「遺伝学的な向上や“望ましい”とされるような人間形質の向上を、遺伝医学の目的にしてはならない。この形質向上の追求が持つ倫理上の危険性に、遺伝学者は気付いていなければいけない。それは、社会の不平等の格差を広げてしまうことであり、人間の多様性に対する耐性が弱くなることである。」「遺伝学的な形質の向上すなわち“積極的優生学”は、それを最初から意図するかいないかにはかかわらず、その結果何が起きるか現時点では予想できないので、行われてはならないものである。」「形質向上は、1)苦痛を和らげる、2)益は公平に分配する、3)人間を苦しめる疾患に対する研究や治療という直接的な尽力、という医療の目指すべきところを脅かすものである。中程度の知能指数であることは疾患とは言えない。形質の向上は、限られた資源の公平な配分という点でも抵触する。」( 1997年12月承認『世界保健機関(WHO)による遺伝医療に関するガイドライン』「1-3-4 遺伝学的な形質向上 GENETIC ENHANCEMENT」より)
  3. これを専門用語で「遺伝学的形質向上」という。
  4. フレイ・アルスター等。
  5. 公式年表参照。
  6. 『機動戦士ガンダムSEED』PHASE-14において、歴史を振り返るラウ・ル・クルーゼのモノローグによる。
  7. 『公式年表』の記述による。
  8. 『スペシャルエディションI 砕かれた世界』冒頭のシーンによる。
  9. 『公式年表』の記述による。