パトロール艦 (宇宙戦艦ヤマト)
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パトロール艦(パトロールかん)は、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下『さらば宇宙戦艦ヤマト』)、『宇宙戦艦ヤマト2』、『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙巡洋艦。デザイン担当は宮武一貴。
概要
対ガミラス帝国戦役後、復興した地球防衛軍が新たに建造した量産型の6000t級(5900t)の軽巡洋艦。対ガミラス帝国戦役時の地球防衛軍艦艇とは、あらゆる面で比較にならぬ性能を有する。
『さらば宇宙戦艦ヤマト』・『宇宙戦艦ヤマト2』(2201年)では、太陽系外周宙域[1]の哨戒任務に用いられる。
『宇宙戦艦ヤマトIII』(2205年)では、パトロール艦から警備艇に艦種変更されている。
艦体解説
- 艦型
- 艦型は、対ガミラス戦役時の地球防衛軍の艦艇と共通する紡錘-葉巻形の艦型で、同時期に建造された巡洋艦[2]、護衛艦、駆逐艦と同様の艦型が採用されている。
- 主機
- 主機関に波動エンジンを採用。艦後部にあるインテーク状の構造物上に艦の前方を指向した噴射口が片舷に2基ずつ、計4基ある。
- 艦体色
- 『さらば宇宙戦艦ヤマト』・『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する艦は、艦体上部が濃紺色、下部が灰色であり、波動砲口・前甲板前縁・前甲板上の砲塔2基・艦橋前部・艦後部のインテーク状建造物の前縁・メインエンジンノズルのショックコーンが白色となっている。
- 『宇宙戦艦ヤマトIII』において、ケンタウルス座駐留の警備艇は、灰色を基調とし、波動砲口・前甲板上の砲塔2基の前盾・艦橋前部がクリーム色となっている。これは主力戦艦・アンドロメダに使用されている色と同じである。
- 地球防衛軍司令長官藤堂平九郎が乗り込んだ艦は灰色を基調としたうえで、波動砲口とメインエンジンノズル上にある4枚のウィングが赤色となっており、メインエンジンノズルのショックコーンのみが黄色に塗られている。
- 兵装
- 武装は、艦隊決戦兵器である拡散波動砲を艦首に装備。主砲として15.5cm2連装衝撃砲を艦体の前部に上面に2基、下面に1基を配置。艦首部分には、3連装魚雷発射管を片舷に2基ずつ計4基装備している。このため、火力は前方及び側面に限定されるが、これは、艦底中央部と艦後部上面に各種探査装置類を装備し、情報収集と通信能力の強化した、パトロール艦の運用目的に則した配置であるテンプレート:要出典[3]。
- 搭載機
- 『さらば宇宙戦艦ヤマト』のゆうなぎには、脱出カプセル(内火艇)が設定されたが、劇中に登場しなかった。
- 『宇宙戦艦ヤマトIII』で、藤堂長官が乗っていた艦では、救命艇に似た形状をした連絡艇を搭載しており、ガルマン・ガミラス工作母艦に乗り入れている。舷側の発進口より離着陸を行う。
諸元
全長 | 150m [180m][4][190m]<バンダイ宇宙戦艦ヤマトメカコレクション> |
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全幅 | 26.6m [31.5m][4] |
全高 | |
基準排水量 | 5900t 「[23500t][5][25000t]]<バンダイ宇宙戦艦ヤマトメカコレクション> |
主機 | 波動エンジン×1基 |
乗員 | |
武装 |
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搭載艇 |
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- [ ]内は、書籍、ゲームソフト、プラモデル、コミカライズなどの設定。詳細は、脚注・出典を参照の事。空欄は不明な項目である。
劇中での登場
- 『さらば宇宙戦艦ヤマト』
- 第11艦隊の旗艦と登場。艦名は「ゆうなぎ(夕凪)」である[7]。白色彗星帝国の襲撃によって大破し、第11番惑星付近で航行不能になっていたところを、ヤマトに発見され、唯一の生存者である艦長の土方竜が救出される。
- 『宇宙戦艦ヤマト2』
- 第1話において、ヤマトを旗艦とする太陽系外周第3艦隊にパトロール艦が配備されている。その中に登場する303号艦の艦名は「ゆうだち(夕立)」である。[8]劇中の画面には登場しないが、太陽系侵攻を開始したバルゼー艦隊発見の第一報をタイタン基地に報告している[9]。なお、第21話のヒペリオン艦隊の巡洋艦は、パトロール艦に準じた塗装となっており、両者の描写が混同されている。
- 『宇宙戦艦ヤマトIII』
- 第9話では、ケンタウルス座駐留の警備艇が、身重となった山上トモ子と、京塚ミヤコ含むヤマトの女性乗組員を乗せ、地球に帰還させた。
- 第18話では、地球にいた藤堂長官と藤堂晶子が、太陽制御に来たフラウスキー技術少佐率いるガルマン・ガミラス帝国工作船団を出迎えるために、警備艇を使用した。
- 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』
- ディレクターズカット版でのみ登場。カスケード・ブラックホールの接近に伴う人類の地球脱出において、アンドロメダ級戦艦の12番艦アンドロメダA12と共に内惑星救助部隊として取り残された人々の救助を行っている。
- なお、本作に登場する本級は全て輸送船に酷似したカーゴを牽引している。[10]
- PSゲーム版
- プレイステーションゲームソフト『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士達』では、カイパーベルト宙域でヤマトに救援を求めるパトロール艦「うずしお」が登場する。プレイヤーによる操作も可だが、対空装備が貧弱なので艦載機の攻撃には弱く、撃沈されるとシナリオランクに影響するので、敵駆逐艦隊はともかく、大型ミサイルや敵機とは会敵させないのが基本となる。
脚注・出典
- 元の位置に戻る ↑ 『さらば宇宙戦艦ヤマト』の設定では、太陽系外中距離外周艦隊の所属。
- 元の位置に戻る ↑ デザイン担当の宮武一貴によれば、パトロール艦と巡洋艦は同一の艦体で付属品を変更したバリエーション違いとして、パトロール艦は軽武装艦、巡洋艦は重武装艦して描かれていることから準同型艦の関係であると推察される。「PS版さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 設定資料集」(株式会社スタジオDNA書籍編集部)の、当時を振り返ったインタビュー記事(P114 - 115)より。
- 元の位置に戻る ↑ 主砲を艦首側にしか持たない(ダブルエンダーではない)戦闘艦は、現在でも珍しくない。
- ↑ 以下の位置に戻る: 4.0 4.1 テレビランド増刊「宇宙戦艦ヤマト総集号」より。
- 元の位置に戻る ↑ 宇宙戦艦ヤマト発信!情報班資料室」
- 元の位置に戻る ↑ バンダイ(現バンダイナムコ)から発売されていた過去の巡洋艦のプラモデルに「大型のショックカノン(大口径衝撃砲)であるらしい」と記述する資料が存在するが、『宇宙戦艦ヤマト2』でアンドロメダ以下の波動砲搭載艦が白色彗星帝国に向けて波動砲を一斉発射した際、巡洋艦も艦首から波動砲を発射していた。
- 元の位置に戻る ↑ 地球防衛艦隊の日本所属艦艇の名称は平仮名表記が正式であると推定される。
- 元の位置に戻る ↑ 「ロマンアルバムエクセレント53 宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL1」(徳間書店・1983)の「ヤマト2」第1話ストーリー紹介より。なお、劇中では輸送艦と呼称。
- 元の位置に戻る ↑ 劇中では太陽系外周艦隊所属の第三空域偵察艦との呼称であるが、設定を考慮すればパトロール艦と推察できる。
- 元の位置に戻る ↑ 『モデルアート7月号増刊 HYPERWEAPON2011 神なる永遠の黄昏』
参考文献
- 「デラックス版 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」、株式会社オフィス・アカデミー。
- 「ロマンアルバムエクセレント53・54 宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL1・2」、徳間書店、1983年。
- 「PS版さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 設定資料集」、株式会社スタジオDNA書籍編集部。
- 「情報班資料室 地球防衛軍艦隊(対白色彗星帝国戦時)」、東北新社。