永江朗
永江 朗(ながえ あきら、1958年5月9日 - )は、北海道旭川市出身の著作家。
来歴・人物
北海道旭川東高等学校、法政大学文学部哲学科卒業。西武百貨店系洋書店であるアール・ヴィヴァンに約7年間勤務した後、雑誌『宝島』や『別冊宝島』などの編集・ライターを経て、1993年頃よりライター業を本職とする。各種新聞・雑誌に署名記事をものする。
取り上げる題材は広範にわたり、「哲学からアダルトビデオまで」を標榜する。読書術やインタビューに関する著作を多数刊行している。処女出版『菊地君の本屋』においてヴィレッジヴァンガ-ドを取り上げて以来、個性的な書店を訪問して紹介する仕事も多く手掛け、出版文化産業の事情に明るい。加えて(財)出版文化産業振興財団にて読書アドバイザー養成講師を務めたり、新書マップの制作に携わるなどしている。
ほかに書評など評論活動も行う。百貨店での勤務経験を元にした、経営方法からの批評を特徴とする。2001年には、文芸評論家福田和也の『作家の値うち』に示唆され、同時代の44人の批評家を論じた読み物『批評の事情』を足したが、批評家・山形浩生に周到に反論された。石原慎太郎、小林よしのりら保守系の文化人や、保守派の政治家を嫌い、痛烈に罵倒しているが、福田和也に対する正面からの批判は避けている。
2008 - 2010年度、早稲田大学文化構想学部客員教授(出版流通論、近代出版文化史)、2010-13年文学学術院教授。
HBCラジオ「山ちゃん美香の朝ドキッ!」内「ちょっと旅してみませんか(毎週月曜)」に電話で出演している。
2012年7月19日発売の『kobo Touch』を予約して購入したが、届いてから3日目に返品したと明かしている。
東日本大震災からの復興支援事業として、東北でのデジタルデータ化作業による雇用創出や、被災地からの情報発信促進をめざし、出版社が電子書籍として発売する印刷物のデジタルデータ化を国が補助する「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」において同事業を受託した社団法人「日本出版インフラセンター」(JPO)からの依頼で、書目選定審査委員長を務めた。
著書
単著
- 『菊地君の本屋 ヴィレッジヴァンガ-ド物語』アルメディア 1994
- 『不良のための読書術』筑摩書房 1997 / ちくま文庫 2000
- 『アダルト系』アスキー 1998 / ちくま文庫 2001
- 『ブンガクだJ! 不良のための小説案内』イーハトーヴ 1999
- 『消える本、残る本』編書房 2001
- 『批評の事情 不良のための論壇案内』原書房 2001 / ちくま文庫 2004
- 『インタビュー術!』講談社現代新書 2002
- 『ベストセラーだけが本である』筑摩書房 2003
- 『平らな時代 おたくな日本のスーパーフラット』原書房 2003
- 『〈不良〉のための文章術 書いてお金を稼ぐには』NHKブックス 2004
- 『狭くて小さいたのしい家』原書房 2004
- 『いまどきの新書 12のキーワードで読む137冊』原書房 2004
- 『恥ずかしい読書』ポプラ社 2004
- 『作家になるには』ぺりかん社 2004
- 『メディア異人列伝 1993→2004』晶文社 2005
- 『話を聞く技術!』新潮社 2005 / 改題「聞き上手は一日にしてならず」新潮文庫 2008
- 『ブックショップはワンダ-ランド』六耀社 2006
- 『新・批評の事情 不良のための論壇案内』原書房 2007
- 『暮らしの雑記帖 狭くて楽しい家の中』ポプラ社 2007
- 『本の現場 本はどう生まれ、だれに読まれているか』ポット出版 2009
- 『書いて稼ぐ技術』平凡社新書 2009
- 『セゾン文化は何を夢みた』朝日新聞出版 2010
- 『筑摩書房 それからの四十年』筑摩選書 2011 ※創業70周年記念出版
- 『広辞苑の中の掘り出し日本語』バジリコ 2011
- 『そうだ、京都に住もう。』京阪神エルマガジン社 2011
- 『男と女の日本語 広辞苑の中の掘り出し日本語』バジリコ 2012
- 『本を味方につける本 自分が変わる読書術』河出書房新社 2012
共著
- 『古本屋ビジネス 大量出版時代の"商い"』山岡檀・浅野恭平・佐藤孔亮・大津なほ子 アルメディア 1996
- 『超激辛爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?』井家上隆幸・安原顯 編書房 1999
- 『出版クラッシュ!? 書店・出版社・取次 崩壊か再生か』安藤哲也・小田光雄 編書房 2000
- 『ぢょしえっち』岡山らくだ ワイレア出版 2003
- 『ミステリーファンのための警察学読本』斉藤直隆・むらやまじゅん アスペクト 2004
- 『本(あたらしい教科書2)』プチグラパブリッシング 2006
- 『哲学個人授業 〈殺し文句〉から入る哲学入門』鷲田清一 バジリコ 2008
- 『いい家は「細部」で決まる』大和ハウス工業総合技術研究所共著 2012 新潮新書
脚注
関連項目
- アトリエ・ワン - 永江邸を設計した建築家。家造りの詳細は『狭くて小さいたのしい家』(原書房、2004年)にまとめられた。
- 噂の眞相 - 常時連載していた雑誌。連載は『メディア異人列伝』(晶文社、2005年)として刊行。
外部リンク
- 本と本屋さんの夕日(永江による連載コラム)