トータル・リコール
テンプレート:Infobox Film 『トータル・リコール』(原題: Total Recall)は、1990年のアメリカ映画。フィリップ・K・ディックが1966年に発表した短編小説『追憶売ります』(We Can Remember It for You Wholesale)を映画化したSF映画である。
アカデミー賞では視覚効果賞および特別業績賞(視覚効果)を受賞した。音響効果賞、録音賞にもノミネートされた。
目次
あらすじ
火星の夢とリコール社
近未来。火星には植民地があり、多くの人類が居住しているが、酸素が薄いためマスク無しでは建物の外に出られず、「エネルギー採掘会社と反乱分子との間で紛争が絶えない」と連日報じられている。
ダグラス・クエイドはごく普通の建設労働者で、結婚8年になる妻のローリーと2人暮らし。彼は毎夜、行ったことの無い火星の夢に悩まされていた。「火星に移住したい」との想いをローリーに伝えるも一蹴されたクエイドは、列車内で偶然「旅行の記憶を売る」というリコール社(Rekall)の広告を見つける。
同僚の労働者ハリーから反対されながらも、クエイドはリコール社へ出向き、「秘密諜報員として火星を旅する」というコースを選択、注射によって眠りにつくが、突然クエイドはわめきながら暴れだした。しかし、記憶の植えつけ処置はまだ行われていない。トラブルを恐れるリコール社はクエイドに麻酔をかけ、リコール社に来た記憶自体を消し、タクシーに乗せ自宅へ送り出す。
帰宅途中、ハリーを含む謎のグループに襲われるクエイドだったが、クエイドはその全員を撃退。たどり着いた自宅でも、ローリーの攻撃を受ける。クエイドに取り押さえられたローリーは「クエイドとの記憶は全てニセモノであり、自分は妻ではなく、クエイドの監視役である」と告げる。混乱するクエイドのもとへ迫るリクターとその部下たち。何とか彼らを振り切ったクエイドは、謎の男からカバンを受取る。その中のパソコンのモニターに、クエイドと全く同じ顔をしたハウザーと名乗る男が現れ、「クエイドとは、ハウザーが事情により記憶を消された仮の姿である」と語った。カバンに入った金や偽造身分証を使い、クエイドは火星へ向かう。
そして火星へ
火星で出会ったのは、以前夢で見たことのある黒髪の女性メリーナ。メリーナはクエイドをハウザーと呼ぶが、ハウザーだった過去を思い出せないクエイド。彼がホテルの部屋へ着くと、突然妻のローリーと見知らぬ男が現れ、「クエイドは現実には火星にはおらず、まだリコール社で夢を見ている。夢から覚めるため薬を呑め」と迫る。怪しんだクエイドが男を射殺すると、正体を現したローリーとその部下たちによって拉致されかけるが、そこへメリーナが参上。ローリー達を倒したクエイドとメリーナは逃亡する。
クエイドは反乱分子の首領であるミュータントのクワトーと対面。その超能力により記憶の一部を取り戻したことで、「火星には50万年前にエイリアンが作ったリアクターがあり、それを使って酸素を作り出せるが、採掘業者による火星支配の邪魔になるため世間には伏せられている」という事実を知る。
しかし、クエイドが火星で出会ったタクシー運転手ベニーの裏切りによってクワトーは殺され、クエイドは採掘会社総督コーヘイゲンのもとに連行される。コーヘイゲンは「ハウザーは自分の部下であり、クワトーの居所をつかむため、記憶を消しクエイドとして地球へ送りこんだ」と語り、リコール社と同様の装置でクエイドをハウザーに戻そうとする。
反乱分子に共感していたクエイドは装置を破壊し脱出、銃撃戦の末にリクターとコーヘイゲンを倒すと同時にリアクターを作動させる。火星は酸素に包まれ、火星の民衆は圧政から解放された。クエイドは「これも夢かもしれない」と思いつつも、メリーナとキスをする。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
VHS・DVD版 | テレビ朝日版 | ||
ダグラス・クエイド / ハウザー | アーノルド・シュワルツェネッガー | 屋良有作 | 玄田哲章 |
ローリー | シャロン・ストーン | 高島雅羅 | 小山茉美 |
メリーナ | レイチェル・ティコティン | 戸田恵子 | 弥永和子 |
コーヘイゲン | ロニー・コックス | 家弓家正 | 中村正 |
リクター | マイケル・アイアンサイド | 内海賢二 | 羽佐間道夫 |
ジョージ / クワトー | マーシャル・ベル | 池田勝 / 辻村真人 | 麦人 / 吉水慶 |
ベニー | メル・ジョンソン・Jr | 田中亮一 | 樋浦勉 |
エッジマー | ロイ・ブロックスミス | 筈見純 | 阪脩 |
マクレーン | レイ・ベイカー | 有本欽隆 | 小川真司 |
ヘルム | マイケル・チャンピオン | 稲葉実 | 大塚芳忠 |
ドクター・ラル | ローズマリー・ダンスモア | さとうあい | |
アーニー | デビッド・ネル | 高宮俊介 | 島田敏 |
ティファニー(リコール社の受付) | アレクシア・ロビンソン | 松本梨香 | 小林優子 |
ハリー | ロバート・コスタンゾ | 島香裕 | 麦人 |
エヴェレット | マルク・アレイモ | 西村知道 | 千田光男 |
タクシードライバーの声 | ロバート・ピカード | ||
トニー | ディーン・ノリス | 田原アルノ | 秋元羊介 |
バーテンダー | マーク・カールトン | 島香裕 | 辻親八 |
メアリー | リリシア・ナフ | 滝沢久美子 | |
入国管理官 | ケン・ストロースバーグ | 高宮俊介 | |
大柄な女性 | プリシラ・アレン | 片岡富枝 | さとうあい |
ホテルのフロント係 | ケン・ギルディン | 高宮俊介 | 田中正彦 |
エージェント | ロジャー・カドニー | 辻親八 | 幹本雄之 |
レジスタンスの男 | マイケル・グレゴリー | 有本欽隆 | 水野龍司 |
頑丈な鉱夫 | ミッキー・ジョーンズ | 池田勝 | 吉水慶 |
その他又は役不明 | 星野充昭 中沢みどり 紗ゆり |
中博史 竹口安芸子 麻生侑里 叶木翔子 | |
演出 | 蕨南勝之 | ||
翻訳 | 武満眞樹 | 平田勝茂 | |
調整 | 金谷和美 | 蝦名恭範 | |
効果 | 佐藤良介 | ||
担当 | 吉富孝明 | ||
プロデューサー | 猪谷敬二 | ||
制作 | ニュージャパンフィルム | ||
初回放送 | 1992年4月5日 『日曜洋画劇場』 |
作品解説
映画全体が夢であったか
映画およびDVD版とは違い、日本語吹き替えVHSビデオ版では日本語版スタッフの手で「全ては夢(装置による記憶)だった」というカットが加えられる。DVDの音声解説によるとこれは破棄された設定ではなく、ホワイトアウトによる映画のラストシーンは「夢であった」という事を示唆している。テンプレート:要出典範囲
漫画
日本公開直前に小学館の学年別学習雑誌『小学六年生』にダイジェスト版として漫画化されている。主に登場するのはクエイド、メリーナ、コーヘイゲンで、リコール社やローリーなどは登場しない。クワトーもセリフはあるが姿は影に包まれたものとなっている。エンディング以外の全編を駆け足で書いた作品になっている。
エピソード
主演のシュワルツェネッガーが2003年にカリフォルニア州知事選挙出馬を決めたのは、当時の州知事であるグレイ・デイヴィス(Gray Davis)がリコールされたことが直接のきっかけであったが、それを報じた現地のタブロイド紙の見出しは “Total Recall” であった。彼の自伝のタイトルも“Total Recall: My Unbelievably True Life Story ISBN 978-1451662436 である。
リ・イマジネーション
テンプレート:Main 2012年にレン・ワイズマン監督によるリ・イマジネーション作品[1]が公開された。主演はコリン・ファレル、配給はコロンビア映画。