ばんえい記念
テンプレート:競馬の競走 ばんえい記念(ばんえいきねん)とは、帯広市が帯広競馬場で開催するばんえい競馬の重賞競走(BG1)である。農林水産大臣が賞を提供しており、名称は「農林水産大臣賞典 ばんえい記念」と表記される。
正賞は農林水産大臣賞、地方競馬全国協会理事長賞、帯広市長賞。
概要
毎年度のばんえい最強馬を決定すると共に、開催年度の締めくくりを飾る重賞競走。1968年に創設され、現存するばんえい競馬の重賞競走では最も歴史が長い。なお、これ以前にも開催年度末に同様の競走は行われていたが、記録が残っていないことなどの理由から本競走には含めていない[1]。
2003年度(2004年)より制定された「ばんえいグレード」ではBG1に格付けされており、馬はもとより騎手や調教師にとっても本競走を制することが最大の目標となっている。また、事実上ばんえい競馬の年度代表馬となる「NARグランプリばんえい最優秀馬」にも本競走の優勝馬が多く選ばれ、選定上重要な要素となっている[注 1]。
創設から1997年度(1998年)[注 2]までは「農林水産大臣賞典(のうりんすいさんだいじんしょうてん。「大臣賞」と略されることもある)」の名称で施行していた。長年使用していた名残から、以後も「大臣賞」の表現が時折使われることがある[2]。旧名称で施行していた時期は回次を表示しておらず、1998年度(1999年)より現名称に改称した際、初めて「(創設時から通算して)第31回」と表示された。なお、記事内では「各回競走結果の出典」に基き、1998年までの競走にも回次を表記している。
1987年までは帯広のほか北見・旭川・岩見沢の各競馬場が持ち回りで施行していたが、1988年以降は帯広に固定された。
施行時期は当初10月-11月で定着していたが開催日程の延長に伴い順次延期され、1994年度から年明けの1月に開催[注 3]、1998年度(1999年)からは2月開催に変更された後、2005年度(2006年)からは通年開催[注 4]の実施に伴い3月の開催となった。
広域場外発売も通常より拡大されたり、全国発売される場合がある。なお、発売箇所については主催者発表などで確認のこと。
競走条件・賞金
- 競走条件
- 4歳以上オープン
- ばんえい重量
- 定量(4・5歳990kg、6歳以上1000kg、牝馬20kg減)
- ばんえい競馬の全競走を通じて、最高重量が設定されている。
- 賞金(2013年度)
- 1着賞金は500万円で、以下2着125万円、3着60万円、4着40万円、5着25万円[3]。
1着賞金の変遷
- 第1回:20万円[4]
- 第2回-第5回:不明
- 第6回:150万円
- 第7回:300万円
- 第8回:400万円
- 第9回-第11回:500万円
- 第12回:600万円
- 第13回-第15回:650万円
- 第16回-第21回:700万円
- 第22回-第35回:1000万円
- 第36回-第39回:700万円
- 第40回-第44回:500万円
- 第45回:300万円
- 第46回:500万円
第45回(2013年)はばんえい競馬における馬主の出走手当を維持することを優先し、額の飛び抜けて大きいばんえい記念の賞金が削減された[5]。その後、ばんえい競馬へ寄せられた寄付金をもとに、賞金とは別に1着馬に対して200万円の特別報奨金が設定された[6]。第46回(2014年)は、優勝賞金が再び500万円に戻された[7]。
特色
ばんえい競馬の中でも特殊な競走条件で行われることから、2003年から2006年まで4連覇したスーパーペガサス、2007年から2009年まで3連覇したトモエパワーなど同一馬による複数回優勝の例が多い。牝馬の優勝馬はダイニミハル(1974年・1976年)とキヨヒメ(1979年・1981年・1982年)の2頭のみで、特に最高1000kgで行われるようになった1977年以降ではキヨヒメのみ[2]。高齢馬が強く、優勝馬の平均馬齢は第39回(2007年)までで8.28歳[8]。第46回(2014年)終了時現在で4歳(2000年までの表記では5歳)馬の優勝はなく、5歳(同、6歳)馬が優勝したのも第2回・第12回・第21回・第22回の4度のみ。
優勝タイムも3分を切ることは少なく、多くの場合は3分-4分以上かかるほか、長い場合は優勝タイムが5分を超えることもあり、日本の公営競技では優勝タイムが長くかかる競走のひとつである[2][注 5]。最高重量1000kgで行われるようになった1977年以降、優勝タイムが3分未満だったのは4回(1979年・1980年・1992年・2012年)しかない。また、優勝タイムが5分を超えたケースは1977年以降だけでみると3回、1976年以前も含めれば6回ある。2007年度(2008年)の優勝タイムは5分35秒8で、最高重量1000kgで行われるようになった1977年以降では最も遅い[注 6]。また、スタートから最下位の馬が入線するまで(レース全体)の所要時間も大半が5分以上かかっており[注 7]、近年は7分を超えるケースが多いほか、さらに長い場合は10分前後かかることもある。このためレース全体の所要時間としては全公営競技を通じて最長となり、重賞の勝ち馬であっても完走すら難しい場合があるほか、完走してもタイムオーバーで失格となる場合があるなど、文字通りの過酷な競走である。通常の競走では概ね第1障害を難なく通過するが、このばんえい記念では第1障害ですら通過に手間取る馬がみられることもある。全馬が入線するまで見届けようとする観客も一部おり、最後の馬が入線した際には場内から拍手が起こることもある[7][9]。
発走前に演奏するファンファーレは、帯広単独開催となった2007年度(2008年)より陸上自衛隊第5音楽隊(帯広駐屯地)による生演奏が通例となっている[10][11](2011年は震災対応のため行われなかった)。演奏時は現在のばんえい重賞競走用ファンファーレとリニューアル前の旧重賞ファンファーレを併用し、旧ファンファーレ→現ファンファーレの順に2曲続けての生演奏を行っている[12]。現在、ばんえい競馬の重賞競走で旧重賞ファンファーレが演奏されるのは本競走のみ。
騎手の主な記録
2013年度(2014年)終了時までにおける騎手別の優勝回数は金山明彦が6勝で歴代最多。現役騎手では藤野俊一の5勝が最多となっている。
歴代優勝馬
前述の通り、1998年までは正式な回次がなかったため、検索の便宜上第1回-第30回までの回次を※印つきで表示している。
競走名は※第30回まで「農林水産大臣賞典」、第31回より「ばんえい記念」。
優勝馬の馬齢は2000年まで旧表記、2001年以降は現表記。
競走条件は1969年まで甲級、1973年までA級、1974年は6歳以上オープン、1975年から1993年は4歳以上オープン。
回数 | 施行日 | 開催地 | 天候 | 馬場 水分 |
優勝馬 | 性齢 | ばんえい 重量 |
タイム | 優勝騎手 | 管理調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
テンプレート:Center | 1968年8月3日 | 岩見沢 | 晴 | 稍重 | トーホクイチ | 騸8 | 850 | 5:07.3 | 遠藤久夫 | 遠藤久夫 |
テンプレート:Center | 1969年10月19日 | 旭川 | 晴 | 軽 | ハルトカチ | 騸6 | 1100 | 6:10.6 | 中西関松 | 中西関松 |
テンプレート:Center | 1970年11月1日 | 岩見沢 | 曇 | 軽 | ハルトカチ | 騸7 | 900 | 3:48.9 | 中西関松 | 中西関松 |
テンプレート:Center | 1971年10月10日 | 旭川 | 晴 | 軽 | シヤリイチ | 騸10 | 850(+250) | 5:50.0 | 平田正一 | 平田正一 |
テンプレート:Center | 1972年11月3日 | 岩見沢 | 晴 | 軽 | シヤリイチ | 騸11 | 850(+250) | 3:47.5 | 山田勇作 | 山田勇作 |
テンプレート:Center | 1973年9月2日 | 旭川 | 曇 | 軽 | カツタロー | 騸7 | 700(+250) | 2:35.2 | 金山明彦 | 野々宮重樹 |
テンプレート:Center | 1974年11月3日 | 岩見沢 | 曇 | 6.0% | ダイニミハル | 牝9 | 740(+250) | 2:26.9 | 木村卓司 | 木村与惣治 |
テンプレート:Center | 1975年11月9日 | 帯広 | 雨 | 6.5% | トクヨオーザ | 騸8 | 760(+250) | 2:29.7 | 山田勇作 | 山田勇作 |
テンプレート:Center | 1976年10月24日 | 旭川 | 曇 | 3.0% | ダイニミハル | 牝11 | 640(+300) | 4:02.3 | 木村卓司 | 木村与惣治 |
テンプレート:Center | 1977年11月13日 | 帯広 | 晴 | 2.5% | ニジヨウホウ | 騸10 | 1000 | 4:12.0 | 木村卓司 | 木村与惣治 |
テンプレート:Center | 1978年11月12日 | 北見 | 晴 | 1.3% | ハクリユウ | 牡7 | 1000 | 4:08.3 | 大友榮司 | 嘉見次夫 |
テンプレート:Center | 1979年10月21日 | 旭川 | 晴 | 6.5% | キヨヒメ | 牝6 | 990 | 2:36.8 | 山田勇作 | 林正男 |
テンプレート:Center | 1980年11月9日 | 岩見沢 | 雪 | 3.1% | ダイケツ | 牡7 | 1000 | 2:43.2 | 金山明彦 | 林正男 |
テンプレート:Center | 1981年11月15日 | 帯広 | 雨 | 3.4% | キヨヒメ | 牝8 | 990 | 4:16.8 | 水上勲 | 林正男 |
テンプレート:Center | 1982年11月21日 | 北見 | 曇 | 1.5% | キヨヒメ | 牝9 | 990 | 5:09.6 | 水上勲 | 林正男 |
テンプレート:Center | 1983年10月23日 | 旭川 | 曇 | 3.3% | キンタロー | 牡7 | 1000 | 3:40.2 | 尾ケ瀬富雄 | 谷内二三松 |
テンプレート:Center | 1984年10月28日 | 岩見沢 | 曇 | 7.0% | ハイスピード | 牡7 | 1000 | 3:07.6 | 工藤正男 | 松井浩 |
テンプレート:Center | 1985年11月24日 | 帯広 | 晴 | 5.3% | キンタロー | 牡9 | 1000 | 3:53.7 | 尾ケ瀬富雄 | 谷内二三松 |
テンプレート:Center | 1986年12月7日 | 北見 | 曇 | 2.4% | キンタロー | 牡10 | 1000 | 3:43.4 | 金山明彦 | 尾ケ瀬富雄 |
テンプレート:Center | 1987年10月25日 | 旭川 | 曇 | 1.9% | ハクマサヒカリ | 牡10 | 920 | 4:15.2 | 皆川公二 | 前原芳郎 |
テンプレート:Center | 1988年11月27日 | 帯広 | 雨 | 7.4% | ニユーフロンテヤ | 牡6 | 1000 | 3:20.4 | 久田守 | 前原芳郎 |
テンプレート:Center | 1989年12月10日 | 帯広 | 晴 | 2.5% | イエヤス | 牡6 | 1000 | 5:32.2 | 西弘美 | (東川)山本幸一[注 8] |
テンプレート:Center | 1990年12月24日 | 帯広 | 曇 | 2.3% | タカラフジ | 牡10 | 1000 | 4:37.3 | 久田守 | 小北定一 |
テンプレート:Center | 1991年12月15日 | 帯広 | 晴 | 2.0% | ヒカルテンリユウ | 牡9 | 1000 | 4:42.5 | 金山明彦 | 大友栄司 |
テンプレート:Center | 1992年12月23日 | 帯広 | 晴 | 7.0% | テンシヨウリ | 牡9 | 1000 | 2:59.1 | 藤本匠 | 田上忠夫 |
テンプレート:Center | 1993年12月23日 | 帯広 | 曇 | 3.0% | マルゼンバージ | 牡8 | 1000 | 3:31.7 | 金山明彦 | 大友栄司 |
テンプレート:Center | 1995年1月15日 | 帯広 | 晴 | 3.0% | フクイチ | 牡7 | 1000 | 4:02.6 | 西康幸 | 晴披孝治 |
テンプレート:Center | 1996年1月28日 | 帯広 | 晴 | 2.7% | マルゼンバージ | 牡10 | 1000 | 4:33.1 | 金山明彦 | 大友栄司 |
テンプレート:Center | 1997年1月26日 | 帯広 | 晴 | 2.5% | フクイチ | 牡9 | 1000 | 4:36.9 | 西弘美 | 山田勇作 |
テンプレート:Center | 1998年1月25日 | 帯広 | 晴 | 4.7% | フクイチ | 牡10 | 1000 | 3:29.9 | 西弘美 | 山田勇作 |
テンプレート:Center | 1999年2月7日 | 帯広 | 曇 | 2.4% | シマヅショウリキ | 牡8 | 1000 | 3:59.2 | 藤野俊一 | 水上勲 |
テンプレート:Center | 2000年2月6日 | 帯広 | 曇 | 1.8% | シマヅショウリキ | 牡9 | 1000 | 3:58.8 | 藤野俊一 | 水上勲 |
テンプレート:Center | 2001年2月18日 | 帯広 | 晴 | 0.9% | サカノタイソン | 牡7 | 1000 | 3:42.3 | 大河原和雄 | 西邑春夫 |
テンプレート:Center | 2002年2月17日 | 帯広 | 曇 | 2.4% | サカノタイソン | 牡8 | 1000 | 4:16.4 | 藤本匠 | 西邑春夫 |
テンプレート:Center | 2003年2月16日 | 帯広 | 曇 | 2.2% | スーパーペガサス | 牡7 | 1000 | 4:19.8 | 岩本利春 | 大友栄人 |
テンプレート:Center | 2004年2月22日 | 帯広 | 雪 | 6.9% | スーパーペガサス | 牡8 | 1000 | 3:07.8 | 岩本利春 | 大友栄人 |
テンプレート:Center | 2005年2月20日 | 帯広 | 小雪 | 9.2% | スーパーペガサス | 牡9 | 1000 | 3:15.3 | 藤野俊一 | 大友栄人 |
テンプレート:Center | 2006年3月26日 | 帯広 | 晴 | 4.6% | スーパーペガサス | 牡10 | 1000 | 4:36.1 | 藤野俊一 | 大友栄人 |
テンプレート:Center | 2007年3月25日 | 帯広 | 晴 | 4.4% | トモエパワー | 牡7 | 1000 | 4:50.6 | 坂本東一 | 松井浩文 |
テンプレート:Center | 2008年3月23日 | 帯広 | 晴 | 0.6% | トモエパワー | 牡8 | 1000 | 5:35.8 | 西弘美 | 松井浩文 |
テンプレート:Center | 2009年3月29日 | 帯広 | 晴 | 2.3% | トモエパワー | 牡9 | 1000 | 4:50.8 | 西弘美 | 松井浩文 |
テンプレート:Center | 2010年3月28日 | 帯広 | 晴 | 4.6% | ニシキダイジン | 牡9 | 1000 | 4:24.8 | 藤野俊一 | 金田勇 |
テンプレート:Center | 2011年3月27日 | 帯広 | 晴 | 0.9% | カネサブラック | 牡9 | 1000 | 4:07.7 | 松田道明 | 松井浩文 |
テンプレート:Center | 2012年3月25日 | 帯広 | 曇 | 5.1% | ニシキダイジン | 牡11 | 1000 | 2:34.0 | 鈴木恵介 | 村上慎一 |
テンプレート:Center | 2013年3月24日 | 帯広 | 晴 | 1.8% | カネサブラック | 牡11 | 1000 | 3:43.1 | 松田道明 | 松井浩文 |
テンプレート:Center | 2014年3月23日 | 帯広 | 晴 | 2.7% | インフィニティー | 牡8 | 1000 | 4:13.2 | 浅田達矢 | 金田勇 |
脚注
出典
各回競走結果の出典
- ばんえい記念 歴代優勝馬(地方競馬全国協会) - 1973年以降確認可能
参考文献・外部リンク
- ばんえい競馬公式サイト内特設ページ
- Webハロン2013(レースハイライト)
- 私設ばんえい競馬資料館
- ばんえい競馬公式サイト内「ばんえいシアター」 - 本年度・前年度のレース映像が閲覧可能
- ↑ うまナビ - ばんえい記念あれこれ(上)北海道新聞帯広支社
- ↑ 2.0 2.1 2.2 テンプレート:Cite web
- ↑ 第46回ばんえい記念(競走成績) - 地方競馬全国協会、2014年8月18日閲覧
- ↑ うまナビ - ばんえい記念あれこれ(下)北海道新聞帯広支社
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 7.0 7.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
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