ちゃんちゃん焼き
ちゃんちゃん焼き(ちゃんちゃんやき)は鮭などの魚と野菜を鉄板で焼いた料理。北海道の漁師町の名物料理である。
ちゃんちゃん焼きは、2007年に農林水産省の主催で選定された農山漁村の郷土料理百選において、ジンギスカン、石狩鍋と共に、北海道を代表する郷土料理として選出されている[1]。
作り方
一般的には、鮭をメインの食材にすることがほとんどだが、ニジマスなど他の魚を使うこともある。その他の具材としては、玉葱や長葱、キャベツ、モヤシ、ピーマン、人参などの野菜を用いる。
またカラフトマスやサクラマスは小型の鉄板のみならずホットプレートでも調理しやすい手ごろなサイズであり、食味や食感がこの料理に合うために特に漁業の盛んな沿岸部等で古くから好んで利用されてきた。
鮭のちゃんちゃん焼きは、おおよそ以下のようにして作る。
- 野菜をあらかじめ適当な大きさに切っておく。
- 一尾分の鮭の半身を用意し、塩、コショウをしておく。
- バーベキュー用のような大きな鉄板を用意し、熱してバターを敷く。
- あらかじめ適当な大きさに切っておいた野菜を鉄板の中央を空けて置き、真ん中に鮭を皮の方を下に向けて乗せる。
- 白味噌を酒で溶き、みりん、または砂糖を少量混ぜたものを、鮭の身に塗るか、鉄板の周りに流してから、アルミホイルなどをかぶせて蒸し焼きにする。
- 火が通ったら鮭の身を大きめにほぐし、野菜と混ぜ合わせる。
このようにして作った料理を、鉄板から直接取って食べる。
鮭漁が盛んな沿岸等の一部地域での調理法は都市部と若干異なり、以下のように作られる。
- 材料としては地元産のカラフトマスや鮭が利用されることが多いが海生の鮭鱒類全般が利用可能である。 一尾を三枚におろし半身づつを利用する。鮮度が良い魚を選び下味はつけない。 野菜ではキャベツ、玉ねぎ、長葱などが用いられるが、もやし、人参、ブナシメジなども人気の食材となっている。
- 味噌に日本酒、砂糖、みりん等を合わせたものが基本の味付けである。これにすりおろしたニンニクや一味唐辛子が加えられることもある。 稀にあらかじめ長ネギを加えておく場合もある。 使用されるみそは主に米味噌である北海道味噌のうち淡色味噌の利用が多い。また同じく米味噌の津軽味噌のうちでは、東北で人気の高い辛口の赤の津軽味噌ではなく、甘味噌で淡色味噌の津軽味噌が好んで用いられる。
- 熱した鉄板には通常サラダ油を用いる。バターを用いることは稀である。
- 海産魚である半身の鮭鱒は必ず最初は身の方から(皮を上にして)強火で焼く。
- ある程度火が通ったら焦げる前に魚の身を慎重にかえす。(皮を下にする)
- 2.の味噌を身を中心に塗る。周りにキャベツや玉ねぎなどの野菜を多めに入れ、野菜の上にも、味噌をかける。火力が弱い屋内での調理の場合はこの段階でふたをする場合もある。
- 各人の箸を用い加熱の加減に応じて身をほぐし、野菜と混ぜ合わせながら食べる。もしくは調理担当者がコテなどを用いて全体を程よく混ぜてから給する。この段階で小骨と皮を取り除く必要があるが、ほどよく火が通っていれば容易である。
- 味噌が焦げ全体が香ばしくなってくる終盤には火力を弱め、溶き卵を加えて白飯と共に締めとするのもよい。
語源について
何故この名称で呼ばれるのか、その由来は定かではない。説としては、「お父ちゃんが焼いて調理するから」[2]、「ちゃっちゃと(=素早く)作れるから」[2]、「鮭を焼くときに、鉄板がチャンチャンという音が立てるから」、「仕事中の漁師が親方の目を盗み、浜でスコップを使い鮭を焼いて食べたときにちゃんちゃんこで身を隠していたから」、「焚き火を起こすときの火打石の音から」、「できあがるのが待ちきれなくて、おはしで食器などを叩いた音がチャンチャン!と鳴っていたことから(テンプレート:誰範囲より)」、「鮭定置網は土俵と呼ばれる重しで固定されている[3]。古い時代には土俵の作成に大きな鋤簾(じょれん)が使われていた。当時浜では鋤簾の事をチャンチャンとよんでいた[4]。そのチャンチャンを鉄板代わりに利用して調理した事から命名された」、などがある。