パリ政治学院
パリ政治学院 (Institut d'Etudes Politiques de Paris)は社会科学系のグランゼコール(Grandes Écoles)でフランス屈指のエリート校。 略称 IEP。通称 Sciences-Po(シアンスポ)。
卒業生の進路は、企業への就職や大学院への進学のほか、フランス国立行政学院(ENA)へ進学する者が多いことが特徴である。
近年では、英語を使用した講義も積極的に取り入れ、留学生の受け入れを拡大している。 日本では、東京大学、一橋大学、北海道大学、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、同志社大学、立命館大学、京都外国語大学など数校と、国際交流協定を結んでいる。
目次
キャンパス
キャンパスは、パリ6区及び7区のサンジェルマン大通り沿い及びその周辺に位置する。また、学士課程(第一課程)の学生の一部は、ナンシー、ディジョン、ポワチエ、マントン、ル・アーヴルのサテライトキャンパスに所属している。
歴史
1872年 自由政治科学学院 École Libre des Sciences Politiques として設立。
1945年 当時の首相シャルル・ド・ゴールにより、学校の運営母体となる国立政治学財団 Fondation Nationale des Sciences Politiques とパリ政治学院とに改組。その後、ストラスブール、グルノーブル、ボルドー、エクス=アン=プロヴァンス、リール、リヨン、レンヌ、トゥールーズにも政治学院が設立された。
2001年 教育優先地区(ZEP)の高校出身者を対象とした特別選抜制度を開始。
教育課程
パリ政治学院の教育課程は、大学学部相当の第一課程(3年間)、修士課程相当の第二課程(2年間)及び博士課程に相当する第三課程で構成されており、第一課程から入学した学生は第二課程まで5年間の一貫教育を履修した後に卒業することとなる。
大学院
現在、パリ政治学院にはフランス語による修士課程と英語による修士課程がある。
フランス語による修士課程
- 国際関係学(Affaires internationales)
- 欧州関係学(Affaires européennes)
- 公共関係学(Affaires publiques)
- コミュニケーション・スクール(L'Ecole de la Communication)
- 法務キャリア(Carrières judiciaires et juridiques)
- 経済法(Droit économique)
- ジャーナリズム・スクール(L'Ecole de Journalisme)
- 財務戦略(Finance et stratégie)
- 人材管理(Gestion des ressources humaines)
- 文化・メディアマネジメント(Management de la culture et des médias)
- マーケティング研究(Marketing et Etudes)
- 地域及び都市戦略(Stratégies territoriales et urbaines)
- 都市学(Urbanisme)
英語による修士課程
- 公共政策修士(Master of Public Affairs、MPA)※全て英語
- 経済学公共政策修士(Master Economics and Public Policy)※全て英語(ENSAE国立統計・行政経済学院及びエコール・ポリテクニークとの共同コース)
- 企業・公共マネジメント大学院(Master in corporate and public management - Double diplôme Sciences Po HEC)※授業の半分が英語(HEC経営大学院との共同コース)
- 経営学修士(Master of Business Administration、MBA)※全て英語
二重学位制
パリ政治学院の一部のコースでは、コロンビア大学、東京大学公共政策大学院、ロンドン大学スクール・オブ・エコノミクス、ベルリン自由大学、ボッコーニ大学などの世界中の大学との間で二重学位制度を実施している。[1]
グローバル・パブリック・ポリシー・ネットワーク
特に公共政策修士課程(MPA)は、コロンビア大学SIPA、ロンドン大学スクール・オブ・エコノミクスMPA、東京大学公共政策大学院、シンガポール国立大学リー・クァン・ユー公共政策大学院との間で、2005年よりグローバル・パブリック・ポリシー・ネットワークを形成しており、これらの大学間では、共に二重学位制を採用している。
著名な出身者
政界
フランス
- フランソワ・ミッテラン(元大統領)
- ジャック・シラク(前大統領)
- ドミニク・ドビルパン(元外務大臣、前首相)
- リオネル・ジョスパン(元首相)
- アラン・ジュペ(ボルドー市長、元首相)
- エドゥアール・バラデュール(元首相)
- ローラン・ファビウス(元首相)
- ユベール・ヴェドリーヌ(元外務大臣)
- ローラン・デュマ(元外務大臣)
- ジャン・アルテュイ(元経済財政大臣)
- ドミニク・ビュスロ(元農業・漁業大臣)
- ジャック・サンテール(元欧州委員会委員長)
- ミシェル・バルニエ(元外務大臣)
- エルヴェ・ゲマール(元経済財政大臣、農業・食糧・地方問題担当大臣)
- コリーヌ・ルパージュ(元環境大臣)
- ドミニク・ペルベン(元法務大臣)
- ジャック・ラング(元国民教育大臣)
- セゴレーヌ・ロワイヤル(元国民教育大臣、環境大臣)
- フランソワ・オランド(元フランス社会党第一書記)(現フランス大統領)
- ジャン・ピエール・シュヴェーヌマン(元内務大臣)
- マルティーヌ・オブリー(リール市長フランス社会党第一書記)
- ブルーノ・ゴルニッシュ(フランス国民戦線全国代表)
フランス以外
行政・官界
国際機関
- ブトロス・ブトロス=ガーリ(元国際連合事務総長)
- パスカル・ラミー(現世界貿易機関事務総長、元欧州委員会貿易政策担当委員)
- ドミニク・ストロス・カーン(IMF専務理事、元フランス経済財政大臣)
- ジャック・アタリ(初代欧州復興開発銀行総裁)
- フランチェスコ・フランジャリ(世界観光機関事務局長)
- ジャン=クロード・トリシェ(現欧州中央銀行総裁)
- シモーヌ・ヴェイユ(元欧州議会議長、元フランス保健大臣、社会問題・保健・都市計画担当大臣)
フランス
フランス以外
- ポール・ブレマー(元イラク連合暫定施政当局代表)
- エルトゥールル・オスマン(オスマン家第43代家長)
- オースティン・チェンバレン(英国元外務大臣)
実業界
- ルイス・シュヴァイツァー(元ルノーPDG)
- アラン=ピエール・レノー(元日産自動車常務、現アレヴァCFO)
学術・教育
- エマニュエル・トッド(人口学者、社会学者、歴史学者、家族人類学者)
- ブルーノ・ラトゥール(社会学者)
- クリスチャン・ド・ボワスィユー(経済学者、現フランス経済分析会議会会長)
- スタンリー・ホフマン(国際政治学者、ハーバード大学教授)
- レイモン・アロン(社会学者、哲学者)
- フェルナン・ブローデル(歴史学者)
- 馬建忠(思想家・外交官・言語学者)
- 福富満久(国際政治学者、一橋大学准教授)
文化・芸術
- ジャン=フィリップ・トゥーサン(作家)
- ジュリアン・グラック(作家)
- ジョゼ・ベナゼラフ(映画監督、脚本家、映画プロデューサー)
- ポール・クローデル(劇作家、元外交官)
- カミーユ (歌手)
- ポール・モラン(作家、元外交官)
- クリスチャン・ディオール(ファッションデザイナー)
- エディ・スリマン (元Diorデザイナー、芸術家)