畜産業
畜産業(ちくさんぎょう)とは、動物の中で、家畜の繁殖、育成、肥育、乳や卵など畜産物の生産を目的とした事業。
畜産業を営む(業としない場合でも、同一地域に一定数以上の家畜を飼育する際には該当する)ためには、「化製場等に関する法律」に基づく保健所(都道府県)の許可が必要になる。
主なものは次のようになる。
- 乳牛の生乳の搾乳(酪農)
- 鶏卵の採卵
- 肉牛、豚、鶏の育成、肥育
- 競走馬の繁殖、育成
- ミツバチから得る、蜂蜜・蜂蝋の生産
- 愛玩鶏の種保存(ブリーダー業務)
- ミニブタのブリーダーは養豚扱いする自治体と、養豚扱いしない自治体が分かれており、非常に曖昧である
尚、養蚕は畜産業に当たらない。
流通業の進出
畜産は、もともと農業の一部として行われていたが、近年、流通業の食肉加工業者が幅広く契約農家を育成してきたことから、単独で畜産業を営む場合が増えている。食肉加工業者は、将来の出荷量を見越して、契約農家に対し、飼料を提供し飼育させている。契約農家では、自らの投資を押さえた上で経営の拡大を進めることができ、安定した出荷先を確保することができる。
契約農家以外でも、近年の消費量の拡大により市場が発達した為、大規模化・集約化を進めることにより畜産業専業の経営を行えるようになった。なお、既存の田畑は、飼料作物の生産に当てている場合が多い。
また畜産業でも分業が進んでおり、繁殖用の雌畜に良質な子畜を産ませて出荷する畜産農家(→子取り農家)、前記の農家から子畜を買い入れて食用として肥育してから出荷する畜産農家、繁殖から肥育までを一貫して行なう畜産農家などに分かれて専業としている場合もある。
養鶏や養豚と言った中小家畜々産は近年、急速な企業化が進み、企業化した農業法人が事業として行うケースが急増している。
畜産業に於ける環境問題
畜産業の発達と郊外の都市化が進んだことにより、畜産農家が排出する大量の糞尿、臭気及びハエなどの害虫が住宅街に影響を与える場合が増えている。その土地で長年畜産業を営んできているにもかかわらず、後から移り住んだ者が農家に対して苦情を申し出ている場合が多いが、糞尿の消臭・処理対策に限界があり、後継者不足も伴って廃業を余儀なくされるなど根本的な解決手段は見つかっていない。
また、牛や羊、山羊などの反芻家畜は温室効果ガスであるメタンガスの主要な発生源の一つとされている。家畜から排出されるメタンガス抑制法についてはさまざまな研究が行われているが、決定的な解決法はまだみつかっていない。